
余力のあるうちに店舗を縮小して、先の一手を
国産牛を贅沢に使ったステーキ丼が手頃な価格で食べられると評判を呼び、「ランチのみ、100食限定」という希少価値も相まって、常に行列の絶えない人気店・京都『佰食屋』。昨年4月、1回目の緊急事態宣言時に経営者の中村朱美さんが下した苦渋の決断は、経営する4店舗のうち2店舗の閉鎖。
「街から人が消え、休業補償や協力金も不透明な状況で、自力でお店を維持するのは不可能だと判断しました」
席数を減らし、できる限りの感染対策をしながら、残る2店舗を運営する一方で、中村さんは新商品の開発に着手する。それが、冬期限定のカレーパン。デリバリーとテークアウトに特化し、常に揚げたてを提供することで、客の満足度を上げた。さらに忘・新年会シーズンには、居酒屋に集まれない客層を獲得すべく、中小企業にステーキ丼弁当を届けるサービスを提案。店舗は縮小したが、その分、発想転換の新商品と企画力でリカバリーした。
不動の人気『国産牛ステーキ丼』も健在。
店内はソーシャルディスタンスを保った席配置で、客の安心感を担保する。
テークアウト用新企画を続々投入
忘・新年会向け弁当から、卒業式のお祝い弁当まで、一度に30〜40のまとまった個数を受注することで売り上げ維持につなげた。
期間限定で販売したカレーパンは、地元有名パン店とコラボ。常に熱々を届けた。
『売上を、減らそう。』の著書もある敏腕経営者・中村朱美さん。「2店舗の即時閉鎖は、同様のダメージを負った2018年西日本豪雨からの教訓です」
佰食屋
[住]京都府京都市右京区西院矢掛町21 シュール西院1F [電]075・322・8500
[営]11:00〜14:30(LO) 整理券配布9:30〜 [休]水曜
【繁盛店ヒットの方程式】
ピンチの時こそ、大胆かつ、スピーディーな経営判断
取材・文/坂本祥子
DIME12月号の特集は「行列店に学ぶヒットの方程式」
DIME12月号の特別付録は、キャンプ、登山、アウトドア、DIY、自動車の修理、防災グッズなど、いろんな場所で使える便利な「4WAYポータブルランタン」です。付録とは思えないほどのクオリティーで、4WAYという名称の通り、様々な使い方ができるほか、お洒落な迷彩柄のデザインが特徴。