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MサイズのカップにLサイズのコーヒーを注いだら窃盗罪になる?

2021.10.19

最近のコンビニには、コーヒーマシンや無人レジなどの「セルフサービス」がよく見られるようになりました。

「コーヒーマシンのボタンを間違って押してしまった」
「無人レジに商品を通し忘れてしまった」

そんな経験がある方も、いらっしゃるのではないでしょうか?

実はこれらの行動は、刑法上の犯罪に繋がる危うい側面を持っています。

もしご自身のミスに気付いた場合には、速やかにリカバリーの行動をとってください。

今回は、コンビニで起こりがちな「セルフサービス」に関するミスについて、法的な観点から対処法を解説します。

1. コーヒーMサイズを買ったのに、Lサイズのボタンを押してしまったら?

「100円でMサイズのコーヒーを買ったのに、間違ってコーヒーマシンのLサイズ(150円)のボタンを押してしまった」

これが不当な行為であることは明らかですが、法律上はどのように取り扱われるのでしょうか?

1-1. そのまま持ち帰ったら「窃盗罪」の可能性あり

客がMサイズのコーヒーを買った場合、コンビニ側は客に対して「Mサイズの分量のコーヒー」を受け取ることを認めたわけです。

言い換えれば、コンビニ側は客に対して「Lサイズの分量のコーヒー」を受け取ることを認めてはいません。

したがって、客が勝手に「Lサイズの分量のコーヒー」を入れることは、コンビニ側の意思に反して「Lサイズの分量のコーヒー」を奪い取る行為であり、「窃盗罪」に該当します(刑法235条)。

窃盗罪の法定刑は、「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。

なお、LサイズをMサイズと思い込んだまま持ち帰った場合には、犯罪の「故意」が否定されるため、窃盗罪は成立しません。

しかし、Mサイズ用のカップにLサイズの量のコーヒーが注がれれば、カップが溢れるような状態になるでしょうから、「勘違いしていた」で押し通すのは無理があるでしょう。

実際に、コンビニで買ったサイズよりも大きなコーヒーを盗んだ疑いで逮捕された事例があるので、このような行為は絶対にやめましょう。

参考:コンビニコーヒー、通常料金でLサイズ 熊本市職員を現行犯逮捕|熊本日日新聞

1-2. 店員に間違えた旨を申し出るのが正解

Mサイズのコーヒーを買ったのに、間違えてLサイズのボタンを押してしまった場合には、速やかにその旨を店員に申告するのが正解です。

この時点では、まだコーヒーを持って店を出てはいないので、コーヒーの「占有」がコンビニから客に移っておらず、窃盗罪は成立しません。

犯罪の疑いをかけられる前に、速やかにコーヒーの返却等を申し入れて、店員の指示に従いましょう。

1-3. Mサイズと間違えてSサイズを押してしまった場合は?

なお反対に、Mサイズのコーヒーを買ったにもかかわらず、Sサイズのボタンを押してしまった場合はどうでしょうか。

この場合、店は「Mサイズの分量のコーヒー」を受け取ることを客に認めています。

SサイズはMサイズの分量に満たず、店が受け取りを認めた分量を超えていないため、窃盗罪は成立しないと考えられます。

ただし、コンビニに対して、SサイズとMサイズの差分を追加で注ぐことを要求できるかについては、微妙な問題です。

本来は、客が受け取ったコーヒーの分量が契約内容に満たないため、差分を追加で交付するように要求できるはずです。

しかし、コーヒーマシンを操作したのは客自身ですので、Sサイズの分量しか受け取れなかったのは、客の責任とも考えられます。

この点の処理は、コーヒーマシンの稼働状況や、利用に関する規約などを総合的に考慮して、ケースバイケースで判断されることになるでしょう。

2. 無人レジでの決済時に、レジにかけ忘れた商品があったら?

最近では、無人レジ(セルフレジ)を導入するコンビニも増えてきました。

無人レジは、客が自ら商品のバーコードをレジに読み取らせる仕組みが一般的です。

その際、後からレジにかけ忘れた商品があったことに気づいた場合、法律上はどのように扱われるのでしょうか。

2-1. 店内で気づいた場合|返さなければ窃盗罪

コンビニが客に持ち出しを認めているのは、レジを通して代金を支払った商品のみです。

したがって、レジを通していない商品の持ち出しは、コンビニの意思に反して商品を奪う行為であり、窃盗罪に該当します。

なお一般に、店内商品の占有は、窃盗犯が店の中にいる間は店側にあり、店を出た時点で窃盗犯に移ると解されています。

窃盗罪の成立には、犯人が「占有の奪取」を認識していること(故意)が要件となります。

よって、レジに商品を通していないことに「店内で気づいた場合」に限り、窃盗罪が成立します。

2-2. 店を出てから気づいた場合|返さなければ遺失物等横領罪

店内では商品をレジに通していないことに気づかなかった場合、「占有の奪取」に関する故意はないため、窃盗罪は成立しません。

しかし、店から持ち出した商品の所有権は、依然としてコンビニ側にあります。

この場合、商品は「所有者(コンビニ)の占有を離れた、他人の物」であり、それを返さずに自分のものにしてしまう行為は「遺失物等横領罪」に該当します(刑法第254条)。

遺失物等横領罪の法定刑は、「1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料」です。

2-3. 商品を返すか、戻って代金を支払うのが正解

どの段階で気づいたとしても、レジを通していない商品はコンビニの所有物であり、それを自分のものにしてしまう行為は犯罪に当たります。

そのため、速やかに店に戻ったうえで、商品を返却するか、改めてレジに通して代金を支払いましょう。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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