
「安さにつられて買い物をしたら、後悔した」という経験がある人も少なくないだろう。「安物買いの銭失い」とは、まさにそのような状況を表すことわざだ。安いものを買うと、結果的に高くつくことがあることを表現している。昔から、自他への戒めとして用いられている言葉だ。
そこで本記事では、安物買いの銭失いの正しい意味と使い方を解説する。安物買いの銭失いをやめる方法も併せて参考にしてほしい。
「安物買いの銭失い」とは?
「安物買いの銭失い」の読み方は「やすものがいのぜにうしない」。はじめに、この言葉の正しい意味と使い方を見ていこう。
安価な物を買うと、かえって高くつくこと
安物買いの銭失いとは、「安価な物を買うと修理や買い替えなどにお金がかかり、結局高くついてしまうことがある」という意味を持つ言葉。一般的に、品物を安く買えたら得をしたような気分になるが、安価な品物は品質が悪いケースも多いため、その後のメンテナンスに費用がかさみ、かえって高くつく場合がある。そういった状況を表したのが「安物買いの銭失い」ということわざだ。
「安物買いの銭失い」の使い方と例文
「安物買いの銭失い」は、主にネガティブな表現として使われることが多い。そのため、満足している買い物に対して「安物買いの銭失い」を使うのは誤り。「安いだけで選んで後悔した」という気持ちを表す際に用いる。以下の例文で、具体的な使い方をチェックしておこう。
【例文】
「安い中古車を見つけて買ったが、すぐにエンジントラブルが起きて修理に出した。修理代が高かったので、安物買いの銭失いになってしまった」
「彼は自分のことを貧乏人と言うけれど、私には安物買いの銭失いに見える。もっと先のことを見据えた買い物をすれば、無駄な支出が抑えられるはずなのに」
英語ではどう表現する?
「安物買いの銭失い」を英語で表現する場合は、「You get what you pay for./払った金額のものしか手に入らない」「Penny wise and pound foolish./小銭に執着して大金を疎かにする」を使うと良い。これらは、海外でよく使われるフレーズの一つで、「安物買いの銭失い」と同じニュアンスをもつ言葉だ。
「安物買いの銭失い」の類語と対義語
併せて「安物買いの銭失い」の類語と対義語も確認しておこう。関連する表現を知ることで、言葉に対する理解がぐっと深まるはずだ。
類語「安かろう悪かろう」
安かろう悪かろうは、価格が安いものはそれなりの品質で、大した品ではないだろうという意味の言葉。安いものには安い理由があり、品質もその程度だということを表現している。
対義語「高かろう良かろう」
高かろう良かろうの意味は、値段が高いものはその分品質も良いだろうということ。価格が高い商品は、手間や材料費にお金をかけているケースが多いため、すぐに壊れる可能性が低いことを表している。
ちなみに、この2つの言葉は、「高かろう良かろう、安かろう悪かろう」とセットで使われることが多い。これら2つの表現には、あらかじめ良し悪しを納得していたというニュアンスが含まれている。「結果的に、安物買いの銭失いになってしまった」という状態に比べて、「その程度だと思っていた」と、事前に了承していた気持ちを表す際に使うと良い。
「安物買いの銭失い」をやめる方法
無駄遣いをしないためにも、安物買いの銭失いをやめたいと思っている人は少なくないはず。では、どうすれば安物買いの銭失いをやめられるのだろうか。最後に、安物買いの銭失いをやめる方法をいくつか紹介する。
衝動買いをやめる
安物買いの銭失いをやめるためには、まずは衝動買いをやめてみることが大切。特に季節の変わり目の在庫処分セールにはなるべく反応しない方が良い。「きっと安くなっているから」という理由だけで買い物に行くと、そこまで欲しくないものでも、ついつい購入してしまうことが多いからだ。「せっかく安くなっているから、何か買わなくてはいけない」という気持ちだけで買い物をすると、後々後悔する傾向にあるため、欲しいものは欲しいタイミングで買いに行くことを心がけよう。
妥協しない
妥協した買い物をしないことも、安物買いの銭失いをやめるために必要なこと。「値段が高いから」という理由で、自分が欲しい物ではない他の品を簡単に手に入れると、結果的に大事にすることができず、紛失してしまったり壊してしまったりすることも少なくない。本当に欲しいと思った物を買うと、その品を大切に扱うので、買い足したり買い直したりすることがなくなるはずだ。
買い物以外でストレスを発散する
安物買いの銭失いをやめるために、買い物以外でストレスを発散できる方法を見つけよう。例えば、ウォーキングやヨガなどの軽い運動や音楽鑑賞、読書や手芸など、手軽に始められて、さほどお金がかからない趣味を持つのが良いだろう。ストレスのせいでついつい買い物をしてしまう人は、そのストレスを別の方法で解消してみることが、安物買いの銭失いをやめる近道かもしれない。
文/oki