リンナイ「寒暖差疲労」に関する意識調査
季節の変わり目は体調不良に悩まされる人も少ないだろう。そこで今回、リンナイは、全国20~60代の男女計2,350名を対象に、「寒暖差疲労」に関する意識調査を実施した。専門家のアドバイスとともに結果を紹介しよう。
せたがや内科・神経内科クリニック
院長 久手堅 司先生
医学博士。著書に「最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方」、監修本に「面白 いほどわかる自律神経の新常識」「自律神経失調症外来」「頭痛外来」「肩こり・首こり外来」など複数の特殊外来を立ち上げ、中でも天候と不調の関係にフォーカスを当てた「気象病・ 天気病外来」「寒暖差疲労外来」は、テレビ・新聞・雑誌・ウェブなど各種メディアで話題を呼んでいる。
「寒暖差疲労 簡易チェックシート」で自身の寒暖差疲労の可能性をチェックし現状を知ることからはじめてみよう。
【久手堅先生コメント】
「寒暖差疲労」とは、気温差が大きいために体温を調整する自律神経が過剰に働き、体が疲れてしまうこと。寒暖 差疲労の症状を訴える人は寒さの入口に当たる秋ごろから徐々に増え始めます。
コロナ禍で自粛期間が増加すると、運動不足やストレスで自律神経が正常に働きづらい状態となり、寒暖差疲労も増えてくる可能性が高いです。
まずは10項目をチェックして、寒暖差疲労のレベルを確認しましょう。寒暖差によって疲労が溜まると、さまざまな体調不良を連鎖的に引き起こすリスクが高くなります。そのため、寒暖差を感じやすいシーズンに入る前に、対策を意識することが大切です。
久手堅先生監修 「寒暖差疲労 簡易チェックシート」
4問以上にチェックがついた「寒暖差疲労予備軍」は約3割
寒暖差疲労の可能性を調べる全10問の簡易テスト「寒暖差疲労 簡易チェックシート」を、久手堅先生に作成してもらった。今回の調査の結果、回答者の約3割が「寒暖差疲労予備軍」と判定された。
最もチェック数が多かった設問は「夏の暑さも寒さも苦手」、続いて「肩こり、首こりがある」「PC作業やスマートフォンの使用時間が長い(1日平均3時間以上)」。反対に、チェック数が最も少なかった設問は「入浴中、湯船に入って体の芯から温まるまで時間がかかる」だった。
Q1.あなたに当てはまるものを全てお選びください。 (複数回答 N=2,350)
【久手堅先生コメント】
上位3つに関しては、院内でも訴えている方が多いです。暑さや寒さが苦手なのは、寒暖差疲労の強い方にはほぼみられます。そして、PC作業やスマートフォンの使用は、首・肩こりに強い関係があります。
首・肩こりは自律神 経の乱れを引き起こす大きな誘因です。寒暖差疲労は気象だけでなく、現代人特有のデジタル漬けのライフスタイ ルも影響していると考えられます。
また、近年のスマートフォンの普及により、首のこりを感じる人が急増していますが、首のこりにつながる骨格のゆがみが、寒暖差疲労を引き起こすきっかけになっていることも考えられます。
「寒暖差疲労予備軍」が最も多いのは「新潟県」、最も少ないのは「和歌山県」
「寒暖差疲労 簡易チェックシート」の結果、「寒暖差疲労予備軍」が最も多い都道府県は「新潟県」、続いて「滋賀県」。最も少ない都道府県は「和歌山県」だった。
【久手堅先生コメント】
女性の割合が高いのは、筋肉量、ホルモン量などが関係して大きな差が出ています。30代に関しては、社会活動 性が活発であること、生活習慣が乱れやすいこと、心身ともに負担が多いからではないでしょうか。
回復の力の目 安となる副交感神経の機能が低下し始めるのも30代からと言われています。「新潟県」や「滋賀県」など盆地や内 陸部では、温度差が高いために寒暖差疲労のリスクが高いと言えます。
