出産直後に妻を亡くしシングルファザーとなった男性の、実話に基づく感動の物語。
Netflix映画『ファザーフッド』は2021年6月18日より独占配信されている、アメリカのヒューマン・コメディ映画。
監督・脚本はポール・ワイツ、主演は、『人生の動かし方』『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』などに出演したコメディアンでもある俳優ケヴィン・ハート。
あらすじ
最愛の妻を亡くし、男手ひとつで生まれたばかりの娘マディを育てることになったマット(ケヴィン・ハート)。
妻のいない状態での育児に寂しさと心細さを覚えるマットだったが、周りの人々からのサポート、そして娘の笑顔に支えられながら、父親として少しずつ確実に成長していく。
見どころ
シングルマザーに比べると絶対数が少ないことから、スポットが当てられにくいシングルファザー。
一般的に男性の方が女性に比べて体力も経済力も高い傾向があるとは言え、ひとり親が大変であることは同じだ。
妻を亡くした悲しみに浸る間もなく、娘との生活のため仕事に没頭するマット。
体力的にも精神的にも疲労困憊の中で、慣れない育児と仕事を両立させていかなければならない。
幸いなことにマットの場合は、友人や家族や職場の上司・同僚などの理解ある協力者に恵まれていたため、あまり孤独に陥ることはないようだ。
ベビースリングをつけたマットを見た男友達が「お前、王様みたいだぞ!」と褒めるシーンは、ほのぼのする。
マットがベビーカーをうまく折り畳めず、愚痴を言いながら怒りや不安をぶちまけるシーンがあるのだが、このようにして定期的に感情を発散させてガス抜きをすることはとても重要だと思う。
反対に、周りに追い詰められている人がいたら、ただ“話を聞く”“共感する”という対応をすることが、一番その人の慰めになったりするもの。
ドライな正論やアドバイスは、時には逆効果となりその人を傷つけることになりかねない。
本作を観て、“その瞬間の感情に寄り添う”ということを最優先したいものだと思った。
シングルファザーとして奮闘するマットから勇気や希望を貰えるだけでなく、ひとり親に対する周囲のサポートの姿勢や見守り方にも学ぶところが多い映画。
既婚者も未婚者も、子どもがいる人もそうでない人も、観ればじんわりと心が温かくなるはずだ。
Netflix映画『ファザーフッド』
独占配信中
文/吉野潤子