■連載/大森弘恵のアウトドアへGO!
2021年9月18−19日、神奈川・パシフィコ横浜で「横浜キャンピングカーショー」が開催された。初会場となったパシフィコ横浜には有名ビルダー27社のバンコン、キャブコンがずらり。その中でも創意工夫が楽しい人気の軽キャンパー5モデルを厳選してご紹介。キャンピングカーの最新トレンドをチェックしていただきたい。
小さいけれど本格派の8ナンバー軽キャブコン
リチウムイオンバッテリーとソーラーパネルを搭載
ダイレクトカーズ/AMAHOⅡ(329万円〜。展示車両475万1800円)
取り回しのよいハイゼットトラックをベースに過ごしやすい装備を搭載した8ナンバー。リチウムイオンバッテリー×2、ソーラーパネル185W、インバーター2000W、走行充電、外部電源が標準装備されており、スマホやパソコンの充電はもちろん電子レンジなどの使用も可能だ。
ベッドをたためば巨大なカーゴスペースが生まれる。写真ではわかりづらいが、カーゴにアクセスするパネルは跳ね上げ式なので、ちょっとした屋根代わりになり、雨が車内に入り込みにくいのがいい。
ポップアップルーフは柱のない完全開放型で、テントを巻き上げると視界は広々。開放感抜群だ。
車内は運転席側にベッド、助手席側にシンクを備えたキッチンテーブルを配置しており、シンクのシャワーフォーセットをのばして窓から出せば、クルマの外での調理、自転車やキャンプ用チェアを洗うときに重宝する。
カーゴに荷物を乗せると運転席後ろをベッドとして使うには厳しい。そしてポップアップルーフのベッドは200×118cm。セミダブルベッドとほぼ同じサイズだ。
乗車定員4名/就寝定員3名だというが、自転車など趣味をとことん楽しむ旅でしっかり休息を取るならソロか親子ふたり旅までだろう。
エアコン+FFヒーターで年中快適
キャンピングカー オーゼット/Kanoa(395万3000円〜。展示車両407万4000円)
スズキ・キャリィトラックをベースとしたキャブコンで、シェルはベース車両よりもやや幅広。運転席の上にもベッドスペース(バンクベッド)を設けており軽トラとは思えないほど居住スペースが広い。おまけにシェルの窓はすべてアクリル二重窓になっており、断熱性が高いことも特徴だ。
FFヒーター、壁掛けエアコン、換気扇、網戸のおかげで一年中快適に過ごせるよう設計されている。
シートの下は収納スペースで、外側からアクセス可能。これはうれしい。
ベッドは210×120cmと160×85cm(バンクベッド)で、乗車定員4名/就寝定員大人2名+子ども2名。助手席側後部にシンクが装備されており、オプションで冷蔵庫、電子レンジをプラスできる本格派だ。
ダイネットはシンク前にテーブルをセットして、横向きシートに座るレイアウト。横並びに親子4名が座ったときに、はしまでテーブルが届かないのと、奥に座ると移動しづらいのが少々残念。
とはいえサブバッテリー100Ah、外部電源、インバーター1500Wなど電気関係が充実しており、趣味の旅やワーケーション、防災には十分だ。
気軽に車内泊ができる軽バンベース
ファミリー利用なら自動で開くテントを装備
東和モータース販売/クライン108Alle(275万5500円〜。展示車両412万6500円)
WILD LANDパスファインダーⅡ(ルーフトップテント)と、REAL RIDER SERIES ブギーライダー カスタムボディキットを装着した、スズキ・エブリィバンベースのクライン 108Alle。
コンパクトなボディに走行充電機能を備えたサブバッテリー105A、インバーター1500W、外部電源などを搭載しており、電子レンジとハイビジョン対応モニター、冷凍冷蔵庫、セラミックヒーターも装備するなかなかの本格仕様だ。
車内の就寝定員は2名だが、オプションのルーフトップテントを使えば4名就寝もOK。
ちなみにWILD LAND パスファインダーⅡはリモコンで開くので、あとはラダーをおろしてオーニング代わりになるシェルを広げるだけ。雨の日の設営もラクにできる。
ベッドは188×136cmでほぼダブルベッドサイズ。助手席用のベッドマットを追加すれば片側が248cmに拡張するし、大きめの荷物はベッドの後部下、小物は上部収納庫に収められるのでルーフトップテントなしでソロ〜デュオキャンプをする場合でも荷物置き場に困ることはない。
親子旅や、のびのび眠りたいならルーフトップテントを選択するわけだが、その場合、テント内はエアコンもセラミックヒーターもないので良質な寝袋とマットを用意しておこう。
待望のオプション“スーパー給電”が登場
オートワン/給電くん(235万7300円〜/ポップアップなし展示車両306万2400円)
ソーラーパネル、外部電源、インバーター700W、サブバッテリー55Aを装備したエブリイJOINターボ4WDベースの軽キャンパー。
うれしいことにこの夏、薄型ソーラーパネル100Wとサブバッテリー107Aをセットにしたオプション「スーパー給電」が用意された。これによりFFヒーター、2000Wまで強化できるインバーター、停車中に窓開閉できるパワーウインドリレーなどオプションの選択肢が広がっている。
写真はポップアップタイプで4名乗車/4名就寝を実現。冷蔵庫がないのでクーラーボックスやポータブル温冷庫を置くとなるとポップアップなしではソロ利用が現実的か。
後部にはカセットコンロ、オプションの電子レンジ、バタフライ式の給排水シンクがコンパクトにまとまっている。
車内で完結させるのではなく、外側にテーブルを取り付けてバックドアの下やサイドオーニング下を積極利用するのが正解だ。
ホンダディーラーが作った本気の車中泊カー
ホンダ/ラクネル N-VAN(291万2000円〜。展示車両394万6100円)
大型荷室と助手席側センターピラーレス、フルフラットなどキャンプや車中泊にほしい装備満載のホンダ・N-VAN。ホンダカーズ神奈川中ではN-VAN(展示車両は+STYLE FUN 4WD)にベッドキット、インバーター1500W、走行充電バッテリー、外部充電システムなどを装備した軽キャンパーを用意して話題となっている。
オプションでFFヒーターや発電機、冷蔵庫、屋根の断熱加工、ソーラーパネル200Wを選べるほか、ホンダ純正のルーフインナーサイドパイプ、ルーフインナーラック、有効ボード、プライバシーシェードなどもあり、自分好みにカスタム可能だ。乗車定員4名/就寝定員2名。
ベースが軽自動車であっても、大容量サブバッテリーとインバーター、走行充電、ソーラーパネルを搭載できるモデルは珍しくない。
「キャンプでは家電を使わない。余計なものを搭載せずゆったり眠れればそれでいい」と思っていても、エンジンを切っても電気を使える、さらには日中、太陽光で充電できるなら停電時に頼りになるという面がある。ペットがいるならなおさらだ。
サブバッテリー等を強化すればその分価格は上がるが、軽キャンピングカーは維持費が安いので手を出しやすい。キャンプでの使い勝手やデザインはもちろん、台風・地震・豪雪など災害への“備え”も考慮して装備を選びたい。
取材・文/大森弘恵