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ひとりで死ぬことは悲惨でもみじめでもない。「極上のおひとり死」を実現するために今からできること

2021.10.05

自宅で一人で死ぬことは、悲惨でもみじめでもなく、清々しい旅立ち

どうやら生涯独身らしい自分。叔父もそうだったので、一人は気楽で良いなと思っているが、心配事が一つある。孤独死だ。

一人暮らしの老人が、死後一か月ほど経ってから発見される、というニュースを読むとハッとする。できれば周りに迷惑をかけないようにしたいと思っていたら、こんな本が目に飛び込んできた。「極上のおひとり死」(松原惇子著、SBクリエイティブ刊、定価990円)である。

著者の松原先生によると、これまでは「家族に看取られる死」が普通で、ひとりで死ぬことは特殊な死に方だった。しかし、「おひとり老人」が多くなった今は、「ひとりで死ぬ」ことは決して特別なことではなくなってきたと書いている。

それを、勝手に「孤独死」「孤立死」「無縁死」とするのは、自立して生きてきた「おひとり老人」にあまりに失礼ではないか。(「極上のおひとり死」より)

という言葉にとても共感した。本では女性の一人暮らしの事例がほとんどだが、男性と女性では「おひとり死」に何か違いがあるのだろうか。

30代ビジネスマンの自分が最後、『極上のおひとり死』を実現するために今からできることなどを著者の松原惇子さんに書面インタビューで教えてもらった。

孤独死のイメージを変えよう

――親から田舎に帰るたびに「孤独死しないように誰とでもいいから結婚しろ」と言われていましたが、孤独死なんかこわがる必要はないのですね!

松原先生回答

ひとりで死ぬというと、なぜか寂しい、怖いというイメージを持つ人が多いと思いますが、しょせん、人は、ひとりで死ぬもので、いくら家族に囲まれて死んだからといって、一緒に死んでくれるわけではありません。自分の人生を終える作業をするのは自分。死は、とても孤独で崇高な作業だと思います

それなのに、ひとり暮らしで亡くなったと聞くと、悲惨な孤独死を思い浮かべ、「わあ、みじめだ。それだけは避けたい」と思ってしまうのは、マスコミの影響でしょう。独身で自宅でひとりひっそりと亡くなった方をわたしはたくさん見てきましたが、ぜんぜん悲惨でも惨めでもないですよ。むしろ、清々しい旅立ちだとわたしは感じました。

誰にも邪魔されずに人生を終えることができる

なので、わたしは「おひとり死」を書くにあたり、「ひとりの死」に「お」という尊敬の言葉を添えました。本人がひとり暮らしだったからといって、孤独だったかどうかは、他人がとやかくいうことではないでしょう。どんな死に方でも、その人が自分の人生をまっとうしたのだったら、それは「おひとり死」です。もし、連れ合いや親と同居していたら、なかなか「おひとり死」はできないと思います。

なぜなら、家族というのは、言い方は悪いけれど、愛と言う名のもと、余計なことをするのが普通だから。本人は静かに旅立ちたくても、大騒ぎをするので、それまでひとりで生きてきた人の最後をぐちゃぐちゃにされることが多い。でも、ひとり暮らしなら誰にも邪魔されずに人生を終えることができる。ひとり者の最大の利点はこれだと、今、わたしは確信を持って言えます。

頭の固い世間体にとらわれている人が、ひとり身の人を見て、可哀そうと思うのは自由ですが、そんな偏見で人を見る人の方が、よっぽど可哀そうだと思いますよ。

家族がいるのも善し悪しだと思います。みなさんだって、「あなたのことを心配しているからよ」とか「あなたのために言っているのよ」と、家族からの愛のおせっかいに閉口した経験はあるのではないでしょうか。

こんな言い方をしたら申し訳ないけれど、無知な家族を持つと、自然に死なせてくれませんよ。本人がもう治療はしないでいいと言っているのに、「先生、死なせないでください。どんな形でもいいので命だけは……」と医者に懇願する人は多いものです。その結果、本人は苦しむ。そんな例は日常茶飯事なんです。

ひとり身は悪くない!

一方、ひとり身の場合は、人間関係がシンプルなので、最期もシンプルです。それを孤独だとか寂しいと言う人には言わせておけばいい。ひとり身の良い点は、あわてて救急車を呼ぶ人がいないので、静かに死ぬことができること。25年間、おひとりさまの団体をやってきてわかったことは、強がりでもなんでもなく、ひとり身は悪くないということです。

DIME読者の若い皆さん、親から「結婚しろ」と言われても、気にしないことね。自分がその気になったらすればいい。50歳を過ぎてもその気にならなかったら、濃い人間関係よりシンプルな生活が合っているということですよ。わたしは、決して結婚否定派ではありませんが、ひとりの良さもあるので、そちらにも注目してくださいね。

親もパートナーもいいけれど、あなたのことを本当にわかってくれるのはあなたしかいない。自分を信じて、他人の評価なんか気にしないで前を向いて堂々と生きましょう!!

それから、結婚するのはいいけれど、女性にはくれぐれも注意をしてね。女性は籍を入れたとたんに変貌する動物なので。あら、あら、余計なことを言ってしまったかしら。ごめんなさい。

―――あ、そ、そうなんですね!?でも、すごくうれしい励ましの言葉!ありがとうございます!では、今からできる30代ビジネスマンのための死の準備はありますか?

松原先生回答 

死の準備?そんなものはありません。30代は人生最高の年代です。なんにでもチャレンジできる。そんな素晴らしい時期に死のことなんか考えていてはだめ。今しかできないことを、やりましょう!

まずは、自分に合った仕事を見つけること。夢に挑戦すること。それが、30代の今、やることだと思います。がんばってね。

――ありがとうございました!

松原先生は20年以上もの長い間、ひとりの終活について講演や執筆活動を行ってきた。そんな松原さんが語る「極上のおひとり死」はとても勇気をもらえる一冊となっている。

「死」は確かに思い通りにならないけれど、それでも最後に松原先生の言う「清々しい旅立ち」という言葉が刺さった。

著者・松原 惇子

松原 惇子(まつばら・じゅんこ) 1947年、埼玉県生まれ。昭和女子大学卒業後、ニューヨーク市立クイーンズカレッジにてカウンセリングで修士課程修了。 39歳のとき『女が家を買うとき』(文藝春秋)で作家デビュー。3作目の『クロワッサン症候群』(文藝春秋)はベストセラーとなる。 女性ひとりの生き方をテーマに執筆、講演活動を行っており、1998年には、おひとりさまの終活を応援する団体、NPO法人SSS(スリーエス)ネットワークを立ち上げる。 著書に『わたしのおひとりさま人生』(海竜社)、『老後ひとりぼっち』『長生き地獄』『孤独こそ最高の老後』『ひとりで老いるということ』(SB新書)などがある。

/柿川鮎子

編集/inox.

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