海外旅行で編み出した旅行の滞在時間当たりのお得理論
筆者はかつて、海外旅行ジャーナリストとして、単行本やムック、海外旅行専門誌を手掛けていたことがあり、世界中のホテル、リゾートに滞在していた経験がある。
そこで気づいたある理論が、チケット代の高い、早い時間に日本を出発し、早い時間帯に現地に着き、遅い時間に現地を出発する旅程のほうが、実はお得というものである。理由は、滞在1時間あたりのコストが、結果的に安くなり、現地で楽しむ時間が増えるから。現地到着時間が早ければ、ランチの機会が1回増え、現地出発時間が遅ければ、ランチどころか、ディナーを楽しむ機会さえ増えるというわけで、時間的余裕と楽しみが生まれるのである。
パームスプリングスのプール付きコテージにて
すごい海外旅行術
国内旅行では連泊がお得で充実する
今、海外旅行に出かけるのは難しいタイミングであり、旅行好きにとっては、安全・安心に配慮した国内旅行が楽しみになっているはずだが、国内旅行でも、同じような理論が成立する。それは、1泊より連泊のほうが、お得で圧倒的に充実した旅行が可能になるということ。
その理由は、やはり、滞在1時間あたりのコストと、時間的余裕、それによる楽しみ、ゆとり、満足感の増大である。では、具体的に説明しよう。1人、1泊2日、2食付きで2万円の宿に泊まるとしよう。チェックインは午後3時が一般的で、チェックアウトを翌午前11時とする。すると、滞在時間は20時間であり、1時間あたりのコストは1000円である。一方、2泊すると、滞在時間は44時間となる。2日目の11時にチェックアウトする必要がなく、そのぶんの4時間(11時から15時まで)が、プラスされるのである。2泊であれば、料金は4万円になるものの、滞在1時間あたりのコストは約909円と、10%近く安くなる(チェックアウトが10時だとさらにお得!!)。
それだけではない。1泊の滞在だと、チェックイン→すぐに夕食、翌朝は朝食後、バタバタでチェックアウトの準備・・・という流れになる。ゆっくりできるのは、ほぼ初日の夕方以降のみである。クルマの運転主からすれば、やっとたどり着いて、またすぐ翌朝、運転することになる。女性であれば、限られた時間内にいろいろやることだらけで、むしろ疲れてしまうかもしれない。
しかし、連泊であれば、朝食後もゆったり。荷物をまとめる必要はなく、ホテルでのんびりするのもいいし、外に出て手ぶらで観光することもできる。軽井沢などのホテルでは、レンタル自転車もあり、徒歩やクルマでは味わえない空気感、景色を堪能することもできる。
連泊なら夜の過ごし方も変わり、食事にも大満足
夜、バーで1杯やるにも、部屋で1杯やるにしても、気分がまったく異なるではないか。そうした余裕、楽しみは、1泊ではまず味わえないと言っていい。そもそも、チェックインした段階での気持ちの持ち方が違ってくるのである。
また、連泊の場合、夕食のメニューが変わるのが普通。1泊では出会うことのできない食材、連泊メニューで、舌鼓を打てるかもしれない。そうしたゆとり、楽しみを含めれば、1時間あたりのコスト以上の、お得感、満足感が得られるというわけである。お風呂自慢の宿なら、つかる回数も劇的に増えるはずである。
連泊割引があるホテルなら、なおさら、と言っていい。もちろん、1泊より2泊のほうが、トータルの出費はかさむのだが、旅行という非日常を存分に堪能するには、旅行のプロからすれば、”ゆとりある時間”をいかに過ごせるか否かが大きなポイントになる。
サプライズの連泊プランもいい
ここだけの話、筆者は「サプライズ」として2泊目をこっそり用意することがある。朝、バタバタしそうになっている相手に、「実は2泊するんだよ」と告げれば、驚きと喜びが沸き上がるはずだ(2泊分の用意をしていない、と怒られるかもしれないが、近くに必要なものを売っているお店があればほぼ解決する)。ホテル朝食も、よりゆったりと味わい、楽しみ尽くすことができるだろう。
秋は絶好の旅行シーズン。1泊ではなく、連泊でこそ得られる旅行の醍醐味、楽しさをぜひ味わっていただきたい。
文 ・写真/青山尚暉