すぐに行動することの大切さを表すことわざ、「思い立ったが吉日」。座右の銘とする人も多いほど、日本人にとっては親しみ深い言葉だ。日常で使われることが多い表現だからこそ、意味や使うタイミングなどを正しく理解しておきたい。
そこで本記事では、「思い立ったが吉日」ということわざの意味と使い方について解説する。類語も併せてチェックしておくことで、表現の幅が広がるはずだ。
「思い立ったが吉日」とはどんな意味のことわざ?
思い立ったが吉日の読み方は、「おもいたったがきちじつ」。まずは、この言葉の正しい意味と使い方を確認しよう。
「物事を始めようと思ったときはすぐに実行したほうが良い」という意味
思い立ったが吉日は、「何かを始めようと思ったときは、すぐに実行に移したほうが良い」という意味のことわざ。「吉日」とは、暦の上で’’縁起の良い日’’を指す言葉で、昔から物事を始めるのに最適な日とされている。このことが由来となり、暦上の吉日ではなくても、思い立った日こそが縁起の良い日という意味で、ことわざの「思い立ったが吉日」が生まれた。「思い立つ日が吉日」という表現も存在するが、意味は思い立ったが吉日と同じだ。なお、「思いついたが吉日」は誤った表現。
「思い立ったが吉日」を使った例文
では、実際にどのようなシーンで「思い立ったが吉日」は使われるのだろうか。以下の使用例をチェックして、正しい使い方を理解しておこう。何かを始めようとしているが、なかなか実行できない人に対して、気持ちを後押しする意味で使うこともできる。
【例文】
「思い立ったが吉日ということで、今日からダイエットを始めよう」
「今思えば、あの時が思い立ったが吉日だった。あの時に行動したからこそ、このビジネスを成功させることができた」
「新しいアイディアを思いついた。思い立ったが吉日とも言うし、すぐに試してみよう」
「思い立ったが吉日だよ。チャレンジする価値はあると思うよ」
英語ではどのように表現する?
「思い立ったが吉日」を英語で表現する場合、「There is no time like the present./現在のような時間(良いタイミング)はない」や「Strike while the iron is hot./鉄は熱いうちに打て」などの表現がよく使われる。また、「Never put off till tomorrow what you can do today./今日できることを明日まで延ばすな」も、思い立ったが吉日に近いニュアンスだ。
「思い立ったが吉日」に関連する表現
併せて「思い立ったが吉日」の類語や対義語も確認しておこう。似た意味を持つ言葉は複数存在するが、ここでは代表的な4つの表現を紹介する。
類語
・善は急げ
「善は急げ」とは「良いと思ったことはすぐに実行すべき」ことを表す言葉。機会を逃す前に、急いで取り組むべきという意味合いから、思い立ったが吉日と同義となる。
・旨いものは宵に食え
「旨いものは宵に食え(うまいものはよいにくえ)」も、思い立ったが吉日の類語。美味しい物は味が落ちる前に食べたほうがよいということから転じて、「良い物事はためらわず早くやるべき」という意味がある。
・今日の一針、明日の十針
「今日の一針(ひとはり)、明日の十針(とはり)」は、「対策や処置が遅れるほど負担が重くなる」ことを表す。今日のうちであれば一針で繕えるほころびも、明日には十針も縫う必要があるという意から生まれた言葉だ。
・好機逸すべからず
「好機逸すべからず(こうきいっすべからず)」とは、「良い機会が訪れたときはそれを逃してはならない」という意味の表現。思い立ったが吉日と同様、すぐに実行に移すべきことを示す際に用いられる。
対義語
思い立ったが吉日の対義語には、「物には時節」ということわざがある。読み方は「ものにはじせつ」で、「何事にも最適なタイミングがあり、これを外しては思うように成功できない」という意味がある。また、「事は時節」「物に時あり」などの表現も存在するが、いずれも物には時節と同じ意味があるため、思い立ったが吉日の対義語となる。
「その日以降は全て凶日」という表現との違いは?
「その日以降は全て凶日」とは、漫画『トリコ』で使われている言葉。主人公トリコの名言として登場する表現だが、実際の場面で使われることは少ない。作品では、「思い立ったが吉日ならその日以降はすべて凶日」というセリフで、行動力の重要性を表している。
文/oki