動画コンテンツの拡充や視認性の高さなどからスマートフォンは大画面化がどんどん進み、特にハイエンド製品は6.5インチ越えが当たり前、中には7インチに迫る大画面のスマートフォンも登場しています。
ただ、大画面のスマートフォンは当然本体サイズが大きくなってしまい、片手での操作が難しくなってしまうのも事実。中には小さくて高性能な製品が欲しいという人もいるでしょう。
そんな人たちにおすすめのスマートフォンが、PCや周辺機器で有名なASUSの「Zenfone 8」です。今回実機を試せたので、早速レビューをお届けしていきます。
扱いやすいサイズに高性能を凝縮した「Zenfone 8」
Zenfone 8は2021年8月20日より、SIMフリースマートフォンとして発売開始。メモリ/ストレージの構成によって価格は異なります。
8GB/128GBモデルの場合、メーカー希望小売価格が7万9800円、8GB/256GBモデルだと9万2800円、16GB/256GBモデルだと10万8800円となっています。
最安構成でもハイエンドスマートフォンとして十分なスペックにも関わらず、8万円切りはなかなかインパクトのある低価格です。では、実際に使用感について紹介していきましょう。
5.9インチコンパクトディスプレイは120Hzリフレッシュレート対応でヌルサク動く!
Zenfone 8のディスプレイサイズは5.9インチ。近年のハイエンドスマートフォンは6インチ以上が当たり前というイメージもある中で、かなりコンパクトな仕上がりになっています。
5インチ台のハイエンドスマートフォンというと、パッと思いつくのは、5.4インチディスプレイを搭載した「iPhone 12 mini」でしょう。Zenfone 8はAndroid版iPhone 12 miniともいえるかもしれません。
本体サイズは高さ約148mm×幅約68.5mm×奥行き約8.9mm、質量はわずか約169gと軽量で片手での操作性も抜群です。ポケットに入れてもおさまりの良いサイズ感なので、カバンを持たずに外出するのもストレスを感じないでしょう。
Zenfone 8のディスプレイ性能としては、120Hzのリフレッシュレート、240Hzのタッチサンプリングレートに対応。ゲームプレイ時なども画面が滑らかに動き、レスポンスも優秀なのはハイエンドスマートフォンの特権です。
カラーバリエーションは「オブシディアンブラック」「ムーンライトホワイト」「ホライゾンシルバー」の3色となっています。今回試したムーンライトホワイトは光沢のある仕上がりですが、そのほか2色ではマットな質感を採用しているようです。
文句なしのハイエンド仕様!豊富なバッテリーケア機能も搭載
冒頭から何度も触れている通り、Zenfone 8はハイエンドスマートフォン。搭載CPUは現行最高峰の性能を持つ「Qualcomm Snapdragon 888」を搭載しています。実際に使用していても処理にもたつくシーンは見られず、Webブラウジングからアプリゲームまで快適にこなせます。
メモリ/ストレージの構成は8GB/128GBモデル、8GB/256GBモデル、16GB/256GBモデルの3つが用意されています。一般的なハイエンドスマートフォンとしてみても最小構成の8GB/128GBで十分なのですから、倍のメモリ/ストレージを搭載したモデルでは動作の安定感が抜群です。
個人的な感覚ですが、特に横画面のアプリゲームをプレイする時に右手の親指で中心から左側まで触れるという観点からコンパクトディスプレイは有用です。端末スペック的にも超高性能を搭載することで、ゲーム用に使用しても満足度の高いスマートフォンに仕上がっていると感じました。
また、Zenfone 8には4000mAhのバッテリーが採用されているのですが、バッテリー周りの機能が豊富に搭載されているのも特徴の1つです。バッテリーの消費電力をコントロールして、スマートフォン自体のパフォーマンスを調整する「システムモード」は、高性能モードや省電力モードを含めて5つ、バッテリー自体を長持ちさせるための「バッテリーケア」機能は低速充電や最大2倍バッテリー寿命、予約充電の3つが用意されています。
同じスマートフォンを長年使うにあたり、バッテリーの劣化は避けては通れない部分。少しでも長く使えるようにコントロールできるのは嬉しいポイントでしょう。
おサイフケータイ機能や防水・防塵性能搭載で使い勝手抜群!
Zenfone 8には、シリーズ初となるおサイフケータイ機能(FeliCa)が搭載されています。昨今はコロナの流行もあり現金にあまり触りたくないという人も多いでしょうから、電子決済が気軽に利用できるのはありがたいですね。
また、防水防塵性能はIP68/IP65に対応。キッチンでレシピを見ながら料理をするといった使い方であっても、故障の心配があまりないほどの性能を持っています。
オーディオは本体上下にそれぞれスピーカーから音を鳴らすデュアルステレオスピーカーを搭載。スマートフォンを横に持った時には左右から音が鳴る形なので、動画視聴時などには臨場感のある音声が楽しめます。
また、本体上部には3.5mmオーディオジャックを搭載しています。Bluetoothイヤホンでは、多くの製品でまだ音の遅延といった弱点があるのも事実なので、動画視聴やゲームプレイ時には有線イヤホンを使っている人も多いはず。変換機を使用しなくても有線イヤホンが接続できるのはやはりありがたいです。
フォーカス速度とシャッターラグの短さが嬉しいカメラ性能
背面カメラは6400万画素のワイドカメラと1200万画素の超広角カメラの2眼構成で、いずれもソニー製のイメージセンサーを搭載しています。画質も良好な2つのカメラを搭載していますが、近年のハイエンドスマートフォンに搭載されることの多い望遠カメラはありません。
カメラを使用していて特に気に入っているのが、オートフォーカスの速度とシャッターボタンを押してから実際にシャッターを切るまでのラグの短さです。サッとカメラを起動し、撮りたいシーンをすぐに撮影できるのはスマートフォンカメラならではの良さです。
撮影モードとしては夜景モードやポートレートモード、1200万画素カメラでは4cm接写も可能です。ドキュメントモードではカメラに写した文字を抽出し、PDFファイルとして保存することもできます。
コンパクトと高性能の融合! 唯一無二の扱いやすさが魅力
Zenfone 8は近年のスマートフォンとしては珍しい5.8インチのコンパクトディスプレイを搭載しながら、現行の最先端技術を惜しみなく詰め込んだハイエンドスマートフォンです。
大画面スマートフォンと比べてどちらが良いかは好みの問題ですが、コンパクトサイズならではの扱いやすさや操作性の良さはやはり魅力的。小さくて性能の良いAndroidスマートフォンを探しているという人にはぜひ試してほしい製品です。
取材・文/佐藤文彦