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ワインにかかる酒税はどれくらい?覚えておきたい税率と関税の基礎知識

2021.10.09

ワインにかかる酒税は2018年の法改正以降、段階的に変更されています。販売価格にはいくらの酒税が含まれているのでしょうか?酒税に関する基礎知識からワインの税率がどのように変わるのか、個人輸入に関わる関税まで解説します。

酒税の基礎知識

ワインをはじめとしたお酒の販売価格には、消費税の他に『酒税』という税金が含まれています。酒税の概要と歴史・2018年の改正から変わりつつある税率について解説します。

アルコールに課される「酒税」とは?

酒税とは、アルコール度数1%以上の飲料が対象となる税金です。ワインをはじめウイスキーや日本酒・ビール・発泡酒など、全てのアルコール飲料に対して課税されます。

酒税は、販売者ではなく購入する人が払う『間接税』の一種です。スーパーやコンビニ・酒店などでお酒を買うときは、消費税の他に酒税も一緒に支払っています。

国がアルコール飲料に税金をかけているのは、生活必需品ではなくでも多く消費され、安定した税収が見込めることが理由といえるでしょう。

また、お酒は健康へや社会への悪影響も懸念される飲料です。酒税を課すことで必要以上の消費を抑制する効果も期待されており、多くの国が酒税を導入しています。

参考:【総則】|国税庁

実は古い酒税の歴史

日本の酒税の歴史は古く、鎌倉時代や室町時代から幕府によって徴収されていたといわれています。これらは酒造業者から酒つぼの数を基準にして徴収され、年貢以外の大きな財源となりました。

明確な制度として導入されたのは江戸時代です。当初は酒蔵を統制するための仕組みでしたが、さらに税収を上げるための制度へと発展しました。

明治になると社会の近代化に伴い、酒税も現行の法律に近い形へと整備されます。1953年に現行の『酒税法』が制定され、何度も改正を重ねて現在に至りました。

参考:酒税が国を支えた時代|租税史料特別展示|税務大学校|国税庁

ワインも増税?2018年からの改正

日本の税収の中で大きな割合を占めていた酒税も、1990年代中盤から徐々に税収が下がり始め現在は全ての税収の2%ほどにとどまっています。

2018年4月に行われた酒税法の改正では、税収の回復を目指して2026年まで段階的に税率が変更されることになったのです。

改正まで、酒類は大きく『発泡性酒類』『醸造酒類』『蒸留酒類』『混成酒類』の4種類に分けられており、それぞれさらに細かく区分して税率が定められていました。

2020年10月・2023年10月・2026年10月の3回に分けた改正では、発泡性種類と醸造酒類の区分・税率が見直される計画です。2023年には『ビール』『発泡酒』『新ジャンル』という三つのくくりが『発泡性酒類』に統一されます。

『醸造種類』では最終的に、ワインは2021年現在よりも増税され、逆に日本酒は減税される予定です。

参考:酒税法等の改正のあらまし
参考:国税・地方税の税収内訳(令和元年度決算額)|総務省

ワインの酒税について解説

(出典) pexels.com

ワインの酒税がいくらかかるか知るためには、そのときに適用されている税率を把握する必要があります。2021年現在の税率と段階的な増税について深掘りしていきましょう。

「果実酒」であるワインは2段階で増税

ワインは『醸造酒類』に分類されるお酒です。

醸造酒類は『清酒』『果実酒』『その他の醸造酒』の三つに分類されています。ぶどうを原料にしたワインは果実を原料としているため、『果実酒』に該当する飲料です。

2020年からスタートした改正には、酒類の間にある税制格差の解消や消費者間の税負担を公平性に保つ目的もあります。そこで、2023年10月までに清酒・果実酒で異なっていた税率を統一する方針が決まりました。

ワインが該当する果実酒は、2020年10月に1段階目の増税があり、350ml当たり28円から31.5円に引き上げられています。2023年10月に2段階目の改正を行い、35円に上げる予定です。

逆に、日本酒をはじめとする『清酒』は元の税率が42円と高く設定されていたため、ワインと同じタイミングで変更され35円まで引き下げられることになります。

参考:酒税に関する資料 : 財務省

発泡酒類の酒税もチェック

ビールや発泡酒・新ジャンルといった発泡性種類も、分類だけでなく税率が統一されます。

2021年現在350ml当たり70円と高いビールの税率は、2023年10月に63.35円・2026年10月に54.25円と引き下げられていく予定です。

『第3のビール』と呼ばれる新ジャンルは、現在350ml当たり37.8円とビールより低いものの、2023年の段階で54.25円まで税率が引き上がります。

発泡酒に分類されるお酒に2023年の増税はありませんが、2026年10月には46.99円から54.25円へと引き上げ予定です。

ワインには実際いくら税金がかかる?

(出典) pexels.com

ワインを買うときは店頭での購入だけでなく、インターネットを通じて個人輸入する人もいるでしょう。実際の税額を計算するには、関税についても考える必要があります。

個人輸入で楽しむ場合に税額を計算するときの考え方を、関税の概要とともにチェックしましょう。

ワインの輸入にかかる関税

『関税』とは、自国の産業や市場を守るため、輸入品にかける税金です。海外から輸入するものには基本的にかけられるため、ワインの販売価格にも消費税・酒税とともに関税が上乗せされています。

しかし、近年では貿易自由化の観点から関税の撤廃が進み始めました。ワインの生産が盛んなEU諸国とチリからの輸入では、現在完全に関税が撤廃されています。

2021年現在、ワインの主要輸出国の中で関税がかからないのは、EU加盟国とオーストラリア・チリです。

ただ、TPP(環太平洋パートナーシップ)加盟国のうちオーストラリアとチリ以外の国から輸入した場合は、2026年の撤廃まで関税がかかります。

参考:日EU・EPA 交渉結果(ワイン) – 国税庁
参考:わが国の関税制度の概要 : 財務省

個人輸入する場合の考え方

個人でワインを楽しむために輸入する場合、1kgまでであれば関税はかからない決まりです。原価から税金を計算したいなら、そのときの酒税率と消費税率を適用すれば問題ありません。

ただ、現地から輸送するための費用や、輸出入の手続きにかかるコストも必要です。インターネットで個人輸入をするときは、原価よりも必ず高くなると考えておきましょう。

一方、1kgを超える輸入は販売目的と見なされ、国ごとに決まった関税が課されます。輸入国と税率を確認して、消費税や酒税にプラスして計算しましょう。

参考:3105 酒類の輸入について(カスタムスアンサー)税関 Japan Customs

構成/編集部

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