静岡県浜松市の珍スポット トンネルの中の交差点を目指す!【カブガール】
「地響き!轟音!…怖すぎる!」
今回は「珍スポット」と呼んでもいいのかな?ちょっと変わった道を見に行ってきました。
なんと、トンネルの中にY字型の交差点があるそうなのです!
なぜ?そして、一体どういう形の交差点なの…?!ということで、この目で確かめに行ってみましょう!
浜松市天竜区へやってきました
やってきたのは静岡県浜松市天竜区。
浜松市というと浜名湖付近の観光地やビルが立ち並ぶ景色が思い浮かびますが、ここ天竜区は山に囲まれ、一級河川である天竜川の流れるのどかな地域です。
生憎の曇り空ですが、向こう側に見える秋葉ダムはぼんやりとした日光でコンクリートの無機質さが際立ち、晴れの日よりもかえって迫力が増しているような気がします。
突然現れたトンネル内分岐
問題のトンネルは秋葉ダムのすぐ横を通る国道152号線、その途中の「西川(さいが)隧道」です。
入口は一見普通のトンネルなのですが、右側にある標識を見れば、秋葉ダムへ向けてトンネル内で道が分岐しているのがわかります。
その形はY字というか三角というか、あまり見かけることのない形状。
が、注意して見ない限りは標識が目に入るのは一瞬だけ。ほとんどの方がトンネルの中で初めて分岐の存在に気が付くのではないでしょうか。
オレンジ色の光で照らされたトンネルに入り、300mほど走った頃でしょうか。
「……あ!っうわ! あった~!」
確かにトンネルの中、右折というよりは斜め右方向へ新たなトンネルが伸びています。
あると知って来たにも関わらず、いざ目の前にすると驚いてしまいました。
道幅の狭さと暗さから実際の走行速度よりも体感速度が速く、突然分岐が現れるように錯覚してしまうのかもしれません。
T字型ではなくY字型にしてある理由は、出入りする車が見やすくすることで事故を減らすため?
それとも急なハンドル操作を避けることで事故を防ぐため?
たくさんの疑問が浮かびます。
迫力の秋葉ダム
ドキドキを抑えきれないまま右折してトンネルを抜け、視界が開けるとドーン!と目の前に現れるのが秋葉ダム。
近くで見るとますます大きくて迫力たっぷりです。
残念ながら放水はしていませんでしたが、この秋葉ダム、真正面から全貌を見ることができるとっておきの場所があるんです。
それはダムより270mほど坂を下ったところにある歩行者用の真っ赤な吊り橋。
遠くから見て改めて感じるのは、装飾のない機能性にのみしぼられたデザイン。無骨ながらもスタイリッシュに見えますね。
吊り橋に書いてあった説明によると、この付近の道は「秋葉街道」といい、江戸時代から秋葉神社への信仰の道として栄えていたんだとか。
もちろん当時はダムも橋もないため、こんなに幅の広い川を渡舟で行き来していたのだそうです。
自然たっぷりでずっと昔からあるような景色に見えるのに、たった200年前には随分景色が違ったのだろうと思うとちょっと不思議な気分になっちゃいました。
合流は見て・聞いて確認しよう
さて。ダムの見学が終われば元のトンネルへ戻ろう!と思ったのですが、これがまた怖いのです。
なにしろ古いトンネルなので、寂れているし暗いしで雰囲気は抜群。これが夜人気のない時間帯であったならば、幽霊のひとりやふたり出てきてもまったく違和感がないほどです。
このまま佐久間・水窪(みさくぼ)方面、つまり右へ行こうと思ったのですが…どうでしょう。見通しがすごく悪いことが伝わりますか?
おまけにトンネルの中をトラックが通過しようものなら、狭いトンネル内の空気がまるで地響きのような轟音と共に振動するんです。
音って目に見えないだけで細かな波が伝わってきているんだなあと、身をもって実感しました。
ということで、合流の際はミラーと目視の確認に加えて耳で聞いて確認すると安心です。
静かな瞬間にそっと出発しました。
トンネルの中の交差点。全国でも珍しい形状なので滅多に見かけることはないと思いますが、通行する機会があれば見て・聞いて安全に合流してくださいね。
今回はダムのまわりをぐるっと走っただけなのに、こんなにたくさんの発見があるとは思ってもいませんでした。
ちょこちょこと停車をしながら色んな場所を観察して回れるのは、身軽なカブならではでしたね!
文/高木はるか
アウトドア系ライター。つよく、しぶとく、たくましくをモットーにバイクとキャンプしてます。 愛車はversys650、クロスカブ110、スーパーカブ90。
高木はるかの記事は下記のサイトから
https://riding-camping-haruka.com
編集/inox.