社内ニートとは、ほぼ仕事をしない社員です。うらやましいと思われがちですが、社内ニートの現状にストレスを感じる人も多いでしょう。働く気があっても仕事をもらえない原因から、社内ニートになってしまったときの過ごし方や・抜け出し方まで紹介します。
「社内ニート」とはどんな社員?
会社に居場所がなく感じていると「これって社内ニートでは…」と不安になるかもしれません。
そもそも、社内ニートとはどのような社員を指すのでしょうか?『ニート』という言葉の定義とともに紹介します。
「ニート」という言葉の定義
ニート(NEET)とは『Not in Education(教育を受けていない) Employment(雇用されていない) or Training(訓練を受けていない)』の頭文字を取った造語です。
イギリスの若年失業者問題の中で生まれた言葉で、日本語では『無業者』『若年無業者』と訳されることがあります。
日本におけるニートの定義は、『非労働力人口のうち家事も通学もしていない、15~34歳の人』です。総務省統計局の発表によると、2020年に日本でニートと定義される人の総数は69万人に上っています。
参考:労働力調査(基本集計)2020年(令和2年)平均結果の要約|総務省統計局
社内で仕事がなく暇を持て余している人
社内ニートとは社員としての待遇を受けているにもかかわらず、ほとんど仕事をしない人です。出勤から退勤までを無為に過ごす非生産的な様子が、家にこもるニートにたとえられました。
『仕事を与えられない』という点では窓際族に似ていますが、窓際族は主に『出世コースから外れて閑職に追いやられた人』です。定年間際の社員がほとんどで、20~30代の働き盛りが多い社内ニートとは根本的に異なります。
仕事をしなくても給料がもらえると聞くと、「社内ニートがうらやましい」と思う人もいるでしょう。しかし、出勤してもただ座っているだけという状況は、人によっては大きなストレスになります。
一緒に仕事をする周囲の目も厳しく、本人にとって望ましい状況とは限りません。
社内ニートになってしまう原因
社員として採用されているにもかかわらず全く仕事をしない人が発生するのは、なぜなのでしょうか?社内ニートが生まれる原因について見ていきましょう。
組織の教育が行き届いていない
会社の研修フローに問題がある場合、新人は仕事が覚えられません。いつまでたってもお客様状態のままで在籍するため、次第に仕事を任せてもらえなくなります。
慢性的に人手不足だったり忙しすぎたりする部署では、周囲の人は自分の仕事で手一杯になりがちです。先輩・上司が「頼んでミスをされると面倒だから自分でやろう」と考えれば、新人は放置されてしまうでしょう。
仕事をもらえない新人は成長できず、結果として忙しそうにしている社員たちの中、ただ座って業務時間を過ごす事態に陥ります。
人員が過剰で仕事が少ない
会社・部署の業務量に対して社員が多すぎる場合、優先的に仕事を与えられるのは優秀な社員です。全く仕事をもらえない人が出て、社内ニートといわれる状態になります。
業務と社員数がアンバランスになってしまう原因としては、『業績不振で仕事が減った』『人員配置ミス』『採用人数を読み間違えた』『閑散期で仕事がない』などが考えられます。
一時的な業績不振や閑散期が原因なら、業績が回復したり繁忙期になったりすれば仕事が振られる可能性はあるでしょう。
しかし、それ以外の理由なら一社員が状況を変えるのは困難です。社内で大きな変革がない限り、何も仕事がない状態からの脱出は期待できません。
本人に問題がある場合も
上司も先輩も、業務をきちんとこなしてくれる人に仕事を任せたいと考えます。十分なスキルがなかったりやる気ゼロだったりする社員は、仕事を振られる回数が次第に減っていくでしょう。
周囲とコミュニケーションが取れない人も、社内ニートになりがちです。
勝手に仕事を進めたりプライドが高く反抗的だったりする社員は、面倒なトラブルを起こすケースが少なくありません。「仕事を振って関わりたくない」と考える先輩・上司が増えれば、任される仕事量が減少します。
自分が社内ニートになっていて他の原因が思いつかない場合は、仕事を振られないような要素がなかったか振り返ってみましょう。
社内ニートが楽とは限らない理由
仕事をせずに給料をもらう姿を見て、「社内ニートは気楽でよい」と考えるのは早計です。ニート状態を心から楽しんでいる人はまれで、多くの人が現状を何とかしたいと考えています。
社内ニートが楽と言い切れない理由を、本人が感じるストレスから読み解いていきましょう。
仕事がなく不安な気持ちに
職場で仕事がないと、何のために会社にいるのか分からなくなります。
仕事を回してもらえないという現実に自尊心が傷付き、つらい気持ちを抱えたまま業務時間を過ごさなければなりません。
無為に過ごす業務時間はとてつもなく長く感じられ、精神的な疲労が蓄積していくでしょう。
また、仕事がもらえないということは、仕事のスキルや経験が積めないということです。将来のキャリアが思い描けず、「このままで良いのだろうか」という葛藤と常に戦っていかなければならないのです。
周りに快く思われないつらさも
社内ニート化した人は、周囲からの「暇そう」「何しに会社に来ているんだ」という批判にさらされる日々を送りがちです。
周囲が忙しそうな中、1人暇そうにしているのは良い印象を与えません。忙しい社員からは冷たい目を向けられたり、時には聞こえるように嫌みを言われたりすることもあるでしょう。
とはいえ、仕事をもらえない人が好きで時間を持て余しているとは限りません。理不尽ともいえる非難にじっと耐え続けるのはつらく、出社するのが嫌になる人もいます。