
これから起業しようとする人、起業して間もない人にとって〝事業税〟は聞き慣れない言葉かもしれません。
ここでは、総務省と東京都主税局のホームページを元に、東京都に所在する法人を例として、わかりやすいよう整理したいと思います。
法人事業税とは何? なるべくわかりやすく簡単にご紹介します
法人事業税は、法人が行う事業に課される税金です。
法人は、事業活動で地方団体の様々な行政サービスを活用します。そこで、この経費を分担すべきであるという考え方により課税されるのです。
事務所などを持つ法人に、所在する都道府県が課税します。
個人向けの事業税もある
法人ではなくても、個人が営む事業のうち、地方税法などで定められた事業(法定業種)に対しては、個人事業税がかかります。
東京都の場合、都内に事務所や事業所があり、法定業種の事業を行う個人事業主が納税対象です。
ちなみに、法定業種は2021年10月10日現在、70の業種とされていて、ほとんどの業種が対象となっています。
【参考】東京都主税局|個人事業税
法人事業税の税率はどれくらい? 東京都の場合で調べてみた
東京都では、都内に事務所または事業所をもって事業をしている法人(公益法人などは収益事業を行っている場合)、または、人格のない社団や財団で収益事業を行い、法人とみなされるものが納税対象になります。
都は超過課税を実施していて、資本金の額(または出資金の額)と所得などの大きさにより異なった税率を適用する、不均一課税となります。
標準税率と超過税率を適用するかは、普通法人か公益法人などであるかといった法人の種類や事業の区分で大別され、資本金または出資金の額が1億円を超えるか、年所得額が2500万円もしくは年収入金額が2億円を超すかといった諸条件などにより判定されます。
また、軽減税率が適用されるか否かによっても税率は異なります。
詳しくは、東京都主税局の「Q3 法人事業税の税率を教えてください。」をご確認ください。
さて、法人事業税の税率ですが、
1.電気供給業(小売電気事業など、発電事業など、特定卸供給事業を除く)、ガス供給業、保険業または貿易保険業
2.小売電気事業など 、発電事業などまたは特定卸供給事業
以外の事業を行う法人のうち、特別法人や外形標準課税法人をのぞく普通法人の場合は、令和2年4月1日以後に開始する事業年度で、
1.軽減税率適用法人で年400万円以下の所得…3.5%(標準税率)、3.75%(超過税率)
2.軽減税率適用法人で年400万円以上800万円以下の所得…5.3%(標準税率)、5.665%(超過税率)
3.軽減税率適用法人で年800万円を超える所得…7.0%(標準税率)、7.48%(超過税率)
4.軽減税率不適用法人…7.0%(標準税率)、7.48%(超過税率)
となるようです。ただし、法人の事務所や事業所が複数の都道府県にある場合や、解散した法人、その他の条件も考慮されるので、あくまでこちらの税率は参考値としてください。
詳しくは、東京都主税局の「Q3 法人事業税の税率を教えてください。」をご覧いただくか、お近くの都道府県税事務所、税理士など税金のプロに相談して下さい。
法人事業税の申告と納税はいつ?
東京都の場合、都税事務所(都税支所)、支庁に特別法人事業税または地方法人特別税、法人の都民税とあわせて申告し、納税します。
中間申告の申告期限は、事業年度開始の日以後、6か月を経過した日から2か月以内とされています。
また、確定申告は原則、事業年度終了の日から2か月以内を期限とされます。
ただし、定款などの定めにより定時総会が事業年度終了から2か月以内に行われない場合や、連結法人の場合は、延長申請により期限が延長されることもあります。とはいえ、延滞金の対象になりますので注意が必要です。
また、解散した法人などは申告期限が異なりますので、以下のURLを確認してください。
※データは2021年10月中旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
※詳しくはお近くの都道府県税事務所、税理士など税のプロに相談して下さい。
文/中馬幹弘