持続可能でより良い社会の実現を目指す世界共通の目標である「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」。その17のゴールは、2030年までの達成が目指されている。日本でも、その目標達成を目指すために活動している企業は多くあるが、中でも、今回は、3つのチョコレートブランドの取り組みを紹介する。
SDGsのどのゴールを目指している?地球に貢献できるチョコレートブランド3選
1.明治「明治 ザ・チョコレート」
「明治 ザ・チョコレート」は、ベネズエラ、ブラジル、ペルー、ドミニカ共和国の4カ国のカカオ豆「明治サステナブルカカオ豆」を使用し、カカオ豆の個性や香りにこだわるなどの美味しさだけでなく、カカオに関わるすべての人を笑顔にする“サステナブルな循環”を目指している。
「明治 ザ・チョコレートトライアル6」(30g(6枚))参考小売価格 197円(税込)
2021年9月21日、「明治 ザ・チョコレート」をリニューアル発売した。さらに、このトライアル6も同時に数量限定で発売した。全6種類を一度に味わえるアソートだ。ベネズエラやブラジルなど、カカオの産地や、カカオ分によって異なるチョコレートの香味を手軽に食べ比べることができる。
●主に目指しているSDGsのゴール
8:働きがいも経済成長も
12:つくる責任つかう責任
15:陸の豊かさも守ろう
17:パートナーシップで目標を達成しよう
●活動内容
・持続可能なカカオ豆生産を可能にするためのカカオ産地支援プログラム「メイジ・カカオ・サポート」
明治は、2006年から中南米を中心に6カ国でカカオ農家を支援している。チョコレートの主原料であるカカオの産地では、国や地域によっては児童労働や森林減少といった社会課題に直面している。また、カカオ豆生産においても、木の高齢化や病虫害、農業資材の入手の難しさ、栽培技術の周知不足が収穫減につながり、生産者が十分な収入を得られないという課題もあり、その持続可能性が懸念されている。
そうした状況を背景に、日本に質の良いカカオ豆が入ってこなくなる危機感から始まったのが「メイジ・カカオ・サポート」である。海外の産地で栽培から発酵、輸送のすべてに明治が関わり、安定的に質のよいカカオ豆を確保しようというプロジェクトである。
少しずつ信頼関係を築き、質の高いカカオ豆の取引ができるようになり、2016年に「明治ザ・チョコレート」が発売された。
・4カ国の支援目標の設定
先日、「メイジ・カカオ・サポート」の活動国9カ国のうち、「明治 ザ・チョコレート」で使用している「明治サステナブルカカオ豆」の産地でもあるベネズエラ、ブラジル、ペルー、ドミニカ共和国の4カ国への2026年度までの具体的な支援目標を設定した。
2026年度までにベネズエラの「カカオ苗木の寄贈」を240,000本、ブラジルの「肥料の寄贈」を50,000袋、ペルーの「発酵箱の寄贈」を60台、ドミニカ共和国の「資源ごみ分別回収箱の寄贈(1セット:青・緑・黄)」を99箱(33セット)を目標に設定した。
「明治 ザ チョコレート」を購入して食べることで、持続可能なカカオ豆生産に貢献できる。
2.有楽製菓株式会社「ブラックサンダー」
親しみのある「ブラックサンダー」。実は、食べると世界の子どもたちの労働問題の解決のために貢献できる仕組みがあるのをご存知だろうか。ブラックサンダーの一部の商品を購入すると、チョコレートの原材料であるカカオ豆の生産国において、子どもたちや自然を守る自立した農村作りにつながる。
「ブラックサンダーミニバーカカオ72%」参考小売価格 324円(税込)
購入するとその仕組みに貢献できるのは、「ブラックサンダー」「ブラックサンダーミニバー」「ブラックサンダーミニバーカカオ72%」「ブラックサンダーひとくちサイズ」「ブラックサンダープリティスタイル パウチ」「ブラックサンダープリティスタイル カカオ72% パウチ」の6商品だ(2021年10月時点)。
●主に目指しているSDGsのゴール
8:働きがいも 経済成長も
●活動内容
