結婚を約束した直後、愛する恋人が突然の失踪……。恋人から最後に届いたメッセージは「ずっと愛してる」だった。
2021年8月13日よりNetflixで独占配信中のNetflixオリジナルシリーズ『忽然と』は、フランスで製作されたサスペンス・ミステリー。
以前ご紹介したスペインのNetflixオリジナルシリーズ『イノセント』と同じく、ハーラン・コーベンの小説『Gone for Good(原題)』を実写化している。
コーベン原作のNetflix作品は、他にもポーランドの『その森に』、イギリスの『ザ・ストレンジャー』『SAFE 埋もれた秘密』が配信されている。
主演は『マルヴィン、あるいは素晴らしい教育』『母との約束、250通の手紙』フィネガン・オールドフィールド。
あらすじ
2010年ニース。主人公ギョーム・ルケージ(フィネガン・オールドフィールド) は、恋人ソニア (ギャランス・マリリエ) と、兄フレデリック (ニコラ・デュヴォシェル)を突然同時に失なう悲劇を経験する。
二人の死には謎が多く、目撃者であるソニアの妹イネスは何か重要な情報を隠している。
それから10年が経ち、ギョームは30代に。移民の少年少女を支援する施設で、ケースワーカーとして働いていた。
ギョームの母フロランスは闘病の末に他界。葬儀直後、ギョームは職場恋愛で2017年に出会ったジュディス (ナイリア・アルズーン) にプロポーズ、二人は永遠の愛を誓う。
しかしその直後、ジュディスは「あなたをずっと愛してる」というメッセージを最後に姿を消す。
見どころ
幸せの絶頂で主人公のパートナーが当然失踪、その後パートナーの壮絶な過去が明らかになり、自身の過去とも対峙せざるを得なくなる……というあらすじは、『イノセント』にも似ている。
心に深い傷を負った者同士、過去を秘密にしたまま交際していたところも同じだ。
本作でも、一見無関係に見える過去と現在の事件と人物が、全く予想だにしない驚くべき形で結びついていく展開が見どころ。
ネオナチ団体や犯罪組織、地下室で人工呼吸器に繋がれ“生殺し”状態にされている高齢男性までもが登場し、どんどん物騒なムードになっていく。
主人公であるギョーム本人も「何もかも複雑すぎる」とウンザリしながら呟くシーンがあるように、本作は事実関係が複雑で、エピソードの最後の方にならないとなかなか背景や動機が読めないミステリー。
相関図のメモを取りながら観ると理解しやすくなるかもしれない。
『イノセント』よりは真相の衝撃度が低めだが、それでも観ていると胃腸のあたりにズッシリとした感覚が残る重厚なストーリーとなっている。
ミステリー好きかつハーラン・コーベン未読の方は、どれだけ早い段階で正確に謎解きできるか、腕試ししてみてほしい。
Netflixオリジナルシリーズ『忽然と』
独占配信中
文/吉野潤子