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使ってわかった!話題の折りたたみスマホ「Galaxy Z Fold3 5G」の○と×

2021.10.26

■連載/石野純也のガチレビュー

 サムスン電子が「スマートフォンの新たなメインストリーム」を掲げて投入したフォルダブルスマホ2機種が、ついに日本でも発売された。1つが、開くとディスプレイサイズが7.6インチとタブレットのような大きさになる「Galaxy Z Fold3 5G」。もう1つが、フィーチャーフォン(ガラケー)のように折りたたんで持ち運べる「Galaxy Z Flip3 5G」だ。いずれも、サムスンの得意とする折り曲げ可能なディスプレイを採用したフォルダブルスマホ。日本では、ドコモとKDDIが2モデルとも取り扱っている。

 3世代目にして、Galaxy Z Fold3/Flip3 5Gは大きな飛躍を遂げた。フォルダブルスマホとして初めて、防水に対応したことだ。サイズや重量も前モデルから落とし、より日常に溶け込むスマホとして再設計された。価格も下げ、普及を狙っているのも2機種共通の特徴だ。また、日本独自の機能として、フォルダブルスマホとして初めておサイフケータイに対応し、普段使いがさらにしやすくなった。

 Galaxy Z Fold3 5Gのみの機能として、新たにSペンに対応。これまで秋冬モデルとして発売されてきたGalaxy Noteシリーズの代わりになるフラッグシップモデルとして、熱い注目を集めている。筆者は、この2機種からGalaxy Z Fold3 5Gを選択。発売日に購入して、約2週間ほど使い倒してきた。フォルダブルスマホは、本当にスマホの新たなメインストリームになれるのか。その実力を検証した。

Galaxy Z Fold3 5Gは、フォルダブルスマホを新たなメインストリームに押し上げる1台になれるか

開くと大迫力の画面が登場、ただしアプリ側の対応状況には課題も

 本機最大の特徴は、やはりフォルダブルの機構にある。開いた時のサイズは先に挙げたように7.6インチだが、ディスプレイをそのまま曲げる形で、半分に折りたたむことが可能だ。ヒンジ(蝶番)は開閉の途中で止めることができる仕様になっており、半開きの状態で利用することも可能。この状態のことを「フレックスモード」と呼ぶ。開いた時の画面サイズは、あたかもコンパクトなタブレットのよう。最近のモデルとの比較では、iPad miniより小さいが、スマホよりは大きい。そんなサイズ感だ。

 タブレットとしてはコンパクトだが、画面のサイズは電子書籍を読むのにも十分。以下は、dマガジンで『DIME』を表示させた時の写真だが、1ページ単位であれば細かいながらも本文までなら読むことができる。まるで縮刷版の雑誌のようなサイズで、スマホでは拡大・縮小を繰り返さなければいけなかったが、雑誌をそのまま読めるのは非常に便利。電車の席やカフェで座った時などにサッと取り出せて、本体を開くだけでこのサイズになるため、使い勝手が非常にいい。

キャプションはさすがに厳しいが、本文ぐらいなら拡大せずに読むことができる

 Webサイトも、このサイズ感になってくるとPC表示で見ることができる。サイトによっては文字が細かくなりすぎてしまうきらいはあるものの、全体が一望できる。縦長のディスプレイに最適化された、いわゆるスマホビューよりも情報量が多く、見たいページを探しやすい。また、アプリによっては画面サイズを生かし、表示を分割するものもある。こうした仕掛けが施されているのは内蔵アプリがほとんどだが、画面を行ったり来たりすることが減り、操作がスムーズ。片手で持てるタブレットとして、重宝している。

WebサイトのPC表示も見やすい

 一方で、スマホとして使い勝手が悪いかと言えば、そうでもない。カバーディスプレイで一通りの操作ができるからだ。こちらのディスプレイサイズは6.2インチ。アスペクト比が24.5:9と非常に縦に長いこともあり、インチ数よりは小さく見えるが、アイコンのタッチや文字入力などまで一通りこなせる。折りたたんだ時の横幅は67㎜で、片手でも使い勝手がいい。どちらかというと、立ちながら使うようなシーンや、サッと情報だけを確認したい時には、カバーディスプレイの方が出番は多い。

閉じた時には縦長のスマホになり、片手でスムーズに操作できる

 QRコード決済アプリも、カバーディスプレイで問題なく利用できる。Xperia 1シリーズのように、21:9の縦長ディスプレイを搭載したスマホが徐々に増えてきていることもあり、カバーディスプレイでもあまり違和感はないというのが本音だ。ただし、さすがに24.5:9は縦長すぎることもあり、一部のアプリではレイアウトが崩れてしまったり、ウィンドウ内に文章が収まりきらなかったりしたこともあった。端末が登場してからまだ日が浅いためではあるが、フォルダブルスマホはGalaxy Z Fold3 5Gでもう3世代目。販売数も増えているため、もう少しこの端末に最適化したアプリが増えてほしいと感じた。

