
リストラなどで収入が減ってしまったり、家計を補うためにあちこちからお金を借りたりすると、借金の完済はかなり難しくなります。
副業で収入を増やす、節約するなどの方法で収支を改善する余地はありますが、そんなに上手くはいかないという方もいらっしゃるでしょう。
借金の返済があまりにも苦しい場合には、弁護士に相談して「債務整理」を行うことが効果的です。
月々の返済額が多すぎる、元本がなかなか減らないなどのお悩みをお抱えの方は、一度弁護士に債務整理の相談をしてみましょう。
今回は、借金の返済負担が重い場合の対処法として有効な「債務整理」について解説します。
1. 債務整理をすると借金の負担が軽減される
ショッピングでの浪費やギャンブル、住宅や車の購入、また最近ではコロナ禍による減収により借金を背負い、返済に苦しんでいる方もいらっしゃるかと思います。
このような方が債務整理を行えば、以下のように借金負担の軽減が見込めることを知っておきましょう。
・元本が減額または免除される
・利息や遅延損害金がカットされる
・借金の返済スケジュールが組み直される(月々の返済額が減る)
など
無断で借金を踏み倒す、滞納することは違法ですが、債務整理によって借金の負担を軽減することは適法です。
もし借金の返済が苦しくなっている場合には、債務整理による解決を模索しましょう。
2. 3種類の債務整理|任意整理・個人再生・自己破産
債務整理には、主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」という3つの方法があります。
①任意整理
債権者と交渉をして、借金の返済スケジュールを見直す方法です。
利息や遅延損害金のカットが認められるケースが多く、交渉次第では月々の返済負担を大きく減らせる可能性があります。
裁判所を通さない手続きなので、比較的気軽に利用できます。
手続きの期間が短く、準備の手間もそれほどかからないのが大きなメリットです。
また、家族に秘密にしやすいという特徴もあります。
ただし、任意整理を成立させるためには、債権者の同意が必須となりますので、返済計画をきちんと示す必要があります。
他の債務整理手続きと比べると、元本のカットが認められにくいことも難点といえるでしょう。
②個人再生
裁判所の個人再生手続きを通じて、借金の元本を大幅に減額する方法です。
元本が減額されるため、任意整理よりも大きな借金減額効果が期待できます。
債権者により再生計画案が決議(頭数の過半数・債権額の2分の1以上)され、さらに裁判所によって認可されれば、同意しない債権者との関係でも借金を減額できます。
また、住宅ローンを減額の対象外とすることで、マイホームを手元に残しながら借金を減額できる点も大きな特徴です(住宅資金特別条項)。
ただし、少なくとも100万円は債務の元本が残るため、ある程度高額の借金を抱えた方向けの手続きといえます。
また、個人再生を利用するためには、給与などの安定した収入があることが必須です。
③自己破産
裁判所の破産手続きを通じて、借金全額を免除する方法です。
免除が認められるのは自己破産のみであり、すべての債務整理の中でもっとも強力な手続きといえます。
自己破産をした場合、生活に必要と認められる一部の例外を除いて、価値ある財産がすべて処分されてしまう点に注意が必要です。
しかし、もともと財産をほとんど持っていない方であれば、自己破産のデメリットをそれほど気にしなくてもよいでしょう。
自己破産は、定職についていない方や、収入が非常に少ない方でも利用できます。
そのため、借金を清算してリスタートを切りたい方には、非常に利用価値の高い制度です。
このように、3つの手続きにはそれぞれメリット・デメリットが存在するため、ご自身の状況を踏まえて適切な手続きを選択することが大切です。
3. 債務整理にかかる費用は?
任意整理・個人再生・自己破産の各手続きにかかる費用は、以下のとおりです。
裁判所に納付する予納金等については、全額が準備できなければ手続きが開始しません。
そのため、申立ての前に積み立てを行い、必要額を準備しなければならないことに注意しましょう。
これに対して、弁護士費用については、弁護士によって分割払いなどを認めてくれる場合があります。
また、資産・収入が一定以下の場合には、法テラスの民事法律扶助を利用できるケースがありますので、法テラスの窓口で相談してみましょう。
参考:
法テラスHP
4. まとめ
借金の返済を滞らせてしまうと、債権者から裁判を起こされたり、強制執行により財産を失ってしまったりするおそれがあります。
そのため、借金の返済負担が重すぎると感じた場合には、早急に対処が必要です。
債務整理を利用することで、無理のない範囲まで借金の負担を抑えられる可能性がありますので、お早めに弁護士までご相談ください。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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