DIME MAGAZINE
漢字二文字の言葉で、読み方を迷うケースは多い。「道標」もその一つだろう。音読みで「どうひょう」と読むか、訓読みで「みちしるべ」と読むか、二つの読みの使い分けはあるかなど、「知っているようで知らない」という人も少なくないはずだ。道標とは、道案内やそのために設置された標識などを指す。難しい言葉ではないが、文学作品をはじめとする芸術分野においては比喩的な意味で使われる場合もあり、意外に奥深い。教養の一環として、さまざまな意味と使い方を覚えておくと便利だ。
そこで本記事では、道標の読み方と意味、道標を使った例文や、道標と似た意味を持つ言葉（類語）などを解説する。
道標とは？読み方と意味
道標の読み方には、音読みと訓読みの二種類がある。日本語には「人気」（音読み：にんき、訓読み：ひとけ）のように、音読みと訓読みでは意味の異なる言葉も少なくないが、道標の場合はどちらの読み方で読んでも同じ意味となる。
道標の読みは「どうひょう」「みちしるべ」「みちじるし」
道標の読みは、音読みで「どうひょう」、訓読みで「みちしるべ」または「みちじるし」。一般的には「道標」のように漢字二文字で書く場合は、音読みの「どうひょう」を採用するケースが多い。一方、訓読みで「みちしるべ」と読ませたい場合は「道しるべ」と書くことが推奨されている（参考：共同通信社『記者ハンドブック 新聞用字用語集』）。ただし、小説や楽曲のような芸術分野では「道標」と書いて「みちしるべ」と読ませるケースも多く、厳密なルールはないと理解しておこう。
道標の言葉の意味は？
道標の本来の意味は、通行人のために道の方向や目的地までの距離を知らせる標識のこと。案内板や立て札、石碑、塚などのような人工物はもちろん、目に付きやすい自然物（特徴のある木、岩、山など）を指すこともある。
「行き先や目的地を示す物」という言葉本来の意味が転じて、物事の順序や方法などを示す書物（指南書、手引書など）や、それをアドバイスする人物（水先案内人など）を指すこともある。
その他、宮本百合子の長編小説（読み方は「どうひょう」）や、福山雅治の楽曲（読み方は「みちしるべ」）にも『道標』が使われている。直近の例では、アニメ『約束のネバーランド』Season 2 特別編のタイトルが『道標』となっている。
また、ハンミョウ科の昆虫の別名としても知られる。ハンミョウは光沢のある体を持つ甲虫で、人が山道を歩いていると地面を飛び立ち、先導するように少し先へ飛んでは再び着地することから、迷ったときに道案内をしてくれる虫という俗説がある。
道標を使った例文、類語、英語表現
先述の通り、道標には「標識」という言葉本来の持つ意味と、「手引き」のような比喩的な意味合いがある。例文を通じて実際の使い方を知っておくとともに、「道標」に似た意味を持つ言葉も併せてチェックしておこう。
道標を使った例文
「分かれ道に旅人のための道標を立てた」
「星を道標に船の航路を決める」
「祖父のその言葉は、今も私の人生の道標となっている」
道標と似た意味を持つ言葉（類語）
道標の二つの意味のうち、どちらを使用するかによって類語も異なる。「標識」の意味で使われる道標の類語は、「道路標識」や「道案内」など。また、山岳地帯で他の登山者のために登山ルートを示す「ケルン」は、外来語だが日本語にも浸透しており、山の道標として有名だ。「オボ（オボー）」は、このケルンに似た言葉で、モンゴルの人々によって作られる標識を指す。
一方、「順序・やり方」を示す意味での道標は、「手引き」「ガイド」「案内」といった言葉のほか、物事の基本的な情報や指示が記されたものを表す「しおり」、ある分野で先行している人物を示す「先達」などが類語として挙げられる。
英語ではどのように表現する？
道標を英語で表現する場合は、標識の意味で使うのであれば「signpost」「guidepost」「milestone」などが適切。一方、手引きや案内の意味で使うのあれば「guide」「handbook」「manual」などが該当する。
ちなみに、日本語の「しおり」には「基本的な情報の案内」という意味があるため（遠足のしおりなど）、「道標」とは一部意味が重なるが、英語の「bookmark」に同様のニュアンスはなく、「目印」や「Webブラウザのお気に入り機能」などの意味合いが強い。道標を英訳する際は「bookmark」では意味が伝わりにくいため注意しよう。
文／oki
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