縦長で1画面に収まる情報量はカバーディスプレイでも十分なほど多い

 アプリの問題はメインディスプレイ側にもあり、全画面表示が自動で行えないものがあった。例えばInstagramは、メインディスプレイで開くと中央部に縦長のタイムラインが表示されてしまい、せっかく大画面が台無しになる。このような時に活用したのが、「ラボ機能」。この設定内には、アプリのアスペクト比を強制的に変更する機能があり、Instagramのようなアプリを全画面表示することができる。

一部アプリは、メインディスプレイのアスペクト比に対応していないことも。画面はInstagram

 ほかにも、LINEを無理やり2ペイン化したり、すべてのアプリをマルチウィンドウ対応にできたりと、Galaxy Z Fold3 5Gの使い勝手に直結する設定項目が多い。“ラボ(実験室)”と銘打っているため、正式な機能に見えないのは難点だが、Galaxy Z Fold3 5Gを使う上で設定の変更は必須と言える。ただし、アプリによっては不具合が起こることもあるため、1つずつチューニングしていくことをお勧めしたい。この設定を変更するだけでも、使い勝手がガラッと変わってくるからだ。

ラボ機能で強制的にアスペクト比を変更することが可能だ

LINEを2ペイン化することも可能。大画面を生かすなら、オンにした方がいい

7.6インチの大画面に対応し、使い勝手が一段上がったSペン

 Sペンに対応したのも、フォルダブルスマホとしては初だ。フォルダブルスマホのディスプレイは、柔らかいガラスそのものを折り曲げる必要があり、形状を変化させないでいい一般的なスマホよりも傷がつきやすい。そのため、ペンのように先のとがったものを当てるのはご法度だった。一方で、片手で支えられる大画面だからこそ、メモ帳感覚で手書きを使いたくなるのも事実。サムスンは、Galaxy Z Fold3 5Gでこのトレードオフを解決した。

 Galaxy Z Fold3 5Gで利用できるSペンは2種類。1つはペンの径が細い「S Pen Fold」だが、日本では単体で発売されていない。Sペンを収納するスペースのついたカバーにセットでついてくるのが、こちらだ。もう1つはS Pen Pro。こちらに関しては、Bluetoothで本体とペアリングすることで、ペンを振ったり回したりするゼスチャー操作が可能になる。S Pen ProはGalaxy Z Fold3 5G専用というわけではなく、スイッチで通常のSペン対応Galaxyか、Galaxy Z Fold3 5Gかを切り替えることができる。筆者が購入したのは、後者のS Pen Proだ。

Bluetoothで接続でき、ゼスチャー操作が可能なS Pen Pro。対応する2種類のペンではこちらの方が太く、書きやすい

 ペン先を見るとわかるが、Galaxy Z Fold3 5G用のSペンは、押すとわずかにペン先が沈み込むような仕様になっている。S Pen Proの切り替えスイッチも、この動きを可能にするためのもの。ペン先が沈み込むことで、柔らかいフォルダブルスマホ専用のガラスを保護しているというわけだ。もちろん、ディスプレイ側の強度も上がっているため、フォルダブルスマホだからと言って、必要以上に不安視することはない。試しに何度か手書きをしてみたが、跡が残ったり、画面が割れたりするようなことはなかった。

ペン先が柔らかく、押すとやや引っ込む仕組みになった。これは、Galaxy Z Fold3 5Gのディスプレイを保護するため

 書き味に関しては、Galaxy Noteシリーズに非常に近く、筆圧もきちんと検知する。追従性が非常に高く、ペン先が細いため、思うような文字や線を描くことが可能だ。単にメモを取れるだけでなく、検索などの際に手書きを利用できるのも便利だ。方法は簡単で、Googleの検索ウィジェットやChromeなどのブラウザのURL/検索欄に直接手書きで何か文字を書くだけ。書いた文字は自動的にフォントに変換されて検索が始まる。

Galaxy Noteシリーズと変わらない書き味のよさ。画面が大きいぶん、窮屈さが一切ないのがうれしい

 手書きをしている際に何か調べ物をしたい時にはキーボードを表示させると、本体の持ち替えが必要になる。この方法なら、ペンでそのまま文字を書くだけで、手書きのメモから検索までが、文字通りシームレスになる。走り書きのような文字でもきちんと認識してくれるため、精度も高いと言えるだろう。このように、Galaxy Z Fold3 5GはS Penとの相性が抜群にいい。オプション品のため、全員が使える機能ではないが、せっかく購入した端末の性能を引き出す意味でも、入手しておくことを強くお勧めしたい。