秋から冬にかけては、昼と夜でも、寒暖差が大きいほか、エアコンを使い始めると室内と外との気温の差も大きくなり、体調の管理には特に注意が必要です。
夏から秋の変わり目で体調を崩したことがある人は約7割
季節の変わり目の体調の変化を聞いた。夏から秋の変わり目で体調を崩したことがある人は約7割、季節の変わり目に寒暖差で悩む人は約2割、身体の不調を感じることがある人は約5割だった。
Q2.あなたは、夏から秋の変わり目で体調を崩したことがありますか? (単一回答 N=2,350)(図左)
Q3.あなたは、季節の変わり目に寒暖差で悩んだり、身体の不調を感じることがありますか? (複数回答 N=2,350)(図右)
また、前問にて「季節の変わり目に寒暖差で悩んだり、身体の不調を感じることがある」と答えた人に、具体的にどのようなことに悩んだり、不調を感じることがあるかを聞いた。
その結果、最も多かった回答は「疲労」、続いて「肩こり」「倦怠感」。また、季節の変わり目の対策として行なっていることで最も多かったのは「十分な睡眠をとる」、続いて「規則正しい生活をする」「運動をする」だった。
Q4. Q3で「ある」と回答した方にお聞きします。 具体的に、どのようなことに悩んだり、不調を感じることがありますか? (複数回答 N=1,506)(図左)
Q5. Q3で「ある」と回答した方にお聞きします。 季節の変わり目の対策として行っているものを全てお選びください。 (複数回答 N=1,506)(図右)
【久手堅先生コメント】
寒暖差疲労の代表的な症状は、倦怠感、だるさ、冷え、です。これらに加え、肩こり、首こり、頭痛、めまいなどの身体的な不調から、不安感や気持ちの落ち込みなどの精神的な不調まで、症状は人それぞれです。
中でも、疲労感は最も出やすい症状です。当院でも、季節の変わり目で不調を訴える方は多いです。
季節の変わり目の対策として、睡眠、規則正しい生活、運動は、とても大事です。早起き、日光を浴びる、栄養もしっかり取る、適度な運動、ストレスをためないようにする、アルコールやカフェインの摂取はほどほどにする、など規則正しい生活習慣を心がけましょう。
疲れを感じやすいと思う人は約7割
疲れの感じやすさを調査した。その結果、約7割が疲れを感じやすいと思う、と回答。都道府県別では、「島根県」が最も多く、反対に「神奈川県」は最も少ない結果だった。
Q6.あなたはご自身に関して、疲れを感じやすいタイプだと思いますか? (単一回答 N=2,350)
また、睡眠の質についても調査した。その結果、約6割が睡眠の質が悪いと思う、と答えた。都道府県別で は、「新潟県」が最も多い結果に。さらに、睡眠の質が悪いと思っている人の方が、寒暖差疲労に悩んでいる 割合が27ポイント高い結果となった。
Q7.あなたはご自身に関して、睡眠の質が悪いと思いますか ? (単一回答 N=2,350)
【久手堅先生コメント】
睡眠は人間にとって、回復するためのとても大切な時間です。そのため、睡眠の質が悪い人は、朝起きた時点で、 心身のリセットが出来ていません。
自律神経も乱れている状態なので、寒暖差疲労も起こしやすいです。 睡眠は、睡眠の質と長さが重要です。眠りについてから90分程度が一番深い睡眠となります(90~120分の個人差があります)。
ここで深い睡眠がとれないと、その後の睡眠は質が悪くなると言われています。長さに関しては、7 ~8時間しっかり眠れるのが理想です。
日本は統計からも、睡眠時間が少ないと言われています。睡眠の質、睡眠 の長さの順番で大事にしましょう。
過半数が日常的に運動を実践 都道府県別で最も多いのは「東京都」
運動の頻度について調査した。その結果、過半数が日常的に運動をしていると答えた。都道府県別では、 「東京都」、続いて「鳥取県」で運動をしている人が多く、反対に「福井県」「奈良県」で少ないことが分かった。
