その年の最も優れた文具を表彰する『第30回 日本文具大賞2021』が6月に行なわれた。現在、そしてこれからの文具のトレンドになるであろう、機能部門&デザイン部門の優秀賞とグランプリに輝いた全10商品を一挙紹介する。
懐かしいけど新しい!文具の新たな価値を創出
大人の郷愁を誘う意外な文具がグランプリを受賞した。
機能部門は手帳で有名なほぼ日の『ほぼ日のアースボール』、デザイン部門は乗車券やギフトカードなどの企画立案・デザイン・印刷を行なう山口証券印刷の『いろ色きもちきっぷ』だ。
『ほぼ日のアースボール』は、地球儀をスマホと連動させ、ARで学習意欲を高める学習文具だ。地球について学ぶというワイドな視点はSDGsに通ずるところがあり〝未来を考える機会にもなる〟と評価された。山口証券印刷の『いろ色きもちきっぷ』は、変わった付箋やメモ帳をコミュニケーションツールとして楽しむというトレンドに沿った商品。本品はメッセンジャーカードでありながら、昔ながらの乗車券(厚紙)にこだわったことで〝メッセージに強い印象を残す〟と好評。市場に新しいカテゴリーを創出するきっかけになると称賛された。
いずれも懐古的なプロダクトをベースにしたことが大きい。コロナ禍で深まる分断や孤立に、温もりを与える。そんな前向きな未来を予感させる商品だ。
機能部門グランプリ
ほぼ日『ほぼ日のアースボール』
3960円
19種の無料コンテンツが楽しめる、AR地球儀。専用アプリを立ち上げ、スマホのカメラ機能を通して地球儀を覗くと、直近24時間および1週間の地球の気象の変化、世界の建築物などを学ぶことができる。
本品は直径15cmの球体。スマホをかざしたり、表示されたARをタップしたりするだけで、新たな発見に出会える。
現在の困難な状況を突破できると信じて開発しました。この商品を通して世界に目を向けて欲しいです。
◆ 審 査 評 ◆
〝教育玩具・文具とITのコラボ〟をポップに具現化した、可能性あふれるプロダクト。
デザイン部門グランプリ
山口証券印刷『いろ色きもちきっぷ(15枚入り) 』
各550円
国内に数台しかない硬券乗車券専用の印刷機で作った、本格的な切符風メッセージカード。〝ありがとう〟〝おめでとう〟の文字を印刷した紙の裏面にある自由記入欄にメッセージを書き込んで使う。
本品の右上にある穴に紐などを通せば、小包やプレゼントなどにメッセージや感謝の言葉を添えることができる。
切符の魅力をデザインの力で新しい価値へ変えてみようと続けた取り組みが、実を結んでうれしいです。
◆ 審 査 評 ◆
電子マネーが主流の今こそ切符というモノが存在した証として後世に受け継いで欲しい。