『暴風警報』や『強風注意報』が発表されても、意味や取るべき行動を把握していないと状況を正しく理解できず、必要な行動が取れません。それぞれの意味の違いや想定される影響を紹介します。具体的な対策も押さえて、万が一災害が起きたときに備えましょう。
「暴風警報」と「強風注意報」の違い
『暴風警報』も『強風注意報』も、強い風による危険を伝える防災気象情報です。二つの違いは何なのでしょうか?それぞれの意味を理解して、発表されたときの判断に生かしましょう。
「暴風警報」の意味
『暴風警報』は災害に対する警戒を促し、災害を防止したり被害を最小限に抑えたりするための防災警報です。暴風によって重大な災害のリスクが想定されるときに発表されます。
発表される基準となる風速は『20m/s程度』とされていますが、地域によって異なります。防災警報には『暴風』以外にも、『大雨』『洪水』『大雪』『暴風雪』『波浪』『高潮』の警報があり全部で7種類です。
非常に強い風だけでなく雪も伴う場合は『暴風雪警報』が発表されます。
「暴風特別警報」はより危険度が高い状態
通常の警報よりも災害のリスクが高い状態のときには、『暴風特別警報』が発表されます。基準は数十年に一度の強い台風や同程度の温帯低気圧が来て、暴風による災害のリスクが極めて高いと予測されるときです。
具体的には1959年に大被害につながった『伊勢湾台風級(中心気圧930hPa以下、もしくは最大風速50m/s以上)』の台風や、同じ程度の温帯低気圧が指標です。
ただし、沖縄・奄美地方・小笠原諸島では、中心気圧910hPa以下もしくは最大風速60m/s以上とされています。
『暴風』以外で特別警報が出される現象は、『大雨』『高潮』『大雪』『暴風雪』『波浪』です。
「強風注意報」の意味
『強風注意報』は強い風が吹いて災害が起こるリスクがあるとき、注意を促すために発表される予報です。基準値は『平均風速が約10m/sを超える』場合とされていますが、地域により異なります。
5日先までに警報に変わる可能性がある場合は『早期注意情報』として発表されます。
注意報は警報や特別警報よりも種類が多く、全部で16種類です。『大雨』『大雪』『濃霧』『雷』『なだれ』『洪水』『高潮』などがあります。
強風だけでなく雪が伴う場合に出されるのは、暴風警報と同じく『風雪注意報』です。
「暴風警報」や「強風注意報」の影響
暴風や強風に関する防災気象情報が発表された場合、具体的にどのような被害が起こるリスクがあるのでしょうか?会社や学校の対応についても把握しておきましょう。
暴風や強風の被害や体感
平均風速が約10m/sを超えると『強風注意報』が出され、約20m/sを超えると『暴風警報』が出されます。基準となる平均風速は、1秒当たりに進む距離を観測時刻まで10分間測って平均したものです。
平均風速が10m/sを超えると傘を差しづらくなったり、車の運転中に横からの風を感じたりするようになります。20m/sを超えると風上に向かって歩けなくなるだけでなく、立っているのも難しい状況です。
看板が飛ばされたり建物が壊れたりする場合もあります。飛来物や倒れた木などにより電線が切れ、停電が起こるケースも珍しくありません。
暴風警報が出るレベルでは電線が切れて停電し、給水ができなくなってしまう事態も起こり得ます。
参考:気象庁|予報用語 風
会社や学校の対応
休校になる基準は各市区町村によって異なりますが、『暴風警報』が出たときは休校になる可能性が高いでしょう。
例えば、横浜市の小中学校では、午前6時の時点で警報が継続中の場合は休校になると決められています。登校後に警報が発表された場合は、地域の状況に応じて早めに下校するなどの措置が取られます。
会社の場合も職場によって判断が異なるでしょう。会社や上司からの連絡を待つか、自分で問い合わせて確認するのが一般的です。
通勤する場合は交通機関がマヒしている可能性もあるため、事前に確認しましょう。
参考:各種警報等の発表に伴う児童生徒の登校・下校について 横浜市
「暴風警報」や「強風注意報」への対策
台風や温帯低気圧で被害が予想されるとき、自身や家族の身を守るにはどのような対処をすればよいのでしょうか?日ごろから取れる対策や備えをチェックしておきましょう。
日々の備えが大切
災害はいつ起こるか分からないため、実際に被害が及ぶ前の備えが重要です。危険を感じたら速やかに避難できるよう、日常的に鞄に入れて置く『防災ポーチ』、一時的な非難の際に持っていく『持ち出し用』、自宅で過ごすための『備蓄用』の三つの防災セットを用意しておきましょう。
食糧や水・防護グッズなどの必需品を入れる袋は、雨にぬれても中の物に影響がないウォータープルーフの素材がおすすめです。
窓には飛来物によってガラスが割れるのを防ぐ『ガラス飛散防止フィルム』を貼っておきましょう。窓が割れにくくなり、台風や温帯低気圧が来たときの被害を軽減できます。
家族で災害時の行動を確認し合っておくことも大切です。避難場所や逃げるルート・安否の確認方法などを具体的に確認し合えていれば、家族間で連携しながら安全な行動を取れます。
小まめな情報収集を
気象は急に変わることもあるため、小まめな情報収集が大切です。警報や注意報だけでなく、自治体から発表される『避難情報』にも注意しましょう。
警戒レベル3に当たる『高齢者等避難指示』が出たら、逃げ遅れの可能性がある人は避難を始めます。警戒レベル4の『避難指示』が発表された段階では全員が逃げなければなりません。
同じ気象現象が起きても、地域によって状況は異なるため、避難情報が出ていなくても注意が必要です。注意報や警報が出た段階で危険があると判断したら、早めに避難の準備を始めましょう。
台風は大雨を伴って水害につながるリスクもあるため、日ごろから災害の情報をチェックする習慣も必要です。自治体のホームページや国土交通省のポータルサイトから、洪水や土砂災害といった情報を収集できます。
構成/編集部