Q8.あなたは現在、週にどれくらい運動をしていますか?運動とは、息がはずみ、汗を軽くかく程度以上のものとします。 (単一回答 N=2,350)
また、運動をしていると答えた方に、具体的にどのような運動をしているか聞いた。最も多かった回答は 「ウォーキング」で、続いて「筋力トレーニング」、「ストレッチ・体操」という結果になった。
Q9.具体的にどのような運動をしていますか?(複数回答 N=1,181)
【久手堅先生コメント】
運動頻度は週3~5回で、自分の体調や身体の状態に合わせて構いません。ウォーキングであれば、30分以上で 汗が出る程度の負荷が望ましいです。
ジョギングは、15~20分で充分です。運動自体は、どんな種類でも構いません。筋トレは、重い負荷から始める場合、骨や関節、筋肉を傷めやすくなるため注意が必要です。正しい知識と方法で行いましょう。
大切なのは、運動前は軽いウォームアップ、運動後はストレッチやマッサージをしっかりと行うことです。ウォーキングやジョギング中は、イヤホンやヘッドホンを使わないことをおすすめします。
人間は五感がとても重要で、聴覚が使いにくい状況では緊張状態になりやすく、肩こりを減らすために運動をしていても、イヤホンやヘッドホンの使用が肩こりの原因になってしまいます。
冷え性と感じている人は寒暖差疲労にも悩む
冷え性について調査したところ、約4割が冷え性であると答えた。冷え性と感じている人の方が、寒暖差疲労に悩んでいる割合が17ポイント高い結果となった。
Q10.あなたは冷え性ですか(単一回答 N=2,350)
【久手堅先生コメント】
寒暖差疲労は、本格的に冷え込み寒暖差が大きくなる秋から冬、冬から春に起こりやすくなります。寒暖差には、 最低気温と最高気温の差、前日の気温差、室内外の気温差と、3つの種類があります。
日中は、冷えから身を守る ために、長袖やマフラー、ストールなどを着用して調整しましょう。
冷え性の方は、就寝中に手袋や靴下を着用されることがありますが、あまりおすすめできません。末端からの放熱ができず身体に熱がこもってしまい、睡眠の質 の低下により疲れが取れにくくなります。
就寝中は、首や肩の冷えに注意しましょう。首や肩は布団から出てしまう ため、冷えによる症状がより出やすくなります。
また、首や肩の冷え対策としては、上着やマフラーなどで首や肩を 冷やさないようにする、こまめに動かす(血流やこりの改善)、内臓をあまり冷やさないようにする、PC作業とスマホ 時間は短めにして時々休憩を入れる、首肩をあたためるグッズを使用する、首までしっかり入浴するなどが効果的です。
暑い時期には、冷たい飲み物が欲しくなりますが、冷やしすぎないようにしましょう。入浴をしっかりすることも、冷え対策となります。
湯船に浸かる人は約8割
入浴時に湯船に浸かる習慣を調査した。その結果、約8割が湯船に浸かると答えた。また、湯船に浸 かると答えた人に、冬の湯船に浸かる頻度を聞いたところ、最も多かったのが「26日以上31日未満」だった。
Q11.あなたは、入浴時に湯船に浸かっていますか? (単一回答 N=2,350) (図左)
Q12.冬の間、月に何日程湯船に浸かっていますか? (単一回答 N=1,856) (図右)
【久手堅先生コメント】
毎日の生活の中では、体を効率的に温めることを意識してみてください。入浴することで、体に蓄積された老廃物 や疲労物質が取り除かれる「温熱作用」のほか、血液やリンパの流れを改善する「水圧作用」、筋肉や関節をリ ラックスさせる「浮力作用」の3つの効果を得られるため、入浴は体を温める手法として最も効果的です。シャワー で済ませず、毎日しっかり湯船につかりましょう。
湯船の温度は約4割が40℃
