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「被告」と「被告人」の違い、説明できる?誤解しやすい法律用語の豆知識

2021.09.21

「法律用語はわかりにくい」という印象を持っている方も多いのではないでしょうか。

実際、法律用語の中には、一般的な用語とは異なる意味で使われていたり、似ているようで厳密に使い分けられていたりするものがあります。

たとえば契約書を作る際にも、用語の使い方一つで条文の意味が丸っきり変わってしまうことがあるのです。

今回は、一般の方は意外に思うかもしれない法律用語の意味や使い分けについて、いくつか例を挙げて紹介します。

1. 意味がわかりにくい法律用語3選

まずは、一見してどのような意味か分かりにくい法律用語を3つ(2組)紹介します。

1-1. 「善意」と「悪意」

これはご存じの方も多いかと思いますが、「善意」「悪意」という用語は、法律の世界では通常と全く違う意味で用いられています。

法律的には、「善意」は「知らない」、「悪意」は「知っている」という意味です。

たとえば「悪意の第三者」という使われ方をすることがありますが、これは「事情を知っている第三者」という意味になります。

ただし「悪意」については、たまに「相手を害する意図を持って」という、一般的な用語に近い意味で用いられることもあります。

このあたりが、法律用語の難しいところです。

1-2. 「~するものとする」

契約書などでは、「AはBに~を通知するものとする」といった具合に、「~するものとする」という言い回しが用いられることがあります。

何やら持って回ったような言い回しですが、これは「~しなければならない」という意味です。

契約書の中では、当事者の義務であることを示すサインとなっています。

ちなみに英文契約書では、「~するものとする」は”shall”で表します。

「~しなければならない」という意味であれば、”must”や”have to”を使うのが一般的な常識ですが、法律の世界では”shall”なのです。

法律用語がやや特殊なのは、日本語でも英語でも変わらないようですね。

2. 使い分けが難しい法律用語4選

次に、一見して同じような意味なのに、実は厳密に使い分けられている法律用語を4組紹介します。

2-1. 「被告」と「被告人」

テレビの犯罪報道で「~被告」という呼称を聴いたことのある方は多いかと思います。

しかし法律的には、この「~被告」という呼称は誤りなのです。

法律の世界では、「被告」は民事訴訟で訴えられた人を意味します。

これに対して、刑事裁判で検察官により訴追された人は「被告人」と呼ぶのが正解です。

なお、「被告人」はあくまでも罪を犯したことを疑われている段階なので、犯罪者であると確定したわけではないことに注意しましょう。

ちなみに、「被告人」と呼ばれるようになるのは、検察官によって起訴(公訴提起)された時点以降です。

起訴前の段階では「被疑者」と呼ばれています(テレビの犯罪報道では「容疑者」と呼んでいますね)。

2-2. 「直ちに」「速やかに」「遅滞なく」

「直ちに」「速やかに」「遅滞なく」は、どれも「早く!」という意味であることに違いありませんが、法律用語としては「緊急性の程度」が異なります。

一番緊急性が高いのが「直ちに」です。

「すぐに」「即時に」という意味として理解すべきでしょう。

緊急性がほどほどに高いのが「速やかに」です。

「できるだけ早く」といった意味合いになります。

もっとも緩やかなのが「遅滞なく」です。

もちろん、できるだけ早く対応すべきなのですが、「合理的な理由があれば遅れてもよい」という意味を含んでいると考えられます。

2-3. 「とき」と「時」

ひらがなの「とき」と漢字の「時」は、一般の方の中にも、使い分けを意識していらっしゃる方がいるのではないでしょうか。

法律の世界でも両者は使い分けられており、「とき」は条件、「時」は時点を表しているのです。

身近な例を挙げてみましょう。

「Aさんと付き合うことになったとき」
→「もしもAさんと交際することができた場合」という意味です。

「Aさんと付き合うことになった時」
→「Aさんとの交際が成立した時点」という意味です(何をもって交際成立とするかは議論の余地がありますが、ここでは置いておきましょう)。

2-4. 「科料」と「過料」

「科料」と「過料」は、どちらも何か悪いことをしたときに法律上与えられるペナルティですが、その位置づけは全く異なります。

「科料」は、犯罪に対して科される刑事罰です。

金額は1000円以上1万円未満と少額ですが、前科が付いてしまいます。

一方「過料」は刑事罰ではなく、行政法規に違反した場合の制裁金のような位置づけです。

「100万円以下」などの高額が定められているケースもある一方で、過料を受けても前科が付くことはありません。

3. まとめ

今回ご紹介した法律用語を、皆様はどの程度ご存じでしたか?

日常的に目にする契約書などにも、法律用語は数多く含まれています。

契約書などを確認する際には、法律用語の意味に着目してみるのも面白いかもしれません。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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