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「秋の日は釣瓶落とし」とはどんな意味のことわざ?そもそも釣瓶とは?

2021.08.25

「春眠暁を覚えず」「暑さ寒さも彼岸まで」など、日本の諺(ことわざ)には四季に関係するものが数多く存在する。中でも、秋に関することわざは特に多く、昔の人が天候の変化や季節の移ろいを感じやすい季節だったことが想像できる。

本記事では、そんな秋のことわざの一つ「秋の日は釣瓶落とし(あきのひはつるべおとし)」について、正しい意味や関連表現を解説する。『ヘルタースケルター』などで有名な岡崎京子の漫画にも同タイトルのものがあるが、本記事では、このことわざの意味や由来、関連語を中心に紹介する。

「秋の日は釣瓶落とし」とはどんな意味のことわざ?由来は?

はじめに、「秋の日は釣瓶落とし」がどのような意味で使われることわざなのか、由来も併せて詳しく解説する。また、「釣瓶(つるべ)落とし」が一体何かについても理解しておこう。

秋の日暮れが早いことを表現している

夏は一年のうちでもっとも昼間の時間が長い季節。夏が終わり、秋に近づいてくると少しずつ日が短くなっていく。早い時間に外が暗くなっていることに気づいて、秋の訪れを感じたことがある人も多いだろう。このことわざは、そんな秋の日暮れが早い様子を「釣瓶落とし」に例えて表現したものだ。

「釣瓶落とし」とは何のこと?

現代ではあまり馴染みのない「釣瓶落とし」とは、井戸水を汲むための桶やその周辺の装置のこと。深い井戸の底でも届くよう、桶は縄や竿にくくりつけられている。井戸の上部に備え付けられた滑車によって上下する仕組みになっており、手を離すと真っすぐに桶が井戸に落ちていく。つまり、「秋の日は釣瓶落とし」は、“釣瓶落としのように秋は日が暮れだすとあっと言う間に暗くなってしまう”といった意味を持っている。

なぜ秋の日暮れは早く感じる?

では実際、秋は他の季節に比べて日が暮れるのが早いのだろうか。東京の年間の日没時間を調べてみると、もっとも日没時間が早いのは11月下旬~12月上旬で、16時半頃には日が沈んでしまう。6月下旬~7月上旬の日没時間が19時近くになることを考えると、実に2時間半も早い計算になる。

もう一つ、「薄明(はくめい)」の時間についても理解しておきたい。薄明とは、上空の大気が太陽光を散乱させ、日が沈んだ後も空がぼんやりと明るく見える現象。「逢魔が時(おうまがとき)」や「マジックアワー」と呼ばれるのもこの時間帯のことだ。日の長い6月の場合、薄明の時間は1時間50分ほど。つまり、日没後も2時間程度は空がうっすら明るい状態が続き、ゆっくりと暗くなっていく。一方、9月、10月は6月に比べると30分近く薄明継続時間が短い。日没が早いことに加えて、日が沈んでから暗くなるまでが早いため、夏に比べてあっという間に日が暮れるように感じるのも当然かもしれない。

「秋の日は釣瓶落とし」の関連表現

ここからは、「秋の日は釣瓶落とし」の英語訳、類語など、覚えておきたい関連表現を紹介したい。語彙力アップにも繋がるのでぜひ参考にしてほしい。ちなみに、「秋の日」を「日にち」と捉え、「秋の日は釣瓶落としですぐ冬になる」のように使うのは誤りだ。

類語、対義語はある?

「秋の日は釣瓶落とし」と同じ意味のことわざに「秋の日の鉈落とし(あきのひのなたおとし)」がある。鉈とは、薪を割るのに使う幅広で大きな刃物のことで、勢いよく上から下へ振り抜くようにして使う様子を、秋の日暮れの早さになぞらえている。また、夜が長いことを表す「夜長(よなが)」も近い意味を持つ言葉。特に9月、10月頃の日が暮れるのが早く夜が長く感じられる秋の夜を「夜長」と呼ぶことが多い。

対義語には「春の日は暮れそうで暮れぬ」がある。秋とは反対に、冬から少しずつ日が長くなっていく春は日暮れがゆっくり感じられることを表す。ここから派生して、「一人娘と春の日はくれそうでくれぬ」「春の日と金持ちの親戚はくれそうでくれぬ」など、「暮れる」と「くれる」を掛詞(かけことば)のように使う表現もある。

英語ではどのように表現する?

「秋の日は釣瓶落とし」を英語で説明する場合は、「Autumn sun sets as quickly as a bucket dropping into a well」と表現すると良いだろう。「bucket」は本来バケツを表す単語だが、ここでは釣瓶の意味で用いる。「dropping into a well」で「井戸に落ちる」を表し、「秋の日は釣瓶が井戸に落ちるように早く沈む」、つまり「秋の日は釣瓶落とし」とほぼ同じ意味となる。

「秋の日は釣瓶落とし」の例文

「ちょっと買い物していたらもう外が暗くなっている。まさに、秋の日は釣瓶落としだ」
「この辺は暗くなると見通しが悪くなる。秋の日は釣瓶落としと言うし、早めに帰った方がいいかもしれない」
「秋の日は釣瓶落としと言うが、なるほど、さっきまであんなに明るかったのにもう真っ暗だ」

文/oki

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