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Z世代に映画館派が多いのはなぜ?

2021.09.15

デジタルネイティブといわれるZ世代。日々、スマホやPCを活用して動画や映像作品に親しんでいるが、映画館での視聴ももちろん行っている。Z世代は、どれくらい映画に親しんでいるのか。また、映画館に足を運ぶ人はどのくらいいるのか。

Z世代の映画に関するアンケート調査結果をもとに、Z世代の研究メディア「Z総研」の担当者にZ世代の傾向を聞いた。

Z世代の65.8%が「映画館に行って映画を観る」

2021年7月、ピックアップ株式会社が、同社の運営するZ世代向けチャット小説アプリ「TELLER(テラー)」の読者を対象に、映画に関するアンケート調査を実施した。回答があった432名のうち、13-18歳の中学~高校生世代が約82%となった。

●気に入った映画を観る頻度

Z世代の71.8%が気に入った映画を何度も観る、63.9%が新しく観た映画を、友人や知人に薦めると回答した。

●映画館派が約65%

また、映画館に行って映画を観る人が65.8%で、映画館が好きな人が多いことが分かった。

次に多かったのはNetflix等の動画配信サービスだが、合計18.6%と映画館派には及ばなかった。

●よく観る映画のジャンル

普段、Z世代はどのようなジャンルをよく観るのだろうか。1位は断トツで「アニメ」となり、80.1%という結果となった。

●アマゾンプライム利用者が圧倒的に多い

動画配信サービスを使っている人に、普段使っている動画配信サービスを聞いたところ、圧倒的にアマゾンプライム派が多い結果となった。

Z世代に映画館派が多いのはなぜ?

Z世代は、思いのほか、映画を身近に感じており、普段から大いに視聴していることが分かった。しかし、Z世代のようなデジタル世代に、映画館派が多いのは意外なところがある。どのような背景が考えられるのか。Z総研のアナリストである道満綾香氏は次のように分析する。

【取材協力】
道満綾香(どうまん・あやか)氏
兵庫県出身。大学在学時に女子大生のマーケティングを目的としたTeamKJを設立し、プロデューサーを務める。大学卒業後はリクルートグループに入社。その後、スタートアップ数社でZ世代を対象としたPRやプロモーションを行い、数々のメディアに取り上げられるなど若者向けのアプリがブレイク。その後、Z世代のプロモーションやインフルエンサーのキャスティングを行う株式会社N.D.Promotonで取締役に就任。Z世代の研究メディア「Z総研」ではアナリストとして、ジェネレーションギャップが生まれるZ世代の「今」を取材している。
https://www.zet.tokyo

「確かに、Z世代に映画館派が多いことは意外に感じられるかもしれませんが、実際にZ世代に話を聞いたところ、『友達を誘い、映画に行くまでに何を観るか話し合い、映画館でポップコーンを買い、同じエンタメコンテンツを同じ空間で楽しみ、映画を観終わった後にカフェで感想を話す』といったシチュエーションや体験を楽しみに映画館へ足を運ぶといった意見が挙がりました。映画を一緒に見に行く相手が同じ趣味の友人であれば、その映画を見た感想を同じ熱量で語り合うことができ、映画を観に行くことにさらに特別な価値が生まれます。

デジタルネイティブであるZ世代でも、デジタルだけでは完結することができない、このような体験ができることが映画派が多い背景と考えられます」

Z世代は、ただ「映画館で映画を観る」という行為を単体でとらえているのではなく、一連のシチュエーションや体験に価値を見出しているということ。そして、それはデジタルでは得られない貴重な体験であることを知っているということだ。

気に入った映画を再度観る人が多い理由

また、Z世代は、気に入った映画を再度観る」と答えた人が約7割にも上った。これは、やはり「推し」を持つZ世代が多いというのが理由なのだろうか。

「推しの映像を何度も見たいということも、もちろん理由の一つだと思います。さらにこんなことが分かりました。Z世代にヒアリングをしたところ、次の答えが返ってきたのです」

『ヒロアカ(「僕のヒーローアカデミア」)の映画もう一回観に行きたいと思っています。ヒロアカでいうと4DXでの上映もあるんです。ただ映像観るだけじゃなくていろんな仕掛けがしてあるじゃないですか、それで観に行きたいと思ってます。安心して観れるのもあるかもしれないですね。絶対面白いじゃないですか、一回観て気に入った映画って。』