前問で、湯船に浸かると回答した人に湯船の平均温度を聞いた。その結果、約4割が40℃と答えた。
湯船 の平均温度が最も高い熱風呂県は40.8℃の「京都府」、続いて40.7℃の「群馬県」「千葉県」という結果になった。一方、最も低い都道府県は38.8℃の「沖縄県」、続いて39.8℃の「福岡県」だった。
Q13. Q11で「浸かっている」と回答した方にお聞きします。 湯船の平均温度を教えてください。 (単一回答 N=1,901)
続いて、湯船に浸かる平均時間を調査。その結果、約5割が「10分以上20分未満」と答えた。湯船に浸かる時間が最も長い長風呂県は17.9分の「茨城県」、続いて17.1分の「滋賀県」。反対に、最も短い都道府県は10.3分の「京都府」、続いて10.9分の「福井県」「島根県」だった。
Q14. Q11で「浸かっている」と回答した方にお聞きします。 湯船に浸かっている平均時間を教えてください。 (単一回答 N=1,901)
【久手堅先生コメント】
湯船にしっかり浸かった場合は、深部体温が0.5~0.7℃位上昇します。上がった深部体温が下がってくるタイミン グ(入浴後90分前後)で、寝ると睡眠の質が良くなります。
一番お手軽でおすすめの入浴法は38~40℃程度のお湯に、約10~15分程度、首までしっかり湯船に浸かることです。体の芯から温まります。
軽いマッサージなどを行うとその日の疲れも取れやすくなります。また、炭酸ガス入りの入浴剤を使うことで、すばやく体を温めることができ、 湯上がり後も温かさが持続して、湯冷めしにくくなります。
よりリラックスするために、ジャグジーや入浴剤などを好みで使用しても良いでしょう。
冷暖房シーズン中の空調機器の使用頻度は「毎日」が最も多い
自宅での空調機器の使用頻度を調査した。空調機器を使用する人に、冷暖房シーズン中の使用頻度を聞いたところ、約7割が「毎日」と答えた。また、空調機器を使用する人の方が、寒暖差疲労に悩んでいる割合が13ポイント高い結果となった。
Q15. 「空調機器を使用している」方にお聞きます。冷暖房シーズン中、一週間のうちどれくらいの日数、空調機器を使用していますか?空調機器とは、エアコンや石油・ガスファンヒーター、床暖房など部屋全体の冷房や暖房ができる機器とします。 (冷房:単一回答 N=1,982、暖房:単一回答 N=1,733
空調機器を使用する人に、空調機器の使用時間を聞いた。その結果、冷房、暖房ともに「5時間以上7時間未満」が最も多い回答だった。また、「23時間以上」の回答者は、冷房では約13%、暖房では約6%だった。
Q16. 「空調機器を使用している」方にお聞きます。一日のうちどれくらいの時間、空調機器を使用していますか? (冷房:単一回答 N=1,982、暖房:単一回答 N=1,733)
【久手堅先生コメント】
コロナ禍の影響で、換気を行いながらの空調使用が多くなっています。
室内でも一定の温度ではなく、温度差が出 ます。それも寒暖差疲労になりやすいので注意です。冷房は、体に直接風を当てないこと。
同じ25℃の風でも、自然風と人口風では、冷え方が違います。冷房が直接体にあたってしまい、冷えからの寒暖差疲労が発症してしまう方も多いです。
暖房も、暖めすぎないこと。のぼせやすく、疲労が蓄積しやすくなります。冷房と同様に体に直接風を当てないほうが良いです。
サーキュレーターや扇風機もうまく活用しましょう。ずっと一定の温度環境にいると、自律神経も急な温度変化にも対応しにくくなります。空調の効いていない場所に行くことや、少し体を動かしたりすることも大事です。
【調査概要】
調査時期: 2021年8月7日~8月9日
調査方法: インターネット調査
調査対象: 20~60代 男女 計2,350人
調査エリア: 全国47都道府県
構成/DIME編集部