検索窓に手書きで文字を書き、そのまま検索することも可能だ

カメラや指紋センサー、処理能力をチェック。おサイフケータイ対応もうれしい

 ディスプレイやSペンの話が中心になってしまったが、Galaxy Z Fold3 5Gは、一般的なスマホとしてみても完成度は高い。例えば、カメラは超広角、標準、望遠のトリプルカメラで、本体を置いたままタイマー撮影やSペンを使ったリモート撮影も行える。いずれも画素数は1200万画素となり、Galaxy Sシリーズのフラッグシップモデルと比較すると機能は劣るが、暗所に強く、写真の発色もいい。カメラ性能に特化したスマホのような派手さはないが、使い勝手やクオリティのバランスはいい。

背面のトリプルカメラは、いずれも1200万画素。派手さはないが、使い勝手や写りはいい

Galaxy Z Fold3 5Gで撮った写真。色のバランスのよさや、夜景モードのHDRの効き具合などは、さすがGalaxy

 開いてカバーディスプレイをファインダーとして使えば、メインカメラを使って自撮りをすることも可能だ。一般的に、スマホの員カメラは背面に搭載するメインカメラより画質が落ちがちだが、Galaxy Z Fold3 5Gではその心配がないのはうれしいポイント。こうした使い方ができるのも、ディスプレイそのものを折り曲げられるフォルダブルだからこそだ。メインディスプレイ側のインカメラはディスプレイの下に埋め込まれているため、見えづらいが画質は劣る。こちらは顔認証用と割り切って、自撮りはメインカメラを活用するようにしたい。

カバーディスプレイを使うと、背面カメラで自撮りができる

 指紋認証は側面の電源キーと一体化している。最近では、有機ELディスプレイの特性を生かした画面下指紋センサーを搭載するハイエンドモデルが増えているが、個人的には使い勝手がイマイチだと感じている。フラットなディスプレイの下にあるため、手探りで指の位置を合わせることができないからだ。電源キーはくぼみがあり、手に取った時に自然と指が当たる。設定しておけばこのボタンを押し込む必要なくロックを解除でき、すぐに使い始めることが可能。精度が高く、使い勝手はいい。

指紋センサーは電源キー一体型。画面を点灯させる際にロックを解除できる

 チップセットには、ハイエンド向けのSnapdragon 888が搭載されている。アプリの動作は非常にスムーズで、パフォーマンスは高いと評価できる。参考までに「Geekbench 5」で計測したベンチマークスコアを掲載しておくが、CPU、GPUともにトップクラスの性能だ。メモリー(RAM)は12GB、ストレージ(ROM)は256GBあり、スペック的にも申し分ない。ただし、microSDカードには非対応。動画や音楽などのデータを持ち運ぶ人は、256GBだとやや心もとない。容量が足りないという人は、クラウドサービスなどを活用するといいだろう。

処理能力の高さも、Androidスマホではトップクラスだ

 こうした機能の数々に加え、Galaxy Z Fold3 5Gはおサイフケータイにも対応している。最近ではQRコード決済アプリで支払いができる店舗も増えているため、おサイフケータイなしで困るシーンは減っているが、こうしたアプリではモバイルSuicaを代替できない。iDやQUICPayも、アプリを開くより素早く決済できてスムーズ。やはりメインとなる端末には、載っていてほしい機能だ。使い勝手はほかの端末と同じだが、フォルダブルだからといっておサイフケータイをあきらめる必要がなくなった点は評価できる。

おサイフケータイに対応しており、普段使いがしやすくなった

 このように、Galaxy Z Fold3 5Gは、フォルダブルスマホを“日常”に押し上げる意欲的なスマホだ。日本での価格は約24万円とまだまだ高いものの、その価値に見合うだけの満足感がある。7.6インチの大画面を持ち運べることで、利用シーンも広がる。折り曲げられるというギミックだけが取りざたされがちだが、スマホの可能性を押し広げている点こそが、Galaxy Z Fold3 5Gの真骨頂と言えるだろう。

【石野’s ジャッジメント】
質感        ★★★★★
持ちやすさ     ★★★★
ディスプレイ性能  ★★★★★
UI         ★★★★
撮影性能      ★★★★
音楽性能      ★★★★★
連携&ネットワーク ★★★★★
生体認証      ★★★★★
決済機能      ★★★★★
バッテリーもち   ★★★★
*採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

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