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ガムを噛むと本当に仕事のパフォーマンスは上がるのか?

2021.11.01

「よく噛んで食べることはよい」とはよく耳にすることだ。実際、よく噛むことは、健康にいいだけでなく、仕事のパフォーマンスにもいい影響を及ぼす可能性があることが分かっている。そこで今回は、様々な研究機関や企業と連携して噛むことについて研究するロッテの「噛むこと研究部」と、スポーツ歯学の教授に、ビジネスパーソンが「噛む」ことで得られるメリット等を聞いた。

ガムを噛むと集中力・覚醒によい影響

ガムを噛むことは、仕事や勉強に良い影響を与えることが、複数の実験や試験結果からわかっている。

●仕事上のストレスや疲労感がうすれ、不注意・仕事の遅れや認知上の問題が減少

ある実験(*1)では、「一日ガムを噛みながら仕事をすることで、仕事上のストレスや疲労感がうすれ、不注意・仕事の遅れや認知上の問題(勘違い)も減少する」という結果が出ている。

これはフルタイムで働く大学職員男女126人を対象とした実験で、ガムを噛むグループと噛まないグループに分け、ガムを噛むグループには一日ガムを噛みながら仕事をしてもらい、ガムを噛むことが仕事の幸福感とパフォーマンスに与える影響を評価した。

結果、仕事上のストレス、疲労、不安感、気分の落ち込み、不注意、仕事の遅れ、認知上の問題(勘違い)の7項目のアンケート結果等の評価、すべてにおいて、良い影響が出た。

●認知時間や反応時間が最も短縮

「噛むことが脳波に影響する」ことが科学的に証明された研究(*2)もある。

その研究をおこなった研究チームのリーダーだった自然科学研究機構・生理学研究所 名誉教授で医学博士の柿木隆介氏によると、「P300」という脳波を使って、噛むことで脳に変化があるのか、科学的に検証したという。P300とは、聴覚・視覚・触覚などのなんらかの感覚刺激を受け、認知反応として現れる脳の電気活動である。

実験では、被験者に5分間ガムを噛んでもらい、その後に音刺激を与えてP300が出現するまでの時間(認知時間)と、音刺激出現後に右手の人差し指でボタンを押すまでの時間(反応時間)を計測。また、同条件で「ガムを噛まない」「口の中になにも含まずあごを動かして噛むまねごとをする」「手指でトントンと机を叩く」もおこなった。それぞれ評価したところ、ガムを噛んだときに認知時間や反応時間が最も短縮するという結果が得られた。

この研究結果などを受け、柿木氏は「試験や勉強の前、高速道路を運転する前などに15分ぐらいガムを噛むと、集中力、覚醒といった面でよい影響があるかと思います」と述べている。

これらの2つの実験結果からは、ガムを噛むことは、仕事においてよい影響があることがわかる。

*1 出典:噛むこと研究室「月曜の朝こそ、ガムを噛もう 噛むことと仕事上のストレスの関係」
*2 出典:噛むこと研究室「噛めば噛むほど、脳が活性化する?」

パソコン作業中の目の疲れや渇きの軽減も

噛むことは、ビジネスパーソンにとって、ほかにどのようなメリットがあるだろうか。

先日、ロッテのオーダーメイドガム「プロフェッショナルガム」のイベントが開催された。そこでは60種類もの組み合わせから完成した「プロフェッショナルガム」がeスポーツ選手へと贈呈された。

ロッテ「プロフェッショナルガム」贈呈式の模様

またロッテ中央研究所「噛むこと研究部」と東京歯科大学口腔健康科学講座スポーツ歯学研究室の武田友孝教授のトークセッションがあり、「eスポーツにおける咀嚼(噛むこと)の重要性」が話された。

イベントに登壇していた噛むこと研究部の研究員にその他の「噛むこと」のメリットを尋ねてみた。

「仕事中はパソコン作業をされる方が多いかと思いますが、パソコン作業中(文章を読む)にガムを噛んだ場合と噛まなかった場合を比較したところ、噛んだ場合の方が、自覚的な目の疲れや乾きが抑えられるという結果が得られています。

また、デスクワークが多く座りっぱなしという方もいらっしゃるかと思いますが、噛むこと自体でエネルギー消費が高まるという結果も出ています」

ガムを噛むことは、ビジネスパーソンのパフォーマンスをさまざまな角度から高めてくれるようだ。しかし、仕事中、電話や会議で人と話す機会がある場合には、ずっとガムを噛み続けられない。ガムはどのくらいの時間、噛むのがいいのだろうか。

「研究の目的ごとに噛む長さは異なりますので、理想の時間は難しいですが、『一日ガムを噛みながら仕事をすることで、仕事上のストレスや疲労感がうすれ、不注意・仕事の遅れや認知上の問題(勘違い)も減少する』との結果が得られた研究では、就業時間中にガムを好きなように噛んでもらっていますので、状況に応じて噛みたいと思ったときに噛んでいただければ良いかと思います」

またガムを噛むことについて、何か気をつけるべきことはあるか、研究員に聞いた。

「普段、ガムを噛み慣れていない方が、長時間噛みすぎてしまいますと顎を痛めたりする可能性もありますので、ご注意ください。また、シュガーレスのガムは一度に多量に食べると、体質によりお腹がゆるくなる場合もありますのでお気を付けください」

仕事によってはガムを噛むのがNGの場合もあるため、OKな仕事に限られるが、作業中にガムを噛むことを、一度試してみるのも良さそうだ。

トレーニングやスポーツ中の噛みしめ対策も必要

「噛む」ことに関連して「噛みしめ」についても知識をつけておこう。

今回、「プロフェッショナルガム」を監修したことから、eスポーツ選手へのイベントに登壇していた東京歯科大学口腔健康科学講座スポーツ歯学研究室の武田友孝教授は、アスリートによる歯の食いしばりについて研究しているスポーツ歯科の第一人者である。

一般ビジネスパーソンの間でも、ジムに通ったり、自宅で筋トレをしたりしてトレーニングに励んでいる人も多いが、筋トレでふんばるときも、食いしばるのはよくないのだろうか。武田教授に聞いてみた。

「ご指摘のとおり、トレーニング中にも噛みしめは多くの場合起こります。噛みしめること自体は、悪くはないのですが、運動強度が高い場合には、歯がすり減ったり、ひどい場合には歯が破折したり、歯槽膿漏が悪化したり、顎関節や咀嚼筋などを痛めたりする恐れがあります」

噛みしめを防ぐためには、どのような対策があるのだろうか?

「スポーツ用のマウスガードを使用し、これらの弊害を予防・軽減していただければと思います。スポーツマウスガードは、コンタクトスポーツにおける歯の外傷予防以外にも有益であることを、多くの方にご理解いただき、ご使用いただければと思います。

ただし、市販のマウスガードでは噛み合わせの調整ができませんので、歯科医でカスタムメイドのマウスガードを作って使用するのがいいです。協会公認のスポーツデンティストは、日本スポーツ協会のHPから、各県ごとに探すことができます」

噛むことは、ビジネスパーソンにとっていい影響があるようだ。仕事の支障にならないよう、上手にガムを取り入れてみるのもいいかもしれない。

また噛みしめが気になる場合は、専門家に相談するのも良いだろう。

【参考】
噛むこと研究室

取材・文/石原亜香利

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