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「宿六」の意味と語源

2024.04.06

「宿六」という言葉をご存知だろうか。妻から見た夫や、宿の主人を指す言葉だが、日常会話ではあまり耳にする機会が少ないかもしれない。

そこで本記事では、「妻から見た夫」の意味の宿六について深掘りし、その由来や類語・対義語、英語表現について解説する。ぜひ参考にしてほしい。

宿六とは?詳細な意味や使い方を紹介

はじめに、「宿六」の読み方と正しい意味を紹介する。この機会にユニークな語源も併せてチェックしてほしい。

読み方は「やどろく」、意味は「家のろくでなし」

宿六は「やどろく」と読み、地域によっては「どうろく」と読むこともある。意味は二つあり、一つは「宿のろくでなし」の意味で、妻が自分の夫を卑しめたり、親愛の意を表現したりする際に用い、特に夫のことを他人にふざけて言う時に「うちの宿六が~」などのように用いる。もう一つの意味としては、「宿の主人や亭主」を表す。

語源は「ろくでなしの夫」

宿六は、宿(夫)の六(ろくでなし)の略語。「宿」には「宿屋」以外にもいろいろな意味が存在し、先述した通り、妻が他人に対して夫のことをいう語としても用いられる。

「六」は「ろくでなし」の略といわれるが、人名にも使われる漢字のため、何かを擬人化する際にも使われる。例えば、愚か者を意味する「甚六(じんろく)」は、「順禄(読み方:じゅんろく/世襲制度により順を追って家禄を相続すること)がなまり、「六」の字を当てて擬人化した言葉だ。長男長女は才能や努力がなくとも家禄を相続できたため、弟妹に比べてうすぼんやりしていることが由来。このように、「六」は「ろくでもない、役立たない、愚か者」といったイメージで使われるやすい言葉だ。

ちなみに、「ろくでなし」の「ろく」は本来「陸」と書く。「陸(ろく)」は、土地が平らなことから、物や性格がまっすぐできちんとしている様子を表している。その否定形の「陸でなし(ろくでなし)」は、不真面目で性格が曲がった人を指していたが、さらに”役に立たない人”の意味で使われるようになった。

東京・浅草のおにぎり専門店の店名にも使われている

東京・浅草の人気おにぎり専門店の店名にも「宿六」が使われている。「おにぎり浅草宿六」は東京で最も古いおにぎり専門店。三代目店主のご主人のおばあさまが昭和29年に創業し、厳選された素材を使った本格派おにぎりを提供している。そのこだわりや人気からは「ろくでなし」な姿は想像できないが、どのような意味で名付けたのかが気になるところだ。

宿六の対義語、類語、英語表現

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宿六の対義語・類語・英語表現をチェック

次に「宿六」の対義語、類語、英語表現を紹介する。対義語は「夫が妻を卑しめたり親しみを込めたりして呼ぶ場合」と、「妻が夫を丁寧に呼ぶ場合」とに分けて説明する。

対義語は「嬶」「主人」

宿六の対義語は「嬶」や「主人」。シーンによってどちらを使うかが異なる。

夫が妻を卑しめたり親しみを込めたりして呼ぶ場合

「嬶(かかあ)」

自分の妻や他人の妻を親しみを込めた言い方。また、ぞんざいに呼ぶ際にも用いられる。古代、「かかあ(かか)」は蛇の意味で使われていたが、時代とともに意味が変わり、庶民の間で母や妻を表す語として用いられた。古代はK音とH音の発音が曖昧だったため、「かか」と「はは」の2種類が定着したとされる。現在「かか」はほとんど使われないが、「かか」の丁寧語「おかか」が崩れた「おっかあ」は馴染み深い。

「ばした」

妻や母親、娘などの婦女子を卑しめた言葉で、語源は「立場が下」の意味。「宿六」と対になる言葉だが、上下関係を如実に表す言葉のため、現代において用いられることはほとんどない。

妻が夫を丁寧に呼ぶ場合

「主人」

「一家の主、自分の仕える人」という意味。上下関係を表す言葉のため、近年では使用を避ける人も多い。しかし、本来は丁寧な言葉であるため、目上の人や、知り合って間もない人と会話をする時には、「主人」を使うのが無難とされる。

類語、同義語

「ろくでなし」のニュアンスを含んだ言葉はないが、ここでは夫を表す表現の中で、特にカジュアルに用いられるものを紹介する。

亭主

その家の主人や夫、宿屋・茶店などのあるじを指す言葉。亭主の「亭」の字は、屋敷や住居を表している。亭主はその建物の主人を指し、そこから「一家の主人」を意味するようになった。本来は敬意を込めた言い方だったが、現代ではややくだけた表現として捉えられている。

旦那

妻が自分の夫や他家の夫を指して言う以外にも、男性の雇用主や顧客に対する敬称としても使われる。古代インドのサンスクリット語で「施し・布施」を意味する「ダーナ」に由来する言葉だ。ダーナが中国や日本に伝わった際に「檀那(旦那)」という漢字が当てられ、その意味も「布施をする人」に変わっていった。そして、江戸時代の寺請(てらうけ)制度がきっかけとなり、夫が旦那と呼ばれるようになったといわれる。亭主と同じく敬称ではあるが、現代では敬う度合いが低いカジュアルな呼称とされている。

内の人(うちのひと)

同じうちにいる人との意味から、妻が第三者に対して自分の夫のことを指して使う言葉。内とは、「自分が所属しているもの」を指し、「家」と書くこともある。友人同士など、気の置けない間柄での会話に用いられる。

英語表現

最後に、「宿六」の英語表現を見ていこう。「ろくでなし」のニュアンスが含まれる言葉はないが、「妻から見た夫」を指す言葉を紹介する。

・husband:夫。「He is my husband./彼は私の夫です。」のように用いる。
・hubby:husbandを省略した語で、夫のへの愛称として使われている言葉。親しい相手に夫の事を話す時に使われる。
・hub:hubbyを更にカジュアルにした言い方。

英語には夫に対する愛称はあるものの、「ろくでなしの夫」を意味する単語はないようだ。他人の前では身内を卑しめる文化の有無が、語彙にも如実に表れているといえる。

文/oki

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