日本で語り継がれる”羽の生えた犬”伝説 @福岡県筑後市
突然ですが皆さんは「羽の生えた犬」をご存じでしょうか?
海外の神話に登場する妖怪かと思いきや実は日本でお目にかかることができるんです。それがコチラ!
たしかに立派な羽が生えている!
でも顔や体はやっぱり犬!
この像があるのは福岡県筑後市。駅前や小学校、公園など至る所に躍動感溢れる羽の生えた犬がいるんです。一体これは何なのか?なぜ犬から羽が生えているのか?今回気になったので調べてみました。
そもそも羽の生えた犬は「羽犬(はいぬ)」と呼ばれ、約400年前から福岡県筑後市に語り継がれている伝説だとか。そんな、今に伝わる羽犬物語とは、、、
『むかしむかし、この地に存在した羽の生えたどう猛な犬が旅人を襲ったり家畜を食い殺したりして住民から恐れられていた』
『その犬が一躍話題になったのは天正15年(1587年)4月。天下統一を目指していた豊臣秀吉が薩摩の島津氏討伐のため九州に遠征しようとしたところ羽犬によって行く手を阻まれてしまった』
『秀吉は大軍を繰り出しなんとか羽犬を退治。その後秀吉は羽犬の賢さと強さに感心し、この犬のために塚をつくり丁寧に葬ったという』
なんと、かの有名な豊臣秀吉と縁のある生き物だったのです。さらにこんな伝説も。
『秀吉が九州遠征の際、羽が生えたように跳び回る犬を連れて来た。しかしその犬は病気にかかり死んでしまう。大変可愛がっていた秀吉は悲しみに暮れ、それを見かねた家来たちはその犬のために塚をつくり葬った』というもの。
その伝説を物語る犬の塚が実際に筑後市に存在しています。
しかし、歴史的な裏付けなどはない伝承。それなのに地元には「羽犬塚」という地名まであるなど古くから愛されている変わったワンちゃんだったことは事実。う~ん、謎は深まるばかり。
太閤秀吉の周りをうろついていた犬であることはなんとなく分かったものの、未だヤツの本心が掴めない。そこで羽犬伝説が伝わる地元、筑後市観光協会の牛島さんに話を聞いてみました。
—筑後市民にとって羽犬はどんな存在ですか?
「市民からも親しまれる存在で筑後市の消防車やゴミ収集車には羽犬が描かれ、羽犬の絵のマンホールもあります。民間企業では羽犬をシンボルに使っているバス会社・タクシー会社もあるほどみんなに愛されています」
—「羽犬塚」という地名の由来は?
「豊臣秀吉の九州遠征に因み、その地名になったと言われています。それだけこの地域にとって羽犬伝承が大きい存在だったと思われます」
「なお、筑後市全体では西日本最大級のドッグランがあり、その横にはドッグカフェ・ペットサロンがあります。そして犬用のおやつや御節を作る会社やお店があることから『犬に優しい街』として過去には観光協会で愛犬家マップも作ったことがあります」
—ちなみに頂いたこの写真、これも羽犬ですか?
「これは2018年に恋木神社のある水田天満宮に安産や子宝を祈願する子安犬の像が奉納されたものです。筑後市の九州芸文館館長で彫刻家の津留誠一さんが約1カ月かけて制作した、体長約10センチの子犬3匹と羽の生えた親犬(羽犬)の仲睦まじい姿となっています」
よく見るとちゃんと羽が生えている
筑後市の皆さんの羽犬愛はほんとに凄かった。筑後市、そして羽犬塚では街全体が羽犬伝説を愛し、それ以上にワンちゃんを愛している動物に優しい街だった。
2021年10月現在、筑後市内には羽犬塚を中心に羽犬をモデルにした彫像が5基あり、いずれも国道や駅前など人目につきやすい所で見られるとか。
ちなみに「羽犬伝説」から生まれたゆるキャラもいる。筑後市PRキャラクターの「はね丸」だ。
プロフィールを見て気になったのが「体重は筑後産の梨3個分」。。。
なんとなく日本発の国民的キャラクターをモチーフにしているような気がするが、ここでは細かいことは突っ込まないでおこうと思う。がんばれ、はね丸くん!
筑後市HP
https://www.city.chikugo.lg.jp/index.html
文/太田ポーシャ
編集/inox.