家賃収入を得て不労所得を得ることができる不動産投資。大きな資金や借入がなくてもREITを利用すれば気軽に不動産投資を行うことができる。
REITは株式のように取引できる不動産投資
REITとは、不動産投資信託ともいい、小口で集めた資金をおおきなまとまりにして、不動産運用のプロが物件の選択、管理、売買を行い、投資家はその投資資金に対応する損益を享受することができる。また、不動産投資により得られる売却益や家賃収入を元に年1、2回配当が行われる(実際は信託財産から支払われる)。
REITは、証券取引所に上場しており、証券取引所が開いている平日9:00~15:00はリアルタイムで取引できる。
投資単位は、そのREITによって異なるが1口10~50万円単位で投資できる。通常の不動産投資なら区分所有でも2,000万円以上、1棟所有なら1億円以上かかることと比較すれば小口で始めることができる。
それでも最初からその単位で投資するのは怖いと考える場合は、REITに投資する投資信託がある。投資信託は、100円以上1円単位から投資できるため、気軽にREITへの投資ができる。また、海外のREITへ投資する投資信託もある。その場合には、1日1回夕方に価格が公表され、リアルタイムでの取引はできないことだけ注意したい。
■REITのメリット
・いつでも売買できるので、必要なときにすぐ換金できる。お金になるのは売却日を含めて3営業日後
・不動産の家賃をもとに高くて安定的な分配金が受け取れる
・小口から投資できる
・基本は特定口座源泉徴収あり口座で利益に対して20.315%の課税で確定申告は不要。さらに(一般)NISA口座からの投資なら利益に対する課税は非課税となる。
・個人では投資できないような大型プロジェクトに投資できる
■REITデメリット
・価格変動が大きく、価格が大きく下落することがある
不動産投資と比較
サラリーマン大家さんが増えている。地主のように土地がなくても安定的な年収をもとに借入をすることができ、2,000~4,000万円のマンションを区分所有するということができる。
区分所有なら空室がおきにくい都市部の好立地の部屋を所有し、貸し出すことができ、安定的な家賃収入を得られる。
■不動産投資メリット
・不動産所得は必要経費として、建物の借入金利子、固定資産税などを計上できるため借入が大きいうちは赤字となる。会社員なら給与所得、自営業なら事業所得と損益通算でき、税金を減らす効果がある。
・価格も安定的で、家賃収入も安定
・団信に加入するため、万が一のとき借入金はゼロとなり家族に家賃収入のある不動産を残すことができる
しかしながら、REITへの投資と比べて以下のようなデメリットがある。
■不動産投資デメリット
・空室になるとその期間月々の返済額は自分の給与などの収入から返済しなければならない
・不動産取得税、固定資産税、管理費用など不動産にかかる費用が別途かかる
・大きく値上がりする可能性は低く、5年以内で譲渡すると税金も割高(短期譲渡所得は税率39.63%、長期譲渡所得は20.315%)になるため、基本は最低5~10年の投資期間が必要
・すぐに換金できない
・住宅ローンの金利よりも高く、基本は変動金利であるため、金利上昇すると支払利息が増える
・設備が壊れたなど急に大きな出費が必要になることがある
・毎年確定申告が必要になる
REITの選び方
REITは、日本の証券取引所に上場するものをJ—REITといい、2021年9月末現在62銘柄が上場している。
まず、REITは大きく分けて「単一用途特化型リート」と「複数用途型リート」の2種類あり、単一用途特化型リートはある特定の用途の不動産に投資し、複数用途型リートは複数の用途の不動産に投資するリートである。
上記のように、用途の種類によりその価格変動幅が異なり、変動幅が大きいと大きな売却益や家賃収入を得られる可能性があるものの、その逆となった場合は大きく下がることがある。
ホテル系、商業系は既に大きく値上がりしている。新型コロナワクチン接種の進行により徐々に経済活動の再開が期待されるものの、海外への渡航はしばらく控えられるため、レジャーは国内を中心に復活していくものと考えられるためだ。今後もしばらく国内ホテル系リートは経済再開が行われるかどうかで価格が左右される展開が続くものと考えられる。
また、コロナ禍においてネット販売の拡大により伸びている物流系は既に高止まりしており、利回りも低い。
一方、オフィスビル系は上記の系統に比べるとそれほど上がっていないが、在宅勤務なども増え、今後オフィスビルの需要が伸びていくのかは見通せない。
住居系、ヘルスケアにおいても高くなっており、利回りは3~4%程度となっている。上記系統より値下がりリスクは特性上低くはあるが、株式全体が下がれば引っ張られて下がることもある。実物の不動産投資では下がってもそれほど大きく下がることはないが、REITはその投資されている物件に関係なく株式全体が下がるとREITもつられて30~40%下がることがあるため注意が必要だ。REITの場合物件さえしっかりしていれば分配金は受取れ、価格も株式市場が正常に戻れば価格も戻ってくるので、大きく下がったときは慌てて売らず、物件の状況を見極めてから判断した方がよいだろう。
[NISA][iDeCo][ポイント投資]で着実に増やす!
おひとりさま女子の堅実投資入門
「結婚したいけど、もししなかったら……?」「シングルの人生を謳歌したいけど将来は……」「今の夫と別れたら……」そんな漠然とした不安を抱えている女性は多いと思います。時代の変化も激しいので未来のことはどうなるかわかりません。ですが、備えあれば憂いなしです。将来のために今できるコトからコツコツ着実に進めてみてはいかがでしょうか? 本書ではFPとしてライフプラン作成、家計見直し、資産運用等のアドバイスを手がける大堀さんが投資信託、iDeCo、ポイント投資に絞って解説。 オススメです!
文/大堀貴子
フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。