大人の夏は【高級線香花火】で。日本の伝統と風情を感じる国産花火特集
手持ち花火の王道といえば、線香花火。「火の玉が最後まで落ちずに残ったら願いが叶う…」なんて願掛けをした覚えがある方も多いのでは?
そんな線香花火の中でも高級品に当たるのが、近年じわじわと人気が上がっている「国産」の線香花火です。
ものによっては1箱1万円以上(!)という値段のインパクトと、大量生産品とは全く異なる繊細な美しさが話題を呼んでいます。
というわけで今回は、夏の終わりに楽しみたい、プレゼントにもおすすめな高級線香花火特集です!
国産の高級線香花火は希少な存在
日本の夏の風物詩ともいえる線香花火ですが、実はバラエティショップなどで売られているものはほとんどが中国産の製品です。
時代とともに国産線香花火を製造しているメーカーは減退し、現在は全国でも数えるほどしかありません。今や国産の高級線香花火は希少な存在なのです。
そんな国産線香花火の作り手として知られているのが、福岡県みやま市にある「筒井時正玩具花火製造所」、群馬県の吉岡町にある「やまと花火」、愛知県の幸田町にある「三州火工」3社です。どの花火メーカーも和紙や火薬などの材料からこだわり、職人が手作業で1本1本縒(よ)って製造されています。
丁寧に作られた高級線香花火は、安い製品とは火花の輝きや燃焼時間がまるで違うといわれます。
また、見た目にも上品で美しい高級線香花火は、最近は夏のお中元や贈答品としても注目されています。
※2021年現在、「やまと花火」さんの営業状況は不明です
職人技を感じる、おすすめ高級線香花火6選
日本の花火メーカーが製造している、おすすめの高級花火をまとめました。
通販で手に入るものもあるので、本格的な夏が始まる前にぜひチェックしてみてください!
①『花々(はなはな)』 筒井時正玩具花火製造所
持ち手部分の和紙を開いて花びらを表現した線香花火と、和蝋燭、山桜で作られたロウソク立てがセットになった、『花々』。見た目もお値段も一級品の、おしゃれで美しい高級線香花火です。
桐箱入りなので、大切な方への贈り物や女性へのプレゼントにすると喜ばれそうですよね。
■40本入り(和蝋燭・ロウソク立て付き)
■価格 11,000円(税込み)
②『蕾(つぼみ)』 筒井時正玩具花火製造所
四季をイメージした桃色・水色・橙色・白色の線香花火がセットになった『蕾』は、高級線香花火をちょっと試してみたい方におすすめの商品です。
国産ならではの大きな火玉と、最後まで上品に散っていく火花に注目してみてください。
■8本入り
■価格 1,100円(税込み)
③『花(はな)』 筒井時正玩具花火製造所
花々と蕾がセットになって桐箱に入った『花』は、どちらの線香花火も楽しんでみたい方に。桐箱は湿気に弱い花火を保存するのにも適しているので、余ったらまた来年のお楽しみにするのも良いですね。
■42本入り
■価格 5,500円(税込み)
④『西の線香花火 スボ手牡丹』 筒井時正玩具花火製造所
まさに線香のような見た目の『西の線香花火 スボ手牡丹』は、ワラスボで成形された珍しい花火。線香花火の起源とも言われるもので、こちらの「スボ手」タイプは関西を中心に、一般的によく見かける和紙の「長手」タイプは関東で広まったのだとか。
以前は東西で違いがあった線香花火ですが、現在は長手タイプが主流となり、国内でスボ手牡丹を製造しているのはこちらの筒井時正玩具花火製造所さんのみとなりました。
■15本入り
■価格 660円(税込み)
⑤『大江戸牡丹』 三州火工
『大江戸牡丹』は、純国産線香花火の伝統を絶やすまいと、東京の蔵前にある老舗花火問屋「山縣商店」さんが働きかけたことで完成した高級線香花火です。
全て手仕事で作られているため、1本1本燃焼時間や火花の表情が微妙に異なるのが特徴で、大量生産品とは違った面白さでもあります。まさに世界に一つだけの高級線香花火ですね。
■10本入り
