レンズ性能を極限まで引き出す6100万画素の実力は?SIGMAのフルサイズミラーレス「fp L EVF-11Kit」で古都を撮る
2021.09.22■連載/ゴン川野の阿佐ヶ谷レンズ研究所
フルサイズ6100万画素で541gのボディ
SIGMA fpは重さ422gで、約2460万画素の小型軽量フルサイズミラーレスである。それを高画素化したのがfp Lで画素数は約6100万画素まで増やされ、重さは427gとほぼ変わっていない。さらに外付けのEVF「ELECTRIC VIEWFINDER EVF-11」が専用アクセサリーとして登場した。
外付けEVFを装着しても総重量は541gにしかならない。手のひらに収まる超高画素フルサイズミラーレスはLEICAのミラーレスと互換性のあるLマウントを採用するため、レンズの互換性も高い。今回はSIGMAの誇るArtラインから、「14-24mm F2.8 DG DN ┃ Art」と「24-70mm F2.8 DG DN ┃Art」の2本をチョイス。作例は写真家、小平尚典氏が訪れた京都、奈良で撮影してもらった。
グリップ、ホットシューも省かれたミニマルデザインのボディはオブジェのように見える
液晶モニターは固定式。カメラを持った時に右側にあるボタンを誤って押すことが多いと小平氏が指摘
付属品の外付けのホットシューユニットを使ってフラッシュなどが装着できる
fpシリーズ用に製品化されたEVF-11は0.5型、約368万ドットの有機ELを搭載。上90度までのチルト機能を備えている
ネジを使ってカメラに固定する方式。着脱に時間がかかり、ネジが緩みやすいのが残念だ
14-24mm F2.8 DG DNを装着したカメラの重量はストラップ込みで実測1386gだった
奈良豆比古神社の楠、樹齢1000年を超えると言われる神木。雨に濡れた木々のしっとりとした質感が再現されている。明るめのグリーンの発色は独自のものでLEICAともFUJIFILMとも違う色合いだ
SIGMA fp L 14-24mm F2.8 DG DN 1/40sec、F4.0、ISO100
国の重要文化財でもある旧奈良少年刑務所。全国初の監獄ホテルに生まれ変わる予定。手作りのレンガをイギリス積みして作られた表門は監獄とは思えない瀟洒な建物である
SIGMA fp L 14-24mm F2.8 DG DN 1/100sec、F5.6、ISO125
鏡池から見た東大寺。青空が少し見えるが全体的に落ち着いた発色だ。14mmで撮影とは思えないほど、歪みが少ない。1mmで大きく画角が変化する超広角域ではズームの威力が発揮される
SIGMA fp L 14-24mm F2.8 DG DN 1/100sec、F10、ISO125
東大寺の白壁と土壁。雨に濡れた石畳と土壁の質感が見事に描き分けられている。超広角によるパースペクティブの強調で土壁がどこまでも続くような奥行き感が得られた
SIGMA fp L 14-24mm F2.8 DG DN 1/125sec、F5.6、ISO125
夕焼けの発色も派手過ぎずコクのある色乗りが楽しめる。色が濃いだけでなく微妙な色合いの違いや濃淡が再現され超高画素で撮ったことを実感できる
SIGMA fp L 14-24mm F2.8 DG DN 1/60sec、F4.0、ISO200
24-70mm F2.8 DG DNは、開放絞り値がF2.8固定だけあり重量級だ。撮影重量は実測で1283gだった。それでも他社のフルサイズミラーレスと比較すれば軽く、取り回しは軽快だ
鏡胴の側面にはAF/MFの切り替え、フォーカスロック、ズームロックスイッチが並ぶ。AFLボタンはカメラ側から任意の機能に変更できる
最短撮影距離は18-38cmとかなり寄れる。苔むした石に現れた雨間のかたつむりの柔らかな体が見事に再現されている
SIGMA fp L 24-70mm F2.8 DG DN 1/50sec、F8.0、ISO100
雨が多かった中、70mmで撮った陽射しを受けた1枚。淡い紫の色調が繊細に捉えられ、背景のボケ具合も好ましい
SIGMA fp L 24-70mm F2.8 DG DN 1/400sec、F9.0、ISO125
光に透けて見えるもみじの葉。SIGMAの得意な透明感のある色合いが活かされた。葉の重なった部分の繊細な色合いが水彩画を思わせる
SIGMA fp L 24-70mm F2.8 DG DN 1/15sec、F7.1、ISO200
24mmで切り撮った竜安寺の石庭。大海の中の島を思わせる石と手前の人物の対比で画面に動きが生まれる。白砂につけられた文様も緻密に記録されている
SIGMA fp L 24-70mm F2.8 DG DN 1/25sec、F10、ISO200
写真・文/ゴン川野