登場から約10年足らずで数百万倍に価値が膨らんだビットコイン。その原因は何か? 主な急騰原因や、今後の展望について整理してみよう。機関投資家が参入し、新たな投資マネーが流入しているが、今後も上昇トレンドは続くのか。それとも今が天井で、下落していくのか。客観的に分析してみよう。
ビットコイン価格が急騰した過去のイベントは?
2009年1月3日に運用が始まったビットコインは当初、1BTC=1円未満の価値しかなかったが、約12年たった2021年、約700万円の最高値を付けた。大局的な視点では右肩上がり。しかし1年単位で分解すると、様々ななイベントを契機に乱高下した。とりわけ記憶に残るビットコインが急騰したイベントを下の表で整理した。経済危機による不安の反動や、需要増による期待増など様々なイベントが急騰を引き起こしている。仮想通貨には、既存の資本主義経済に対立する考えが含まれる一方、金融資産としてはゴールド(金)や原油などのように「モノ」としての機能がある。前者の場合には政府による締め付けが急落を、政府に対する不安が急騰を引き起こす。後者では「モノ」は利息を生まない考え方から、金利が上昇すると価格が下落する。金利下落や、金融緩和政策で市中の現金が増加すると、インフレによる価格上昇が起こる。ほかの金融商品と異なる性質が急騰要因となっている。
●ビットコインが〝急騰〟したといわれる主なイベント
国単位でのイベントが起きると価格の急騰が起きやすい。政府の不安や、戦争懸念による急騰は、「有事のドル買い」や「安全資産としてゴールドを買う」という投資の定石に似ている。2021年には初めて、企業の大量購入を契機とした急騰が起きた。今後も似たようなイベントが起こるごとに急騰するのは間違いない。
最高値を更新、どこまで価格は上がるのか?
10年単位の期間で考えると1BTCの価格はまだまだ上昇すると見られる。発行可能数量に対して投資などの需要が増加しているためだ。1BTC=700万円を超えた2021年から、そう遠くない未来に、1BTC=1000万円を超える可能性もある。しかし、ビットコインの人気を超える仮想通貨の登場や政府や金融当局の規制によっては、これ以上価格が上がらなくなる恐れもある。例えば2021年8月には仮想通貨イーサリアムがビットコインの取引量を上回る事態が起きた。仮想通貨への期待は根強いが、必ずしもビットコイン1強で価格が上がっていくとは言えない。
●ビットコインの価格推移
2020年後半から2021年にかけての上昇率は過去に比して大きいが、反動での下落も大きくなりそう。
過去1年で機関投資家の参入が目立つように
仮想通貨の将来性に、いよいよ機関投資家が目をつけた。背景にあるのはDeFi(分散型金融)やNFT(ノン・ファンジブル・トークン)など新たな需要が生まれ、ますます投資マネーが集まるという公算だ。またカナダでビットコインETFが承認された。これはビットコイン価格に連動する株式のような金融商品である。ビットコインに直接投資できないが、ETFなら、ビットコイン現物よりリスクが低くて投資してもよいと考える機関投資家もいる。
●個人投資家と機関投資家の投資額の推移
特に2020年第4四半期(2020年10~12月)には、個人投資家に対して機関投資家からの投資がかなり集まったことがわかる。
2022年にビットコイン価格は持ち直すのか?
■ 世界経済環境を認識して他の金融商品と相対比較した時の地位を予測
2021年上半期に最高値更新後、中国の暗号資産サービス規制などで本稿執筆時(2021年8月)は1BTC=500万円前後で推移している。今後の展開は一筋縄ではいかなそうだ。なぜならコロナ禍での経済緩和策終了による金利上昇に伴う下落要因とNFTやDeFiのさらなる普及による上昇要因が入り交じるからだ。また、新たな仮想通貨関連の投資対象が増えることで、当局の規制が強化されていく可能性もある。
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取材・文/編集部