■価格 660円(税込み)
⑥『火STORY(ヒストリー)』 三州火工
線香花火の火が変化していく様は、昔から人の一生や花に例えられてきました(詳しくは後述)。そんな経緯から名付けられたのがこちらの高級線香花火、『火STORY』。
1本の線香花火が織りなす風情ある4つのストーリーに酔いしれてみてください。
■10本入り
■価格 770円(税込み)
4段階に変化する線香花火の意味
線香花火は、点火すると赤い火の玉になり、パチパチと勢いある大きな火花を散らしたかと思えば最後は静かに散って生涯をそっと終えます。
4種類の火花はそれぞれ4つの花の名前に例えられ、「起→承→転→結」を表現するような4段階の燃え方は人の一生にも通ずると言われています。
①牡丹
点火した直後の様子。火球がジリジリと膨らみ、命が始まったばかりの若々しさを感じる時期。
②松葉
パチパチと大きな音を立て、枝分かれした松葉のような火花が勢いよく噴き出す様子。結婚や出産など、人生の盛り上がりがピークの時期。
③柳
音が静かになり、柳の葉ように丸みを帯びた火花が下向きに柔らかく伸びる様子。子育てや仕事が落ち着き、角が取れる時期。
④散り菊
線のような細い火花が1本1本儚く散っていく様子。最後には静かに火が消え、人生の終焉を迎える。
線香花火の火花を長持ちさせる持ち方
線香花火を手に持つとき、和紙の先をつまんで地面に垂直に垂らしている人が多いかと思います。しかし実は、おすすめは少し斜めにする持ち方です!
地面に対して斜め45度くらいになるように手に持ち、先端に点火してそのまま楽しむのが火花を長持ちさせるコツなのだとか。
ちなみに、スボ手牡丹については先端を上向きにするのが正解で、身体から離した状態で少し斜め上に向けるようにして火をつけてみてください。火がついたら、先端を斜め上にしたままで楽しみましょう。
※線香花火をするときは火花に注意し、先端を人に向けないように気をつけて楽しみましょう
線香花火の起源と国産線香花火の復活
線香花火が書物に初めて登場したとされるのは1608年、江戸時代です。ワラスボに火薬を入れたスボ手牡丹がそのはじまりで、もともとは手に持って遊ぶのではなく線香のように香炉の灰に立てて愛でるものでした。
それで、「線香」花火という名がついたんですね。
しかし1980年以降になると外国産の安価な製品が主流となり、国産の高級線香花火を製造する業者は次々と廃業に追いやられてしまいます。
およそ400年間の歴史と伝統があった国産線香花火は、1998年に市場から姿を消しました。作り手と産地が途絶えてしまったのです。
このまま歴史ある国産線香花火をなくしてはいけないと、立ち上がったのは花火問屋の山縣商店さん。偶然、愛知の三州火工さんのところに伝統的なレシピが残っていることを知り、線香花火の製造を持ちかけます。材料や作り手、単価など、問題は山積みでしたが、両者の情熱によりついに2000年に国産線香花火は復活を遂げたのでした。
線香花火の4つの燃え方の意味について前述しましたが、その変化をはっきりと感じることができるのは、やはり伝統ある国産の線香花火ならではの持ち味だといわれています。
高級線香花火で大人の夏を楽しもう
昨年に引き続き、2021年もコロナ禍で多くの花火大会の中止が発表されています。そのせいで夏の楽しみが減ってしまったと感じている方もいるかもしれませんが、こんな時こそステイホームで夏を感じることができる線香花火はおすすめです。
今年はあまり出かけられなかった分ちょっと奮発して、伝統と風情を感じる高級線香花火を試してみてはいかがでしょうか?
職人の技と思いが詰まった国産線香花火で、夏の終わりを楽しんでみてくださいね。
文/黒岩ヨシコ
編集/inox.
■筒井時正玩具花火製造所 ウェブサイト https://tsutsuitokimasa.jp/
■山縣商店 ウェブサイト https://www.hanabiya.co.jp/