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広角から超望遠まで1本でカバーするタムロンの万能ズームレンズ「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」お手並み拝見

2021.10.30

■連載/ゴン川野の阿佐ヶ谷レンズ研究所

スナップから海外旅行まで使える万能ズームレンズ

TAMRONから16.6倍という高倍率ズームレンズが登場した。今回はSONY用だけでなく、FUJIFILM用のXマウントも初登場! FUJIFILMには35mm換算で27-200mmの「XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WR」しかなかった。これがTAMRON「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」の登場により、一気に27-450mmになったのだ。

私が初めて買ったズームレンズはNIKKOR 43-86mmで、倍率は2倍しかなくタル型と糸巻き型の歪みは出るわ、ゴーストもフレアーも盛大に出るというズームレンズの悪い所を集めたようなものだった。それから徐々にズームレンズの倍率は上がっていき、35-70mmから28-105mmへと進化した。さらに望遠側にシフトしたレンズもあったが、開放絞り値が暗くなったり、開放F2.8にしたらレンズが重くなったりとなかなか使いやすいズームは出て来なかった。そこで28-80mmと80-200mmの2本持ちへと落ち着いたのだが、デジタルの時代が到来して、ISO感度が上げられるようになり、EVFが明るい画像を見せてくれ、開放絞り値が暗くて小型軽量高性能なズームレンズが現れた。その最先端が今回の18-300mmである。FUJIFILMのミラーレスとラージフォーマットを愛用する写真家、小平尚典氏にも参加してもらい、本機の実力を知るため街を彷徨った。

撮影重量1021gと軽く、バランスもいい

18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXDの第一印象は、望遠ズームとは思えないほど軽いことだ。例えば小平氏が使っている望遠ズームのXF100-400mmF4.5-5.6の重量は1375gもあり、カメラに付けると2kg近い重さになる。これに対して18-300mmを私の散歩カメラFUJIFILM「X-E3」に装着するとストラップ込みで1021gとなり、M型LEICAに明るい単焦点レンズを付けたのと変わらない感じの重さだ。

小平氏のFUJIFILM「X-H1」に装着した時のバランスも良く、450mm相当で撮影している時もEVFの画像は安定していた。レンズの重量は620gしかないので、実はXF16-55mmF2.8の655gよりも軽い。

レンズの全長は125.8mmしかなく450mm相当とは思えない短さだ

望遠端までレンズを伸ばしても先が重くならず、バランスは良好だった

鏡胴にはズームロックのみ、ここはフォーカスリミッター機能が欲しかった

X-E3に装着時の撮影重量は1021.9gと軽量。フィルター径67mmも汎用製があり使いやすい

表参道で撮影する小平尚典氏。ズームリングのフィーリングもなめらかだった

高倍率ズームにもかかわらず、広角側の画質がいい!

銀塩時代の常識ではズームレンズは1本で数本分の働きをするが、画質は単焦点レンズに比べると甘い。特に高倍率ズームの望遠側の画質が低下することが多いと言われて来た。もし私はこのズームを使うとしたら、広角端を多用することになるので、気になるのは27mm側の画質である。

そこで手持ちの単焦点レンズXF18mmF2 Rと撮り比べて見た。シビアに比較してみると18-300mm F/3.5-6.3の方がシャープだった。その原因は三脚を立てて撮ったのだが、XF18mmF2の方が微妙にブレていたのだ。ブレていないカットと比較すると解像度にも歪みにも文句はない。こうなると単焦点レンズは明るいだけかと思えてくるが、実際にほとんどズームレンズで撮っている気がする。

望遠に関しても充分シャープで不満はなかった。さすがに手ブレしやすいのでシャッター速度優先AEを使ったが、タイミングが良ければ1/13secでもブレない。1/8secでもイケる時がある。1/4secはちょっと厳しい。逆光にも強く、コントラスト強い被写体でも階調性が失われなかった。

いきなりつまらない写真で申し訳ないが、TAMRONの27mm相当で撮影、歪みが少なく周辺までシャープな描写だ
FUJIFILM X-E3 TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD 1/500sec、F3.5、ISO200

同じ位置からFUJIFILMの単焦点レンズで撮影、絞りはどちらも開放、画質は同格で、画角はこちらがやや広く見える
FUJIFILM X-E3 XF18mmF2 R 1/1900sec F2.0 ISO200

450mm相当で撮影、超望遠だけあって背景は完全にボケている。花の中央に虫が止まっている
FUJIFILM X-E3 TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD 1/200sec、F6.3、ISO2500

上記の画像を100%で表示してみると、こんなにしっかりヒメヒラタアブが写っていた
FUJIFILM X-E3 TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD 1/200sec、F6.3、ISO2500

450mm相当で撮影、白髪の交じった猫の毛並みもしっかり描き分けられた
FUJIFILM X-H1 TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD 1/200sec、F6.3+0.33、ISO800

450mm相当でシャッター速度1/4secにして歩道橋から歩行者を撮影
FUJIFILM X-H1 TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD 1/200sec、F40、ISO200

このまま持って帰りたくなる常用ズームレンズ

高倍率ズームにやや懐疑的だった小平氏も、撮影後には「このレンズ、このまま持って帰りたいね」とTAMRON 18-300mm F/3.5-6.3を絶賛。手持ちで450mmまで撮れて、広角側は27mmなので、これ1本あれば、何でも撮れる。開放絞り値は明るくないが、ミラーレス用なら大きくて重くて明るいレンズより、コンパクトで軽くて暗いレンズの方が使いやすいと小平氏は語る。確かにだいたい絞って使うことが多いので、EVFのあるミラーレスに明るいレンズは不要かもしれない。小型軽量ズームに明るい単焦点レンズを組み合わせれば、最強と言えるだろう。「TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」はFUJIFILMのカメラユーザーに強くオススメした高倍率ズームレンズである。

強い光が当たったショーウィンドウ。白飛びせずに暗い室内も階調性豊かに再現されている
FUJIFILM X-H1 TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD 1/125sec、F6.3、ISO200

梢の間からのぞいた太陽。絞り込むと光芒がキレイに写り込んできた
FUJIFILM X-H1 TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD 1/125sec、F22-0.33、ISO200

こちらも日陰と日向にまたがるアート。27mm相当で撮影。歪みが少なく周辺光量も落ちていない
FUJIFILM X-H1 TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD 1/320sec、F7.1-0.33、ISO200

左から強い光が当たっている同潤会ビル。よく見るとフレアーがあるが気にならない程度だ
FUJIFILM X-E3 TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD 1/220sec、F8、ISO200

雲に隠れた太陽、青空と雲の発色が鮮やかすぎず、見た目に近い印象だった
FUJIFILM X-E3 TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD 1/1700sec、F8、ISO200

190mm相当でシャッター速度は1/7secで切れた。レンズ内蔵の手ブレ補正機能はかなり優秀だ
FUJIFILM X-H1 TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD 1/7sec、F5.6、ISO800

450mm相当を手持ちで撮影、シャッター速度は1/13secでブレなかった
FUJIFILM X-H1 TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD 1/13sec、F6.3、ISO800

写真・文/ゴン川野

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