上司と部下が1対1で行う1on1ミーティング。部下の評価や進捗管理などを行うのではなく、コミュニケーションを目的として定期的に設定・実施されるが、実際のところ、世の上司・部下たちはこのミーティングをどう捉えているのだろうか?
そんな「1on1ミーティング」関する意識調査がこのほど、Fringe81株式会社により、全国の上場企業に勤務する20代~60代の管理職325人と、一般社員324人をを対象にして実施された。
75%が1on1を月1回以上実施
管理職と一般社員の合計649名に聞いたところ、75%が月1回以上1on1を実施していることがわかった。同制度を導入している各企業は定常的に実施する施策として定着している様子が見える。
すべての業務の中で、「1on1の優先度が高い」と考えている管理職は65%。一方、一般社員は46.9%にとどまる
「あなたにとって1on1ミーティングは、すべての業務の中の優先順位はどの程度ですか?」という質問をしたところ、管理職は「高い」「やや高い」が65%という高い数値に。しかし、一般社員の「高い」「やや高い」の合計は46.9%と半数以下にとどまる結果になった。
管理職と比較すると部下である一般社員の方が1on1を「仕事の上で重要なもの」とは捉えていないようだ。
1on1における「期待していること」は、12項目すべてにおいて一般社員の方が低い
※回答項目を点数に置き換えてグラフ化。「とても期待している(5点)」「期待している(4点)」「どちらかと言えば期待している(3点)」「どちらかと言えば期待していない(2点)」「期待していない(1点)」「まったく期待していない(0点)」
1on1の目的として考えられる要素を12項目に分割し数値化したところ、12項目すべてにおいて一般社員の方が低いことがわかった。一般社員は1on1に対する優先度が低いだけでなく、管理職と比較すると1on1の期待値にギャップがあることがうかがえる。
「満たされていること」は「期待していること」に対して管理職・一般社員共にほぼ全ての項目でポイント下落
※回答項目を点数に置き換えてグラフ化。「とても期待している(5点)」「期待している(4点)」「どちらかと言えば期待している(3点)」「どちらかと言えば期待していない(2点)」「期待していない(1点)」「まったく期待していない(0点)」
期待に対して、全く同じ12項目で「満たされていること」を聞いた結果、管理職・一般社員共にほぼ全ての項目でポイントが期待値を下回る結果に。双方共に、現在の1on1は期待通りの効果が得られていないと感じていることがわかった。
また、期待値同様、満足度も全12項目で一般社員の方が、満足度が低く、管理職はどういった点を改善すべきか考え、実行するべきと考えられる。
一般社員が1on1で満足しているのは「業務の進捗管理の場」としての役割。満足していないのは「成長支援の場」としての役割。
※回答項目を点数に置き換えてグラフ化。「とても期待している(5点)」「期待している(4点)」「どちらかと言えば期待している(3点)」「どちらかと言えば期待していない(2点)」「期待していない(1点)」「まったく期待していない(0点)」
一般社員が1on1において満たされている項目の上位5つは仕事の進捗や問題点について話し合ったり、管理職からフィードバックを受けるなど、全て日々の業務に関する事項だった。一方、満たされていない項目下位5つうち3つが「自分自身の挑戦・キャリア」といった未来に関する項目となっている。
部下である一般社員にとってより満足度の高い1on1を実施するには、日々の業務進捗に関する話題よりも、キャリアや今後の挑戦に関する話題を増やし、部下の未来を後押しするような場にしていくことが必要だ。
管理職と一般社員の1on1に対するギャップを埋めるために必要なこととは
現在の1on1は「業務の進捗管理の場」としては効力を持っているが、今後は「部下の成長支援の場」としての役割になることを管理職自身が意識し、そのための会話を増やしていく必要があると考えられる。
本調査で「1on1ミーティングに対するポジティブな印象を自由にお書きください」と聞いたところ、一般社員からは「仕事の方向性、上司の考え方を理解し自分の考えを伝えられる」「自分自身の成長、これから先に進むべき課題や目標が明確に示される」、管理職からは「個人の仕事の進捗管理に加え、キャリア形成に関する認識合わせが定期的にできるので有用」という回答があったことからも、成長支援をする場にしていくことは、一般社員の1on1に対する期待、そしてその先の満足度を上げていく上で有益なのではないだろうか。
<調査概要>
調査名:1on1ミーティングに関する実態調査
期間:2021年5月18日(火)~19日(水)
方法:インターネットリサーチ
対象:全国の上場企業に勤務する20~60歳の経営者・役員・管理職男女325名、全国の上場企業に勤務する20~60歳の一般社員324名
出典元:Fringe81株式会社
構成/こじへい