■茂木雅世のお茶でchill out!
先日、“静岡を訪れたら買いに行きたい”と思っていたお茶染めブランド「Washizu.」の手ぬぐいを誕生日プレゼントに頂いた。
あたたかみのある色合いとくっきり浮かび上がる富士山と茶畑。
細部にまで美しさが宿り、じっくり見ていても飽きない奥深さがある。
静岡市にある鷲巣染物店の5代目、鷲巣恭一郎さんが立ち上げたWashizu.。
静岡産のお茶と伝統的な工芸「駿河和染」を掛け合わせ、ポーチやバッグなどを一点一点丁寧に手作業で染め上げているブランドだ。
使用するお茶の葉は、製造工程で出るものや様々な理由で製品にならないもの。
“飲む”という形では製品にならなかったお茶を、染めるという新たな形で活用しているのだ。更に、煮出した茶葉は、発酵させて肥料として活用し、循環させているという。
手ぬぐいの他にもミニトートやポーチなど日常使いできるオシャレでシンプルなアイテムが販売されているので、お茶好きにはたまらない。
また、古くなった服をお茶染めで染め直ししてくれるという嬉しいメニューもある。
シミがついたり、汚れたりなどして捨てようかと悩んでいる服が、お茶で染められアップデートされて復活するなんて、まさに夢のようだ。
お茶のような天然の染料による染色は繊細で、技術はもちろん、手間も時間も必要になると聞いたことがある。全国的にもお茶染めの職人さんはまだまだ多くはないが、こういった素晴らしいお茶染めの製品を目にする度に“もっともっと増えてくれたらいいなあ”と思う。
そんなこんなですっかりお茶染めにメロメロな私は、先日こんなものも購入した。
一見すると若草色のただの靴下…かもしれないが、実はこちら、抹茶で染められた糸を使用しているものなのだ。
これは、タビオから発売されているオーガニックコットンを廃棄食材で染色したFOOD TEXTILEシリーズのもので、石臼挽き後のふるい掛け時に不揃いなものや残ったものを回収して染めているのだという。
抹茶の他にも、赤カブやブルーベリー、ルイボスなどの4色があり、どれも規格外の食材やカット野菜の切れ端などを買い取って、成分を抽出し、それを染料にして糸を染め上げているそうだ。
実際に履いてみると、履き心地も最高なうえ、自然の色味が目にも心にも優しい。
決して強い色ではないけれど、しなやかな強さを持った、癒しの色だ。
身に付けているだけで、お茶を飲んだ時と同じような気持ちになるのが、とても心地よかった。
そういえば、今年の夏はお茶染めのタオルも愛用しまくっていた私。
時々、自宅でも、捨てる茶殻を利用して、レースの髪留めやハンカチなどちょっとしたものを染めて楽しんでいる。
もちろん職人さんのつくるお茶染めには到底及ばないのだが、ムラが出来たレースやハンカチも愛着が沸いてまたいいものだ。
飲む以外のお茶の楽しみ方や魅力を存分に感じられるアイテムが、今後も増えていくことをお茶好きとしては、願わずにはいられない。
お茶染めWashizu.→ https://www.ochazome-shizuoka-japan.com/
Tabioの靴下→ https://tabio.com/jp/FOODTEXTILE/
茂木雅世 もき まさよ
煎茶道 東阿部流師範・ラジオDJ
2010年よりギャラリーやお店にて急須で淹れるお茶をふるまう活動を開始。現在ではお茶にまつわるモノ・コトの発信、企画を中心にお茶“漬け”の毎日を過ごしている。暮らしの中に取り入れやすいサステナブルアイテムを探求することも好きで自称“アットDIMEのゆるサステナブル部部長”
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