数え切れないほどのペンとメモ・ノートを見てきた文具ライターが最新の電子メモ・電子ペーパーを実際に使ってみた。筆記感や書いた字の見やすさなど、アナログ面からデータの保存方法などデジタル面まで、隅々をチェック!
まるで紙のような筆記感。書いた文字も見やすく◎
富士通クライアントコンピューティング『クアデルノ A5 第2世代』
4万9800円
2018年の第1世代から現在主流であるE ink社のディスプレイを採用していた、国内電子ペーパーの草分け的製品。液晶ペンタブで有名なワコム社のデジタイザーを付属し、筆記時の遅延を改善した。
【スペック】
ディスプレイ/10.3型フレキシブル電子ペーパー(E ink社製) 外寸/約W173.2×H242.5×D5.9mm 重量/約261g 内蔵メモリー/32GB インターフェイス/USB2.0 Type-C 外部ストレージ/不可 Wi-Fi/2.4GHz、5GHz 充電池/内蔵型リチウムイオン充電池 最長持続時間/2週間 付属/スタイラスペン(ワコム)など
【書き味】
今回紹介する製品の中で最も紙に近い筆記感。ペンを走らせた時のサラサラとした摩擦と、手に伝わる振動が紙っぽく、心地よい書き味だった。書いてからの遅延やズレもなく、狙った場所になめらかに書けた。片手を画面の上に添えても筆記できたのは意外な紙っぽさがあった。
【ココが〇ココが×】
大画面なのに軽い。画面も見やすいが操作系がやや残念
画面が大きく、書いた字が読みやすいのがよかった。最厚部でも6mm以下という薄さ、長時間持っていても疲れにくい軽さは書きたくなる感を刺激し、どこでも持っていって使いたくなる。電子ペーパーとして基本的な性能が高いレベルにあると感じた。アプリを通じてPCやスマホと連携しファイルの出し入れができるのも便利。操作系ツールのアイコンがわかりづらくツールバーも小さいことだけ残念。
世界的に売れている大ヒットシリーズ!
ラッタ『スーパーノートA5 X』
5万6800円
世界60か国以上の国でデジタルノートを販売しているラッタ社が手がけたノート。液晶ペンタブのシェア1位を誇るワコムの技術やドイツの文具メーカー・ラミーとのコラボなど最先端技術を踏襲!
【スペック】
ディスプレイ/10.3型モノクローム電子ペーパー(E ink社製) 外寸/約W178×H245×D7mm 重量/約380g CPU/クアッドコアPX30 内蔵メモリー/32GB インターフェイス/USB2.0 Type-C 外部ストレージ/不可 Wi-Fi/2.4GHz、5GHz 充電池/内蔵型リチウムイオン充電池 最長持続時間/約12.3日間 付属/スタイラスペン(ワコム)、デニムカバー
【書き味】
何枚も重ねた紙の上で字を書くような、柔らかい書き味。ペン先が沈み込むような感覚に最初は驚くが、慣れるとちょうどいい筆圧で書けるようになり、筆圧検知も使いこなせるようになった。適度な摩擦があるので線がぶれることがなく、きれいな文字がちゃんと書けるのもいい。
【ココが〇ココが×】
機能盛りだくさんで字も絵も思いのまま!ペン先は好き嫌いあるかも
本体の軽さ、薄さもさることながら、書く機能の豊富さに驚いた。1度描いた図形を自由に拡大縮小できたりコピペしたり、タブレットのノートアプリのような感覚で使えた。ツールバーも見やすく初心者でもおおよその操作ができ、オフィスの閲覧・編集や電子書籍が読めるのも便利だった。専用ペンも高級なデザインだが、画面が柔らかく、つい力を入れてしまうため、長時間の使用に不安が残る。
シンプルイズベストな機能で直感的にガシガシ使える
キンギジム『ブギーボード BB-12』
各2970円
初代の発売から10年以上の歴史を持つ、人気の電子メモパッドシリーズ。本品はシリーズ中最も小さい付箋サイズで、手のひらにのる大きさ。書いて消すだけのシンプルな機能で支持を集めている。
【スペック】
ディスプレイ/3.9インチLCD 外寸/約W86×H86×D5.5mm 重量/約40g CPU/- 内蔵メモリー/- インターフェイス/- 外部ストレージ/不可 Wi-Fi/不可 充電池/コイン型リチウム電池(CR2016) 消去回数/約3万回 付属/スタイラスペン(自社)
【書き味】
板の上でペンを走らせているような、独特の硬質な書き味。筆圧検知するので筆圧を強くすると太い線が書けるが、プラスチック製のタッチペンで筆圧をかけるのは、慣れるまでは少し違和感がある。硬質な書き味ながら、ペンがすべりにくく、しっかりと字が書けるのは紙っぽい。
【ココが〇ココが×】
機能は書いて消すだけだが、レスポンスは早く、直感的なメモに最適!
書いた文字を一部分だけ消すことができず、消す時は消去ボタンで全消去のみ。書いたメモの保存は専用アプリのカメラで読み取るなど、細かい機能は搭載していない。その代わり、操作が簡単で携帯しやすく、耐久性は優秀。紙のメモ帳のように多少乱暴に扱っても大丈夫なのはメリット。ノートとしては使えないが、ちょっとしたメモをとるくらいと割り切って使うべきだろう。
電子手帳としても使える〝全部入り〟の電子ノート
シャープ『WG-PN1』
オープン価格(実勢価格約2万3000円)
『ザウルス』など、電子メモデバイスの前身ともいうべき情報系端末の知見を存分に生かした電子ノート。スケジュール管理機能やPCとの連携などデジタルガジェットに近い機能を持つ。
【スペック】
ディスプレイ/6型電子ペーパーディスプレイ(E Ink) 外寸/約W114×H157×D10.4mm 重量/約210g(本体のみ) CPU/非公開 内蔵メモリー/合計7000ページ分 インターフェイス/USB Type-C 外部ストレージ/不可 Wi-Fi/不可 充電池/内蔵リチウムイオン充電池 最長持続時間/約10日 付属/スタイラスペン(自社)
【書き味】
ディスプレイの表面がつるつるした感じで、スタイラスペンの書き味はなめらか。少し抵抗が小さいように感じたので、普段筆圧強めで書いている人にはもの足りない筆記感かも。ただ、ペンがすべることはなく狙ったとおりに書けた。文字がくっきりとして読みやすいのもいい。
【ココが〇ココが×】
豊富すぎる機能とPCと密な連携!電子手帳として使いたい
E ink画面は書いた文字がくっきりと見えて良し。ただ、書いてから画面に反映されるまで、ほんのわずか間があるように感じた。ツールバーをタッチしても、ややもたつく。ただ、ペンの太さやマーカーの切り替えなど、ノート画面でもできる機能が多いのは利点。ノート罫線のテンプレートも豊富。スケジュールやToDoの機能にワンタッチで切り替えられるのは手帳感覚で使えると感じた。
取材・文/金山 靖
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2021年8月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。