説明できる？交通違反の反則金と罰金の違い

交通違反を起こすと、違反に応じた点数が付与されることに加え、違反金（反則金・罰金）が科される。点数はいずれリセットされるが、違反金は自然に消滅しない。しかも、ずっと支払わずにいると前科がつく可能性もある。

そこで本記事では、交通違反の違反金制度について解説したい。支払い忘れた場合はどうなるのか、土日にコンビニでも払えるのか、代理人が払うのは可能か、など詳しく説明していく。

違反金制度とは

はじめに、違反金制度の概要を説明する。主な交通違反の違反金額も併せて参考にしてほしい。

どんな制度か？

交通違反は、法律的には「刑事犯罪」にあたる。本来なら裁判をして刑罰を決めるが、年間700万件以上発生する交通違反に対し、1件ずつ裁判を行うのは現実的ではない。そこで、軽微な交通違反については、反則金を払えば裁判等の手続きが免除される制度が運用されている。

罰金と反則金の違い

違反金には、「反則金」と「罰金」の2種類があり、6点未満の軽微な交通違反には「反則金」が科せられる。6点以上の重大な交通違反には、簡略化された裁判を経て、刑事罰である「罰金」が科せられる仕組みだ。ただし、反則金の場合も、ずっと支払いをしないと裁判になってしまう。そこで、有罪になると刑事罰が科せられる。

主な交通違反とその違反金額（普通車）

・一時不停止違反

「止まれ」の標識がある場所などで、車両の一時停止を怠る違反のこと。一時停止線・標識前での違反は7,000円、踏切前では9,000円の反則金だ。支払いをせず、裁判で有罪判決が出た場合は、5万円以下の罰金または3か月以下の懲役となる。

・最高速度違反

道路交通法で定められた範囲を超えるスピードで走行する違反。超過した速度が大きいほど反則金が高くなり、一般道路では9,000～18,000円、高速道路では9,000～35,000円。一般道路で30km/h、高速道路で40km/h以上の速度超過をした場合、反則金はなく、最初から刑事罰の対象だ。裁判によって10万円以下の罰金が言い渡される。

・携帯電話使用等違反

運転中に携帯電話を持って通話等をすると「携帯電話使用等（保持）違反」となる。反則金は1万8,000円。刑事罰は、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金。携帯の使用により事故を起こした場合は、「携帯電話使用等（交通の危険）違反」に当たる。反則金はなく、1年以下の懲役または30万円以下の罰金だ。

違反金の支払いルール

実際に違反金が科せられた場合、どのように支払えば良いのだろうか。ここでは、違反金の納付場所や納付期限について見ていこう。期限を守れなかった際の対処方法も解説する。

支払いを行う場所

反則金の納付場所は、銀行・郵便局で、窓口が開いている平日の時間帯のみ納付可能。コンビニ等で支払うことはできないが、2021年6月末から一部地域でATMやインターネットバンキングでの振込が開始された。クレジットカードでの支払いも含め、今後全国導入が検討されていく方針だ。罰金は、指定された日に簡易裁判所に行って支払う。反則金、罰金ともに、現金の一括納付のみとなる。

支払い期限（過ぎた場合はどうなる？）

反則金の納付期限は、交通反則告知書（青キップ）を受け取った日を含め8日以内。それができなかった場合は、交通反則通告センターにて新しい納付書をもらい、その納付期限内に納める必要がある。また、青キップ交付から40日ほど経つと、反則金相当額と送付費用を合わせた納付書が郵送されてくる。センターに行けない場合は、その納付書を使って期限内に振り込みを行うおう。罰金の場合、指定日に出向いた簡易裁判所で払うことになる。持ち合わせがない場合は、納付書を交付されるので、2週間以内に支払うようにしよう。

代理人でも支払える？

反則金については、代理人が支払うことも可能だ。ただし、罰金の場合は、裁判所から有罪が言い渡され、刑事罰が下されることになるため、必ず本人が出向かなければならない。

反則金・罰金は何に使われる？

交通違反をすると、なぜ違反金という罰が下されるのだろうか。また、徴収された違反金は、どのようなことに使用されるのだろうか。

違反金の目的は？

刑罰には、主に自由刑（懲役など、対象者の自由を奪うもの）と財産刑（罰金刑など、対象者の財産を奪うもの）がある。違反金は、対象者の自由は拘束せず、経済的損失を与えて懲罰的効果をあげるもの。もし軽微な交通違反者を短期の懲役に処すと、受刑者数が大幅に増加し、行刑実務を圧迫するなどの弊害が出る。そこで、交通違反の懲罰には違反金制度が採用されている。

具体的な反則金の使用用途

納付された反則金は、国の会計に入れる際に「特別会計」という「使い道が決められた」会計に入る。そして、三分の一が各市町村へ交付され、信号機や標識の設置などに限定して使われる。残りの三分の二は、各都道府県の公安委員会、道路管理者へ交付され、道路工事といった交通の安全のために使用される。

具体的な罰金の使用用途

罰金は、国の会計に入れる際に「一般会計」という「使い道が決められていない」会計に入る。交通違反以外の罰金と同じ行先だ。そして、福祉・教育・消防など、国民のために広く行われる事業のために使用される。

文／oki