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見どころたっぷり!エヴァの原点とも言われる90年代アニメの名作「ふしぎの海のナディア」展

2021.09.18

1990年の4月から1991年の4月までの1年間、NHKで放送されたアニメ『ふしぎの海のナディア』。

「SFの父」ジュール・ヴェルヌの『海底2万マイル』と、『海底世界一周』を原案とし、庵野秀明監督を筆頭に『新世紀エヴァンゲリオン』をのちに手がけるチームが制作した…、とアニメ文脈を羅列しただけでも役満ッ!、引きありまくりと言った感じの90s特異点アニメだ。

そんな『ふしぎの海のナディア』の放送開始から30年を記念して、「ナディア」制作時の奇跡的に現存する膨大な資料を展示する「ふしぎの海のナディア展」が、コロナ禍での延期を経てついに開催された。

今回は、このナディア展を辿りながら、ナディアの思い出を書いていこうと思う。

航海というよりは、漂流。いま、君の目にいっぱいの未来。

▲アニメOP史に残る名曲『ブルーウォーター』が流れる中、輝く宝石・ブルーウォーターの展示。
この曲、今聞くとサビにハモ類のコーラスがまったく無い、歌声に絶大の信頼を置いた潔いアレンジだ。

あらためて、簡単にあらすじを紹介すると、1889年、発明好き(のレベルを超えている)少年・ジャンは、パリ万博でサーカスの少女・ナディアと出会う。

彼女に一目で惹かれたジャンだったが、ナディアの持つ謎の宝石・ブルーウォーターを狙うグランディス一味の襲撃を受ける。

やがて2人は、超古代文明の兵器を擁する秘密組織ネオ・アトランティスと、ネモ船長率いる謎の潜水艦・ノーチラス号との、ブルーウォーターを巡る壮大な争いへと巻き込まれていくのだった。

▲庵野監督の第1回と最終回の台本。
この展覧会最大の目玉は、これらの庵野監督による直筆メモやプロット。作品創作の流れを追いかけるうえで、めちゃくちゃ貴重な資料だ。

さて、自分は95年の『新世紀エヴァンゲリオン』を背伸びして見ていた世代なので、ナディアは後追いだった。

エヴァにハマった流れで、「エヴァの監督がNHKで作っていた、なんか名作劇場みたいな雰囲気のアニメ」というイメージしか持っていない状態でナディアを見た。

▲会場は、それぞれのエピソード群に分かれての原画や設定画の展示が中心となっている。”生”の資料という点で迫力も抜群。こうして設定画で見ると、話も作画もぶっ飛んでいた「島編」が、色々と遊びが盛り込まれていて楽しめるのも面白いポイント。

ナディアの面白さに気づいたのは、背伸びしたい時期を抜けて、だいぶ大人になった時だった。

10年ぶりくらいに見返してみると、そもそも1話からめちゃくちゃ面白い。

ナディアは、定形化した「萌え」的キャラクター観からは予測不能なほど、生の感情を刺激してくる前人未到のヒロインで、色々な意味で目が離せない。

イラつく人はとことんイラつき、ハマる人はとことんハマる、「無視できないヒロイン」がナディアなのだ。

このキャラクター性と貞本義行さんの描く褐色の美少女という最強ビジュアルで、『アニメージュ』誌のキャラクターランキングで絶対不動だったナウシカを抜いて1位に輝くほどの熱狂的な人気を集めた(ちなみに、ナウシカとナディアの2キャラが1位と2位を独占した期間は約2年間に及んだ)。

そんなナディアの生々しさに対して、ナディアをとことん支えるジャン(ジャンみたいな彼氏が欲しい!というファンレターがよく届いたそうだ。おれだって欲しい)や、最高かっこいいネモやサンソンと言った他の登場人物たちが行動原理のスキッとした気持ちの良いキャラクターばかりで、全体でのバランスは取れている。

そして、東宝特撮や『宇宙戦艦ヤマト』をはじめとするアニメ作品への愛に満ちたノーチラス号のメカ描写の格好良さ、のちにエヴァや『シン・ゴジラ』でも庵野監督とタッグを組む鷺巣詩郎氏による『ネオ・アトランティス』『悪の三人組』、そしてエヴァQにも流用された『万能戦艦N・ノーチラス号』といった名曲の数々、パリ万博から古代超文明経由で宇宙の果てM78星雲まで飛んでいく壮大なストーリーと設定、声優陣の名演!

とにかく作り手たちのやりたい「面白いだろ!」が全部詰めこまれた、快楽の闇鍋的楽しさがナディアの魅力だ。

▲23~39話の監督を務めたのは、近作でも庵野監督とタッグを組む樋口真嗣監督。ここでは、第1話の初号テープ「白箱」や、音楽のデモテープが展示。

よく「エヴァの原点」と表現されるナディアだが、これはスタッフ陣の枠組みなどの間接的な意味にとどまらない。

様々なアイデアを詰め込み、バラエティに富んだナディアの世界を、より庵野秀明的フィルターで純化したのがエヴァ、と言ったら良いんだろうか。

まさしくエヴァのプロトタイプと言える作品で、90年代以前のアニメとエヴァンゲリオンをつなぐミッシングリンクとしての役割も果たしている。

そういう意味では、エヴァ的幻想”だけ”を追い求めていた少年期の自分にとっては物足りなかったのも今になって納得がいく。

そんな『ナディア』のある種の雑多さを受け入れられなかった思春期の頑なさと、大人になりその「広がり」を受け入れられるようになった変化に思いを馳せつつ、ジャンとナディアの成長に重ね合わせながら見て回る「ふしぎの海のナディア展」は、忘れられない空間になった。

▲もちろん30周年グッズも充実。個人的に良いなと思った、ブルーウォーター(水)とノーチラス号の缶詰。図録には、前述の庵野監督のメモや、声優陣の対談も収録されていて資料価値も抜群。

展覧会情報

「ふしぎの海のナディア展」

・会場:東京ソラマチ5階 スペース634
・住所:〒131-0045東京都墨田区押上1丁目1-2 東京スカイツリータウン・ソラマチ5階
・新開催期間:2021年9月26日(日)まで
・新開催時間:土日祝日10:00~19:00(平日は13:00~19:00) ※最終入場は18:00
・価格:前売券1,500円、当日券1,800円、公式図録引換券2,700円
・公式HP:https://www.nadia-exhibition.com/index.html

取材・文/タカハシヒョウリ

タカハシヒョウリ
ミュージシャン、作家。ロックバンド「オワリカラ」ボーカルギターとして6枚のアルバムをリリース。
また様々なカルチャーへの偏愛と独自の語り口で、カルチャー系媒体での執筆や、番組・イベント出演など多数。

編集/福アニー

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