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『蛇の道は蛇』ということわざをご存知でしょうか。ネガティブな場面で使われることも少なくない言葉ですが、実は本来の意味は異なっています。正しい意味や由来を知って適切な使い方を理解するとともに、言い換え表現も併せて覚えておきましょう。
「蛇の道は蛇」の意味とは
蛇の道は蛇はことわざの一つで、『じゃのみちはへび』と読みます。正しい意味や言葉の由来を見ていきましょう。
同類のことは同類が最も理解している
蛇の道は蛇とは、もともと『蛇の道は蛇が知る』といわれていた言葉が短縮されたものになります。
同類のことは同類であればよく分かるという意味を表しており、同じような生き方をしてきた人の考えは深い関わりがなくても理解できるという例えです。
同じ仕事をしている同類であれば、ある程度その世界に通じているため、他の人にはなかなか理解しにくいことも自然と伝わります。
このように、専門的な分野に関しては、専門の人に聞くのがふさわしいという意味で使われることわざです。
「蛇の道は蛇」の由来
どちらも同じ漢字で表されていますが、『蛇(じゃ)』は大きな蛇を、『蛇(へび)』は小さな蛇のことを指しています。
つまり蛇の道は蛇とは、『大きな蛇が通る道は小さな蛇でも知っている』という意味になるのです。
何かの分野でプロを目指している人は、そうでない人と比べてその分野への深い理解を持っていると考えられます。たとえ小さな蛇であっても、同じ蛇だからこそ大きな蛇の通り道が分かるのです。
そのようなことから、同じ分野に精通している人はその道をよく知っていることを表す言葉として使われるようになりました。
「蛇の道は蛇」の使い方
蛇の道は蛇はどのような場面で使われるのでしょうか。自然に使えるタイミングや、すぐに使える例文をいくつか紹介します。
悪い意味で使う?
蛇の道は蛇という言葉は、フィクションの中などでも『悪人のすることは同じ悪人が知っている』といったニュアンスでたびたび使われています。
これも間違った使い方ではありませんが、ネガティブな事柄以外に対しても使用できるので注意が必要です。
蛇に対する印象もあってか、この言葉によくないイメージを感じている人は多いかもしれません。しかし、由来を考えれば本来は悪い意味を持つ言葉ではないのです。
すぐに使える例文
日常会話の中において、褒める意味合いで使用できる例文を紹介します。
- 「さすが蛇の道は蛇だ。母親に髪を切ってもらうよりも、美容院で切ってもらった方がおしゃれなスタイルに仕上がった」
- 「蛇の道は蛇といわれるように、パソコンに関する不調の原因は、エンジニアに聞くべきだ」
- 「こんな難題をクリアするなんて、さすが蛇の道は蛇ですね」
前述のとおり、「蛇の道は蛇」は本来は悪い意味を持つ言葉ではありません。
しかし、ネガティブなイメージしか知らない人に対しては、何気なく使うと相手に誤解される可能性があります。
褒め言葉として使う場合には注意が必要です。
「蛇の道は蛇」の類語
「蛇の道は蛇」という言葉に悪いイメージを持っている人もいるため、使いづらい場合もあるでしょう。そのような場面でも使える類語をチェックしていきましょう。
「餅は餅屋」
「餅は餅屋」とは、素人の作ったものより専門家の方が優れていることを表すことわざです。餅を買うなら専門店である餅屋のものが何よりいいできだという意味で、プロの仕事ぶりを讃えたいときなどに使います。
「蛇の道は蛇」と同様に、素人よりも専門家に任せた方がよいことを意味する言葉ですが、こちらは誤解されることなく褒め言葉として使えるのが特徴です。
意味はほとんど同じであっても、言葉によって相手に与える印象が異なります。相手の仕事を褒めたいときに、「さすが餅は餅屋ですね」のように使ってみましょう。
「芸は道によって賢し」
「芸は道によって賢し」とは、何か一芸を極めた人はその芸に関して他の人よりも秀でていることを指しています。
特定の事柄には専門家が最も精通していることを表しており、こちらも「蛇の道は蛇」と似たような場面で使える言葉です。
『商売は道によって賢し』『人は道によって賢し』という言い方もあり、餅は餅屋と同様にある特定の分野に優れている人に対して使われます。
専門的な知識はそれぞれの道によって異なっているため、詳しい人に聞いてみるのが一番よいという意味です。
「馬は馬方」
「馬は馬方」とは、その道の専門家は素人より優れていることを指す言葉の一つです。
こちらも蛇の道は蛇と同様に、専門的な事柄はプロに任せた方がよいという意味で使われます。
『馬方』は馬子とも呼ばれており、人や荷物を馬に乗せて運ぶ仕事をする人を意味しています。馬の扱い方を知らない素人ではうまくいかなくても、馬方であれば馬を自由に操ることが可能です。
そのため、何事も専門家に相談する方がよいという意味で使うことがほとんどです。「馬は馬方というから、病気になったときは病院に行くのが一番だ」のように使います。