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『ディスる』とは、相手を侮辱したりけなしたりするときに用いられる言葉です。英語の『disrespect』が語源であり、悪意を含むニュアンスが強い言葉でもあります。『ディスる』の意味・語源・使い方などを知り、適切に使えるようにしましょう。
「ディスる」とは
若者の間で使われることの多い『ディスる』という言葉ですが、どのような意味なのか正確に知らないという人もいることでしょう。言葉の意味や語源を解説します。
意味
『ディスる』には、『相手を侮辱する・軽蔑する・批判する・否定する・けなす』などの意味があります。
『侮辱』という言葉が『相手を侮りばかにする・はずかしめる』という漢字から成り立っているように、相手を自分よりも下に見て、言葉や態度で傷つける意味合いがあるといえるでしょう。
相手の人格を否定したり、失敗を取り上げて大げさに言ったりする場合にも多く用いられる言葉です。悪意を含むニュアンスが強い言葉ともいえます。
由来・語源について
『ディスる』の語源は、英語の『disrespect(ディスリスペクト)』です。
『respect(尊敬する)』に『dis(否定の意味を持つ接頭語)』が付け加えられることにより、『軽視する・見下す・尊敬しない・侮蔑する・さげすむ・ばかにする』といった意味合いになります。
ここから分かるように、『ディスる』は英語のdisrespectに日本語の『~する』という動詞が付けられたものです。インターネットスラング(俗語)として、特に若者の間で使われています。
また、ヒップホップシーンでは相手を挑発・侮辱するラップバトルがあり、そのやりとりを表す際などにも『ディスる』という言葉が使われます。
言葉の発祥は若者文化からですが、今では幅広い年齢層の人にまで広まりつつある言葉です。
ディスるの使い方
『ディスる』にはどのような使い方があるのでしょうか。ネガティブな意味合いが強いため、使う相手やシーンには注意が必要です。
文章・会話文での使い方
使う相手との関係性や状況にもよりますが、『ディスる』は言葉がきつく、ポジティブな意味合いで使われることは少ない言葉です。
以下のようなシーンで使われます。
- 「ノンフィクションを好む彼女は、いつもフィクションの小説をディスることばかり言う。」
- 「聞くに堪えないディスリ合いで、気分が悪くなった。」
- 「顔が見えないことをいいことに、特定の人物をディスるような投稿をするのは見ていて不快だ。」
- 「海外ドラマが好きなのは分かるが、日本のドラマをディスるのはどうかと思う。」
近年ではSNSの普及により、匿名であっても誰かをディスる発言をすると、瞬く間に波紋が広がる傾向があります。使い方には十分に注意しましょう。
変形させた使い方
『ディスる』は『disrespect+~する』で構成された言葉です。動詞化されているため、『ディスられる』『ディスられた』『ディスった』など、活用を変化させることが可能です。
変化させた場合には、以下のように使います。
- 「彼が過去にディスられていたことが周囲の人に知られてしまった。」
- 「人気タレントだった彼女が、たった一言がきっかけで世間の人からディスられるなんて。」
- 「そんなに他人をディスってばかりいると、いつか痛い目に合うよ。」
受動的なのか能動的なのかによって、『ディスる』のか『ディスられる』のか、それぞれ語尾を変化させる必要があります。
使う相手やシーンに注意
人によっては、気心の知れた友人同士、冗談だと分かっている上で使うこともあるでしょう。
しかし、『ディスる』は決して良い意味で用いられる言葉とは言えません。使う相手やシーンには十分に注意が必要です。
特に、ビジネスシーンやフォーマルな場で使うには不適切で、先輩や目上の人に使うのは避ける必要があります。
相手を軽々しく侮辱したり否定したりするのは、より良い人間関係を築きコミュニケーションを取る上で好ましいとはいえません。人によって受け取り方も異なります。
他人を傷つけないよう、安易に用いることは避けましょう。
「ディスる」を英語で表すと?
『ディスる』は英語でどのように表現されるのでしょうか。例文とともに解説します。
英語表現・フレーズ
英語の場合、『dis』は気軽に用いられる言葉ではありません。相手を侮辱する・軽蔑するといった意味合いが強いからです。
- 「If someone disrespects you,I would not forgive that person.(もし誰かがあなたのことを侮辱したら、私はその人を許さないわ。)」
- 「She has been dissing you.(彼女はあなたのことを侮辱しているわよ。)」
- 「You shouldn’t diss your friends.(友達を侮辱すべきではありません。)」
日本語と同様、安易に多用するのは避けましょう。
ディスるの類語
『dis』以外にも、『侮辱する』という意味合いに近い英単語は多く存在します。
-
- 「She insulted me my work of art.(彼女は私のアート作品を侮辱しました。)」
『insult』は『侮辱する・ばかにする』という意味を持った単語です。自尊心を傷つけるなどの意味も持つため、使用には注意しなければなりません。
- 「The crowd started abusing him after he violated the rules.(群衆は彼がルール違反した後、口汚く罵倒し始めた。)」
『abuse』には、『乱用する・虐待する』などの意味合いもあります。『insult』『abuse』ともに、名詞としても使われる単語です。
ディスることが多い人の心理もチェック
相手をディスることが多い人には、いくつかの共通点が見られます。心理状態を理解しておくことで、不本意にディスられた場合にも冷静な気持ちで対応できるでしょう。
自分を優位に立たせるため
他人をディスることが多い人は、常に相手よりも自分が優位な立場にいたいと考えている傾向があります。他人をけなすことにより一時の安心感を得て、自分の精神状態を保とうとしているのです。
相手をマウンティングすることで、自分の経験・知識・才能があることを確認したい状態ともいえます。支配欲が強い傾向も見られるでしょう。
言い換えると、これらは自分に自信がないことへの裏返しの行為ともいえます。
一見自信がある人のように見えますが、実際は自信がありません。自分ができないことを認められずにいるのです。そのため相手より優位な立場に立って、見栄を張ろうとしてしまいます。
相手がうらやましいから
うらやましいがゆえに、相手のことを悪く言ったりけなしたりする人は多いものです。素直に相手の魅力を受け止めることができないのは、今の生活や自分自身に満足していない場合があります。
理想が高く完璧主義なため、自分自身に厳しいことはもちろん、相手にも同等かそれ以上のことを求めてしまいがちです。
現実を見たときに、自分の生活が理想とかけ離れていることが許せないという場合もあります。自身の理想を他人が持っていると、「どうしてあの人が」とねたましく感じてしまうこともあるでしょう。
感情をコントロールすることが苦手なため、ディスるという言動に走ってしまうのです。
ストレスをぶつけている
感情的になりやすい人は、自己コントロールが苦手ともいえます。自分の感情とうまく付き合うことができないため、ストレスを他人にぶつけて発散しようとするのです。
自制が効かず、いけないと思っていても言葉が先に出てしまうという人もいるでしょう。
そのような状態では通常よりも視野が狭くなっており、自分自身や状況を客観視できていない場合があります。相手の立場や心情などに目を向ける余裕がないのです。
あまり意識せずに使ってしまう言葉も、使い方を間違えると不本意に人を傷つけてしまうことがあります。言葉の意味を正しく理解し、適切な使い方を心がけましょう。
構成/編集部