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企業が資本剰余金から配当する時に考えられる3つの理由

2021.08.31PR

通常配当金は利益剰余金から配当される。しかし、中には資本剰余金から配当される配当金もある。その場合以前解説した通り税制も異なることから配当通知とともに、配当金が資本剰余金から配当されることが通知される。資本剰余金から配当して大丈夫なのだろうか。

配当金って会社の財産のどこから出るの?

会社法において、配当金は資本剰余金(その他資本剰余金)または利益剰余金(その他利益剰余金・繰越利益剰余金)から配当できるとされている(分配可能額の範囲内で)。

この資本剰余金と利益剰余金は会社の純資産のうち株主資本に相当するもので、株主が所有する会社財産といえる。純資産は、会社の資産から負債を差し引いたもので、会社の純粋な資産といってもよい。

純資産のうちの株主資本の中で、株式の新規発行などにより集めた資金は払込資本とされる。払込資本は、株主から拠出された資本であるゆえ取り崩すことやマイナスとなれば会社の所有者とされる株主の財産(株式の価値)が毀損することになる。そのため、払込資本を取り崩すことには厳しい制約がある。特に、払込資本のうち資本金と資本準備金を取り崩すことは難しい。その他資本剰余金からは配当可能ではあるものの、払込資本の一部であるゆえマイナスになることはなく、マイナスとなれば資本剰余金から補填するかなければ資本金や資本準備金が欠損してしまうことから、資本剰余金から配当を出す企業は少ない。

一方、利益剰余金のうち繰越利益剰余金は、会社の純利益が積立てられたものであることから、配当しても払込資本を毀損することはなく、配当金は利益がでれば配当するという本来の目的にかなっている。通常、企業の配当金はこの繰越利益剰余金から配当される。

資本剰余金から配当するのはどんなとき?

通常、配当金は利益剰余金から出す企業が多い。資本剰余金から配当するのは、利益剰余金がないときに配当されると考えられる。

利益剰余金がないということは、利益の積み重ねがないためと考えられる。本来、配当金は利益を出すべきだと考えられ、配当金は配当しなくてもよく義務ではないため、利益がないのであれば配当しなければよい。配当することで会社財産が流出してしまうのは、会社の運営活動としても効率が悪くなってしまう。それでも資本剰余金から配当するのは以下のような理由が考えられる。

①赤字のため利益剰余金が少ないまたはマイナスに

資本剰余金から配当するのは、まず利益剰余金が少ないまたはマイナスであることから利益剰余金から配当したくてもできないためである。

②赤字は一時的な要因と考えている

営業活動による赤字が一時的な要因で、翌期には回復する見込みがあるため、配当を実施。

③安定的な配当のため

高配当目的で保有している人が多い銘柄などで、配当を下げたりゼロにしたりすれば株価が大きく下がってしまう恐れがあると考え、安定配当を続けるために利益剰余金がないにも関わらず資本剰余金から配当する場合である。

上記の場合、回復する見込みでも実際その当てが外れれば、今回の配当は出すべきではなかったといえるだろう。

心配しなくてもよい場合も

資本剰余金からの配当は、前述した理由によるものであれば、今後きちんと純利益を出せるのかどうかよく検討する必要がある。

一方で、心配しなくても良い場合もある。

・株式交換や合併により設立した会社に利益剰余金がない場合、前の会社の配当基準を保つために資本剰余金からの配当をするものの、新会社で今後利益を稼ぐと見込める場合

・赤字はある固定資産の収益性が低下した場合の減損や売却損など営業活動とは関係のない事情で発生した一時的な要因による赤字で、翌期にはすぐに黒字となり利益が出るためその他資本剰余金が減っても心配ないと考える場合である。

上記銘柄の中で、日本郵政単体では2021年3月期は2,129,989(百万円)の赤字となり大きく利益剰余金(繰越利益剰余金)が減少し、連結でも前期比65,494百万円純利益が減少した。これは、金融窓口によるかんぽ生命提案自粛、不採算の豪子会社の事業売却、また繰越利益剰余金の欠損を補うために資本剰余金(その他資本剰余金)で補填していることから、2021年3月期の決算は厳しいものだ。巣ごもり需要により宅配事業の堅調が続くかどうか、かんぽ生命の提案再開により利益が回復すれば不安は払拭されるだろう。

このように、配当が安定的に出ていたとしても、資本剰余金からであれば一度決算内容を確認すべきだ。

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文/大堀貴子
フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。

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