「『何度も観て、いろんな発見をしたい』という思いのほか、『安心して観れる』という思いもあるようです。なんとなく時間が空いて、映画が観たい気分だけれども冒険はしたくない、安定して面白いものを『ながら』で観たい、のようなときであったり、下手にいつも見ないジャンルを見て失敗したくないというのも背景にありそうです。途中まで観てつまらないとなったときの時間の無駄感を感じたくない。今流行りの『タイパ(タイムパフォーマンス)』に基づく考え方かもしれませんね。

他に、『友達は何回か観ている映画でも、俺に見てほしい、俺とその話をしたいと言って、一緒に行こうとなった』というお話をしてくれた方もいました。こちらも、先ほどの映画館に行く行為は『体験が楽しい』というところに紐付きます。楽しい体験は何度でもしたいのでしょう」

アマゾンプライム派が多い理由

調査結果では、動画配信サービスの利用について、ネトフリ派よりもアマゾンプライム派が多い結果となった。これは、どういった理由があるのだろうか。

「調査結果では、Z世代の子自身がアマゾンプライムを契約しているというよりは、家族の誰かが契約していることが多く、それを家族でシェアして使っているという意見が多くありました。ですので、特段、『アマゾンプライムだから見る!』ということはないようです。

ちなみに、Z世代の子にアマゾンで買い物をするか聞いたところ、『アマゾンは使いづらい・見づらい』といった意見も多く上がりました。アマゾンプライムを契約すると、プライムビデオの対象作品が見放題となるほか、最短当日に届く『お急ぎ便』が使えるという利点があると思いますが、Z世代は『Qoo10』や『SHEIN』など海外ECをよく利用しており、格安でものを購入できる反面、海外からなので配送が遅いことに慣れているため、通販としてのアマゾンプライムを契約するメリットをあまり見出せていないように見えます」

Z世代にとって映画は数あるコンテンツの一つ

Z世代の親以上の世代にとって、映画館で観る映画は、実に特別なものであると思われる。そしてテレビで観る映像作品や、ネットで配信される動画とはまったく別物である。

それに大志、Z世代にとっての映画とはどのようなものなのか、道満氏に聞いた。

「Z世代にとっても、Z世代の親世代と同様に、映画はYouTube動画等とはまったく別物という認識があるように感じます。実際、Z世代からは映画館は映像コンテンツ以上の付加価値があるといった意見も出ました。

以前は、映画の場合はDVDやビデオをレンタルするか金曜ロードショーなどで放送されるのを待つ、ドラマや番組の場合はリアルタイムで観る、録画するかレンタルして家で観るということが当たり前だったかと思います。今は、映画、ドラマや番組にしても、デジタルが進む時代に合わせてテレビのみの視聴にとらわれず、いつどこでも気軽にスマホ、iPadやパソコンを使って観られるようになりました。

そのため、Z世代は親世代と比べて、圧倒的にコンテンツに触れる時間が多いのです。ですので、映画、アマゾンプライムなどのサブスクサービスで観る映画、YouTubeで観る動画など、どれもZ世代にとってはそれぞれ面白いエンタメコンテンツとしてとらえており、認識の違いで言うと、『誰とどこでどうやって観るか?』といったシチュエーションや体験なのかなと感じます。

実際に、『映画館になぜ行くのか?』というヒアリングでも、『シチュエーションと体験ができるから、映画館に実際に足を運ぶ』という声がありました。YouTubeも友達と家でゲームの実況中継を観ることもあれば、一人でコスメを購入する際にレビューを観ることもあります。Z世代はデジタルネイティブで物心ついた頃からエンタメコンテンツに数多く触れてきたからこそ、何をどの場面で観たり、参考にしたりするのが自分にとって一番良いかを自身で判断する軸があるように感じます」

Z世代の映画に対する意識を知ることができた。さらに、映画へのとらえ方や関わり方を通じて、Z世代の傾向も見えてきた。普段、Z世代と直接関わるときやマーケティングを行う際に参考になるだろう。

取材・文/石原亜香利

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