がん患者は、新型コロナ重症化のリスクが高いとされており、そのため、優先的にワクチンを接種するべきとされている。
ワクチンで心配なことといえば副作用だが、実際のところ、ワクチンを接種したがん患者は体調に変化などあったのだろうか?
そんな、がん患者における新型コロナワクチン接種に関するアンケート調査がこのほど、株式会社メディリードとこどもを持つがん患者のコミュニティサービスを運営する一般社団法人キャンサーペアレンツにより実施された。詳細は以下の通り。
新型コロナウイルス流行による勤務形態への影響<図1>
アンケート実施時点(2021年7月)における、医療・介護施設勤務者を除いた勤務形態別割合は、「出社・出勤のみ」が55.6%と半数を超えており、依然としてがんを患っている(患っていた)方においても、感染リスクを避けるための在宅勤務には大きな障壁があることがうかがえる。
地域別では、人口が多い東京・大阪近郊(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、京都府、兵庫県)の方が「出社・出勤のみ」の割合が低い傾向にあり、テレワークの導入が進んでいる様子である。
家族構成別では、同居別居は問わず「実父母・義父母」(比較的高齢の方)がいる方のほうが「出社・出勤のみ」の割合が低い傾向にある。
新型コロナウイルス流行によるがん治療への影響、前回(2020年7月)調査との比較<図2>
前回(2020年7月)調査と比較して、2021年7月時点では、がん治療に「影響はなかった」の割合が20pt以上上昇している。
「入院や手術の予定の変更(延期・中止)」「通院予定の変更(延期・中止)」「気になる体調の変化があったが受診を控えた」などの回答も昨年よりは減少しているものの少数ながら見受けられ、依然として新型コロナウイルス流行の影響が残っていることがうかがえる。
新型コロナウイルスワクチン接種の影響<図3>
医療・介護施設勤務者も含めて、すでにワクチンを1回以上接種済みの方に接種後の体調の変化を確認したところ、ステージ別ではステージⅢ/Ⅳの方のほうがステージⅠ/Ⅱの方と比較して全体的に体調の変化があった割合が少ない傾向がうかがえる。
治療法別による接種後の体調の変化に特に大きな違いは見られなかった。
調査結果を受けて、キャンサーペアレンツ、メディリードとがん関連の共同研究を行っている国立がん研究センター東病院緩和医療科・小杉和博先生は次のようにコメントしている。
「本調査は新型コロナウイルス感染症の流行ががん治療にどのような影響を与えているのか、患者さん視点で調査され、昨年と比較をされている点が非常に興味深いです。
また、がん治療を受けている患者さんは優先的にワクチンを接種すべきとされていますが、調査時点ではほとんどの方が接種できていない現状が明らかとなり、大変意義深い結果だと思われます。
そして、ワクチン接種についての意向や接種後の体調の変化も報告されており、接種を検討されているがん患者さんや医療者にとって非常に有意義な調査だと感じます。」
<調査概要>
調査手法:インターネットリサーチ
株式会社クロス・マーケティング セルフ型アンケートツール「QiQUMO」使用
調査地域:キャンサーペアレンツ会員が在住する全国47都道府県・海外
調査対象:キャンサーペアレンツ会員20代~60代
調査期間:2021年6月23日~7月9日
有効回答数:460サンプル
※調査結果は、端数処理のため構成比が100%にならない場合があ
出典元:株式会社メディリード
https://www.medi-l.com/
構成/こじへい