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「愛の不時着」にハマった人におすすめ!北の収容所の実態を描いたアニメ映画「トゥルーノース」

2021.09.25

2020年にNetflixで配信され、日本でも大ヒットとなった韓国ドラマ、『愛の不時着』。筆者はこのドラマが好きすぎて6周も観たほどだ。

主題のラブストーリーだけでなく、普段なじみのない北朝鮮の生活や文化も知れるところが見どころでもある。このドラマをきっかけに、北朝鮮という国自体に興味を持つ人も多かったのではないだろうか。そんな人にぜひ見てもらいたい映画がある。

世界で最も過酷な場所と言われている、北朝鮮の強制収容所に送還された家族が生み出す人間ドラマ『トゥルーノース』が2021年の6月に日本で初公開された。

普段私たちがほぼ見聞きすることのない、北朝鮮内部の実態。2021年11月10日(水)にDVDの発売が決定されたので、映画のあらすじと、筆者が映画館へ実際に観に行って感じた見どころをご紹介していきたい。

トゥルーノースとは

出典:映画『トゥルーノース』公式サイト

トゥルーノースは、北朝鮮が管理している収容所の中でも最も重い罪を犯した人が送還される「政治犯収容所」でのリアルな出来事を描いた作品だ。

1960年代の帰還事業で日本から北朝鮮へ移民し、平壌で平和に暮らしていた主人公ヨハンとその家族。ある日突然、秘密警察と呼ばれる保衛部員が家に押しかけてきて、理由もわからないまま政治犯収容所へ送られてしまう。最低限死なない程度の食糧しか与えられず、毎日の強制労働で餓死や病死する人も絶えない地獄のような場所で、ヨハンは「人は何故生きるのか」を探究していく。

この映画は、在日コリアン4世の清水ハン栄治氏が監督を務め、多くの脱北者に取材を行い約10年もの月日をかけて制作された。このプロジェクトの狙いは、強制収容所の存在を広く世界に知らしめ、より多くの人々にそのような事実があったという「目撃者」となってもらうこと。というのも、いつか北朝鮮が国際社会の舞台に迎え入れられるタイミングで、国連などから査察される前に全ての人権侵害の証拠隠滅をする恐れがある。そんな時、この映画が抑止力として働くことが清水氏の願いだ。

トゥルーノースはすでに世界中で高く評価されており、アニメ映画の世界最高峰を選ぶ、世界で最も長い歴史を持つ「アヌシー国際アニメーション映画祭」でノミネート入り。他にも、北米プレミアのナッシュビル映画祭では長編アニメ部門のグランプリに、伝統のあるワルシャワ国際映画祭では革新的で野心的な作品として審査員特別賞を受賞しているほどだ。

見どころは「北の実態」と「人間としてあるべき姿」

出典:映画『トゥルーノース』公式サイト

リアルな北朝鮮の実態がわかるというのは、この映画の見どころの一つでもある。実際に作中では、公開処刑や拷問、死体の山など、現代で実際に起きていることだとは想像しがたいショッキングな場面も多々登場する。アニメでなく実写化されていたら見るにも耐えない光景だが、実際に今起きていることして世界中の人々に広めることができた意義はとても大きいだろう。

もう一つの見どころは、どんなに絶望的な状況にあっても、希望を持って一生懸命人間らしく生きようとする人々の姿。そもそもこの映画のテーマは「人は何の為に生きるのか?」だ。

出典:映画『トゥルーノース』公式サイト

作中で主人公のヨハンは収容所内の作業班の責任者に気に入られ、収容者たちを抑圧する側として活動する時期がある。時には人を蹴飛ばしたり暴力を振るうシーンも出てくるのだが、ある日家族を失ったことをきっかけに、ヨハンは人が生きる意味について考え始める。それからは困っている人を助けたりと、人として正しい行いをするようになる。

ヨハンの母親ユリは、ヨハンとヨハンの妹のミヒに「いつも美しいモノを探す気持ちを」と教える。収容所内は一つの村のようになっておりそれぞれ住居が与えられるのだが、どんなに劣悪な環境に住まわされても、ユリは摘んできたお花を飾ったり、具合の悪い他の収容者の面倒を診てあげたり、今日あったいいことを寝る前に話したりと、”人間らしさ”を失わない。

『トゥルーノース』というタイトルには二つの意味が込められており、一つは「ニュースでは報道されない北朝鮮の現実」、もう一つは「絶対的な羅針盤」だ。絶対的な羅針盤とは、自分がどの位置にいようともコンパスの針は常に北を指すことから、「決して変わらない進むべき正しい方向」という意味で、英語の慣用句として使われている。まさに、人が人としてあるべき姿、人間らしさとはどういうものかを描いたこの映画にぴったりなタイトルだ。

出典:Makuake

北朝鮮の強制収容所内の出来事と言えど、私たちも自分の立場に置き換えて考えさせられるところがあるのが、このトゥルーノースの良さでもある。ここで描かれている「人間としてのあるべき姿」とは、人を蹴落として自分だけが地位を築くのではなく、人の力を必要とする立場の弱い人にこそ思いやりを持ったり優しくしたりすること。

特に仕事が忙しく、自分のことでいっぱいいっぱいな社会人が多い日本。忙しさのあまり、人間らしさを失っている人も多いのではないだろうか。職場で同僚を見下してはいないか、電車でお年寄りが座ろうとしている席に自分が先に座ってはいないか、いつも支えてくれているパートナーへの感謝の気持ちを忘れてはいないか、トゥルーノースを観て、少しでも自分が他の人にしてあげられることを考え、人に対する優しい気持ちを思い出すきっかけにして欲しい。

<参考>

出典:映画『トゥルーノース』公式サイト
出典:Makuake

取材・文/ゆりどん

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