ブラックサンダーを作るために必要な「カカオ豆」は主に西アフリカ諸国で生産されているが、実はその生産のために多くの子どもたちが働いている。働く子どもたちは学校へも行けず、将来の夢を描くこともできない。そこで有楽製菓は、児童労働をなくし、みんなを笑顔にするために「スマイルカカオプロジェクト」を始めた。
・児童労働撤廃に取り組む原料の使用
有楽製菓は児童労働撤廃を目指し、2020年2月より自社製品の一部で児童労働撤廃に取り組んでいる原料の使用を開始した。今後、段階的に児童労働撤廃に取り組んでいる原料の比率を増やしていき、2025年までに自社商品に使用するすべてのカカオ原料について、児童労働撤廃に取り組んでいる原料へ変更することを目標としている。また、この取り組みはカカオ原料だけに留まらずすべての原料において児童労働撤廃に取り組んでいる原料に変更すべく活動をしている。
その一環として「ココアホライズンによって検証された」チョコレートを使用している。ココアホライズンとは、カカオ農家に繁栄に焦点を当て、自然と子どもたちを守る自立した農業コミュニティの構築を支援するプログラムであり、ココアホライズンの基準を満たす原料を使用するブラックサンダーを購入することで、カカオ農家を支援し、子どもたちや自然を守る自立したコミュニティづくりを支援していることになるという。
何気なく食べているブラックサンダー。子どもたちやカカオ農家への支援につながることを意識しながら食べることで、より美味しく食べられそうだ。
3.Dari Kのチョコレート商品
「Dari K(ダリケー)」は、インドネシアの最高品質カカオ豆を自社で調達し、チョコレートを製造しているチョコレートブランドだ。京都に店舗を構えており、現在はオンラインショップからも手軽に購入できる。実は、SDGsという言葉がなかった2011年からサステナブルなチョコレート製造を掲げていた。
「カカオが香る生チョコレート2021 ~フルーツ発酵~ 12粒入り」2,700円(税込)
Dari Kのチョコレート商品にはすべて、SDGsの目標に関わるインドネシア産カカオ豆を使用している。例えば、こんなチョコレートもある。これは、南国のフルーツと発酵させたカカオ豆を生チョコレートにしたものだ。味は、ダーク・ミルク・トロピカル・シトラスの4種類。トロピカルとシトラスに、フルーツ発酵のカカオ豆を使用しており、新鮮な香りと味わいが楽しめる。
●主に目指しているSDGsのゴール
1:貧困をなくそう
13:気候変動に具体的な対策を
●活動内容
・カカオの産地インドネシアでの活動
Dari Kは、カカオの産地インドネシアにおいて、500を超える契約農家に対し、カカオの栽培や発酵の指導を行っており、生産者の顔の見える安心・安全で高品質な原料を調達している。それにより、生産者の所得向上や、環境負荷の少ない農法の普及に貢献している。
・国際的な評価
カカオの生産地での取り組みは、国際的に高く評価されている。
世界から著名なチョコレートが集まるチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」へ2015年から出展しており、さらに品評会(C.C.C.:Club des Croqueurs de Chocolat)でブロンズを受賞している。インドネシアのカカオは国際的な評価が低い中、インドネシアシングルオリジンが品評会で評価されるということ自体、画期的なものとなり、SDGsの先進企業としても国内外から注目を集めているという。
インドネシアの生産者とともにカカオの栽培・収穫から発酵・乾燥まで一貫して管理し、良質なカカオ豆から厳選して作られるチョコレートを購入して食べることで、貧困問題や気候変動への対策に貢献できる。
背景に、SDGsの目標達成のために取り組みのある3つのチョコレートブランドを紹介した。どれも購入して食べることで、SDGsの目標に達成できることは間違いない。ぜひ気になるものは生活に取り入れてみたい。
【取材協力】
明治「「メイジ・カカオ・サポート」開始から15周年を契機に 持続可能なカカオ豆生産実現に向けてカカオ産地支援目標を設定」
有楽製菓「スマイルカカオ」
Dari K
取材・文/石原亜香利