コロナ禍により、市販の冷凍食品の利用や食材の冷凍の頻度が増え、自宅の冷凍室や冷凍庫がフル稼働している家庭は多いはず。しかし、中身がぎっしり詰まって。パンパンになると不便をきたす。
しかしその「冷凍庫パンパン問題」は不便だけでなく、他にもデメリットがあるようだ。そこで今回は、冷蔵庫メーカーに冷凍庫パンパン問題にまつわる素朴なギモンをぶつけてみた。後半では、もう一台、冷凍庫を買い足す「セカンド冷凍庫」に適した製品を3つ紹介する。
冷凍庫パンパンがもたらすデメリットとは?
冷蔵庫を数多く手がける家電メーカー、ハイアールのデータによると、コロナ禍の内食・中食需要が大幅に拡大したことで、冷凍商品などの消費が増えたためか、冷凍庫の売れ行きが良く、同社の販売台数は200%まで急増しているという。
また、コロナ以前からたびたび話題に上っていた「冷凍庫パンパン」問題、つまり“冷凍庫の庫内がパンパンに詰まっていて取り出しにくい状態にある”という問題も、直近においてはきっと、各家庭で深刻になっていると想像できる。
実際のところ、ライター自身も先日、自宅の冷凍冷蔵庫について「冷凍室パンパン」問題に直面した。思いのほか冷凍モノがいっぱいになり、一時期、引き出しのしまりが悪くなったとき、少し冷凍食品が溶けてしまったという小事件も起きた。
「冷凍庫パンパン」問題は、意外とデメリットが大きいのかもしれない。そこで、冷凍庫パンパン問題のデメリットや対策についてハイアールに問い合わせてみたところ、ハイアールジャパンセールス株式会社に商品企画部、部長 森脇利行氏から回答をもらうことができた。
――冷凍庫や冷凍室がパンパンであることのデメリットを教えてください。
「引き出し式の冷凍室の場合は、上から冷凍食品を入れるため、使っていない食品は、庫内の下側に行き、結果的に取り出しにくい状態になります。すると『この冷凍食品、いつ入れたっけ?』と忘れ、いわゆる『冷凍食品の化石化』と呼ばれる状態になります。
前開き式の冷凍庫(冷凍機能のみ)については、当社で販売量の多い100~150L程度のファン式冷凍庫の場合、庫内がバスケットなどで区分けされているものが多いので、パンパンでも取り出しやすくなっています。しかし、庫内の冷気を循環させて冷やしているので、庫内がパンパンの場合、個々の冷凍食品に冷気がしっかりと当たらないといった状態になる可能性があります。
――先日、冷凍冷蔵庫の冷凍室がパンパンで、引き出しがしっかりしまっていなかったらしく、冷凍庫の中身が溶けてました。対策を教えてください。
「冷蔵庫でも同じですが、ドアをかなり強い力で閉めてしまうと、ドアが本体にぶつかった後、跳ね返ってしまった結果、ドアが少しだけ開いているという状況になる場合があります。そのため、少し弱めに閉めていただくか、ドア閉めた後に開いていないか確認していただくしかないのが現状です。
もし次回、買い替える際には、ドアが開いているときや庫内の温度が上昇したときにアラームがなる機能を搭載した製品をご検討いただければと思います。また、パンパンの冷凍庫を解決するというのも一つの方法です」
――パンパンの冷凍庫の解決策を教えてください。
「現在の冷凍庫や冷凍室のパンパンな状態を解決する方法としては、現状の冷凍食品を再確認し、“化石化”した冷凍食品の処分を行っていただければと思います。また同時に冷凍食品を区分けし、整理整頓していただくことをおすすめします。
ただ、現在のコロナ禍の環境下では、冷凍庫内の冷凍食品の量を減らして、庫内をパンパンにしないということは非常にむずかしいと思います。昨今、市販の冷凍食品は手軽かつおいしくなってきて、ますます冷凍食品の需要は高まってくると思いますし、ネットで冷凍のお取り寄せグルメや、冷凍のお弁当宅配なども増えてきましたので、ますます冷凍庫はパンパンになると思います。
最近は冷蔵庫と同じように冷凍庫も省エネ化がますます進み、電気代も安くなってきましたので、一度、今よりも大容量の冷凍庫に買い替える、もしくは冷凍庫を追加するということも一つの方法です。冷凍冷蔵庫を買い替えるとなると、かなりの金額になりますが、冷凍冷蔵庫よりも冷凍庫のほうが一般的に安価な製品が多いのでおすすめです。その際に、庫内が整理整頓しやすい冷凍庫を選ぶことで、収納もうまくいくでしょう」
一般家庭では、冷凍冷蔵庫を一台持っていることが多いだろう。その場合は、二台目の冷凍庫、いわゆる「セカンド冷凍庫」を買い足すというのがよさそうだ。
セカンド冷凍庫に最適な3製品
そこで、セカンド冷凍庫を買い足す場合に、適した製品を見極めるために、参考になる冷凍庫を紹介する。
1.ハイアール「280L 前開き式冷凍庫 JF-NUF280A」
ハイアール「280L 前開き式冷凍庫 JF-NUF280A」市場想定価格:99,000円(税込)
2020年5月に発売されたハイアールの「JF-NUF280A」は、ハイアールの森脇氏がセカンド冷凍庫として勧める製品だ。家庭用としては最大クラスの280L前開き冷凍庫で、昨今のユーザーからの不満点を元に発売したものだという。大容量にもかかわらず、省エネ性能に優れ、家庭の状況に合わせて、右開き・左開きも選べるようになっている。
幅は幅59.5cmで省スペース。‐24℃~4℃まで6段階で庫内の温度調節が可能。冷凍庫から野菜室まで自分のライフスタイルに合った使い方ができる。
2.アクア「AQF-SF10K」
2021年7月21日に発売された、アクアのこの冷凍庫は、横幅36cmとスリムな設計が特徴だ。アクアの調査によると、約4割が現在持っている冷蔵庫の冷凍室容量に満足していない結果となった。さらに、フリーザーの使用実態の調査では、約6割が「設置できる場所がない」ことから、二台目の冷凍庫の購入を見送らざるを得ない状況があったという。
この「冷凍室容量への不満」と「設置場所の制約」を解決するべく開発されたのがこの製品。36cm幅と145cmのロングボディ設計を採用し、買い物カゴ約2つ分の容量102Lと置き場所を選ばないスリム幅の両立を実現した。キッチンに置けない場合には、リビングに置くのも一つの方法。デザインもシンプルで部屋に溶け込む。
3.シャープ「FJ-HS9G」
冷凍冷蔵庫の冷凍室がいっぱいだけれど、大きいセカンド冷凍庫ほどは必要ない、という場合には、容量が少ないものを選ぶのも一つの方法だ。この製品は86L、幅55cmのため、“セカンドプチ冷凍庫”として適しているといえそうだ。
トップテーブルは、耐熱100℃であることから、電子レンジをのせることもできるので便利。キッチンスペースを効率的に使えそうだ。
パンパンな冷凍室の中身をこちらに移すことで、余裕が生まれ、さらに冷凍食品を買いそろえられるだろう。
自宅の冷凍庫や冷凍室がパンパン状態で不便さを感じているなら、一度整理整頓して、化石化していないかチェックしてみるのもいいだろう。また、我が家に合った容量とサイズ感のセカンド冷凍庫を買い足すのもいいかもしれない。
取材・文/石原亜香利