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SDGsと気候変動問題が追い風となって注目を集める「水ビジネス」

2021.10.17

今、世界的な水不足が深刻化。新興国での人口増加や生活水準の向上が主な原因だが、地球温暖化による異常気象も、水不足を更に悪化させている。

近年関心が高まりつつある持続可能な開発目標(SDGs)でも「安全な水の確保」が主要なテーマの一つとなっていることもあり、『水ビジネス』が注目を集めている。そこで今回は三井住友DSアセットマネジメントのマーケットレポート「SDGsや気候変動問題が追い風、注目集める『水ビジネス』」を紹介したい。

SDGsや気候変動問題が追い風、注目集める『水ビジネス』

2015年の段階で、全世界で約6.6億人が安全な飲料水を利用できない生活環境にあるとされている。こうした状況の改善を目指して、SDGsでは「安全な水の確保(Clean Water & Sanitation)」が、貧困、飢餓、教育などと並び主要な17の開発目標の一つに設定されている。

世界的な水不足の主な原因は新興国を中心とした人口増加や生活水準の向上による消費水量の増加にあるが、地球温暖化がもたらす大雨、洪水、干ばつといった異常気象の発生が河川の水質悪化、地下水の塩水化、水源の枯渇などを引き起こすことで、この水不足の状況を更に深刻化させていると言われている。

水不足の深刻化による『水ビジネス』の拡大

世界的な水不足は、今後も更に深刻化することが予想されている。2030年に世界全体で必要とされる水量は年間約6.9兆㎥と見込まれているが、現存する水の供給量はその約6割に留まっている。

こうした水不足の深刻化もあって、『水ビジネス』の世界的な拡大が続いている。世界の『水ビジネス』の市場規模(除く日本)は2019年時点で約72兆円だが、2030年には112兆円超にも達すると予想されている。

『水ビジネス』は息の長い投資テーマに日本の関連企業にも注目

水は人が生活するうえで必要不可欠なものだが、人口動態や気候変動の影響を受ける世界的な水不足の解消には、今後も相当な期間を要することとなりそうだ。このため『水ビジネス』は、息の長い投資テーマとなりそうだ。

『水ビジネス』に対する社会的な関心の高まりやその成長性から、世界の主要な水関連企業50社の株価を指数化した「S&Pグローバルウォーターインデックス」は、堅調な推移が続いている。

『水ビジネス』関連企業としてはフランスのヴェオリア社に代表される「水メジャー」が有名だが、高い技術力で水不足の解決に貢献する日本企業が少なくない。

淡水化プラントで海水を真水に変える「逆浸透膜」を製造する東レ、電子機器や医薬品の生産に不可欠な「超純水」の製造装置を手掛ける野村マイクロ・サイエンス、総合水処理システムで国内首位の栗田工業など、得意分野で存在感を発揮する日本の『水ビジネス』関連企業は少なくない。

日本企業による『水ビジネス』の世界展開については、経済産業省が音頭を取る形で官民共同による取り組みが行われてきている。今後予想される世界的な『水ビジネス』の拡大は、日本の関連企業にとっても大きなビジネスチャンスとなる可能性がある。

構成/ino.

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