自分や大切な人を守るためにも、『暴風特別警報』が出されたときに取るべき行動をきちんと把握しておくことが大切です。『暴風特別警報』が出たときの対処法と合わせて、言葉の意味や特別警報を確認する手段についても紹介します。
「暴風特別警報」の意味を知ろう
最初に『暴風特別警報』がどのようなものなのか、意味を見ていきましょう。『警報』や『注意報』との違いや、暴風の他に特別警報が採用される気象現象も紹介します。
暴風で大きな被害が出る可能性を示す
『暴風特別警報』は強い台風や温帯低気圧による暴風で、数十年に一度レベルの大きな被害が出る可能性を示すものです。『暴風』は非常に強い風という意味で『強風』よりも強い風を指します。
『特別警報』が出される基準値は、1959年に大被害をもたらした『伊勢湾台風』級の台風や同程度の温帯低気圧が来襲すると予測される数値です。具体的には『中心気圧930hPa以下または最大風速50m/s以上』になります。
沖縄地方と奄美地方・小笠原諸島は別の基準になっており、『中心気圧910hPa以下または最大風速60m/s以上』です。
ただし2021年8月現在、気象庁では基準に満たなくても大きな被害につながった近年の経験から、地域別の基準を導入するなど見直しが検討されています。
「特別警報」暴風以外にも設けられている
『特別警報』は警報のレベルを超えた重大な災害につながる可能性が高いときに、住民に最大の警戒を呼びかけるための警報です。『暴風』以外に『大雨』『大雪』『暴風雪』『高潮』『波浪』の5種類があります。
『特別警報』が設けられた理由は、災害に対するより強い危機感を伝えるためです。気象庁は東日本大震災のときに『大津波警報』を出しましたが、迅速な避難につながらず大きな被害を受けました。
11年に台風第12号が来襲したときにも、大雨などによる警戒を呼びかけたものの迅速な避難が行われなかった経験を踏まえて設けられたのです。
参考:気象庁|特別警報について
「暴風警報」や「強風注意報」との違い
『暴風警報』は暴風によって、重大な災害につながるリスクがあると予測されるときに出される警報です。『暴風』以外では『大雨』『大雪』『暴風雪』『高潮』『波浪』『洪水』の6種類があります。
『強風注意報』は強風の影響で災害につながるリスクがあると予測されるときに出される予報です。警報に含まれる7種類の災害以外に、『雷』『融雪』『濃霧』『乾燥』『なだれ』『低温』『霜』『着氷』『着雪』があります。
『特別警報』の発表がまだだからといって、災害が発生しないとは限らないため安心はできません。天候などが荒れたときは最新の気象情報や各地域の指示に注意しつつ、注意報の段階でも必要があれば避難しましょう。
参考:気象庁|特別警報について
特別警報を確認する方法
『特別警報』は何を使って、どのように確認したらよいのでしょうか?自治体が出す情報を見る方法を紹介します。
情報を逃してしまうと避難行動の遅れにつながるリスクもあるため、普段から小まめにチェックしましょう。
警察や消防、メディアを通じて伝達
『特別警報』は、最初に気象庁から自治体や報道機関に伝達され、各地域の警察や消防・テレビやラジオなどのメディアを通じて住民に伝達される仕組みになっています。
確実に情報を伝達するためにさまざまな手段が用いられており、防災無線や広報車が使われることも珍しくありません。
気象庁は、万が一誤報を届けてしまった場合は、速やかに続報を発信して誤報の影響を最小限に抑えるように措置を取るとしています。まずは出された警報を疑わず慎重に行動しましょう。
携帯やスマホのメールでも確認が可能
近年は携帯やスマホで受け取れる『緊急速報メール』が配信されています。緊急速報メールは携帯事業者やスマホ本体に設けられている機能です。
回線混雑の影響を受けず、警報などの気象情報や取るべき行動といった避難情報が利用者の端末に配信されます。特別警報だけでなく緊急地震速報や大津波警報・噴火に関する特別警報なども、緊急速報メールからの確認が可能です。
ただし、格安SIMや携帯大手事業者以外と契約してAndroidを使っている場合、OSバージョンによっては緊急速報メールを受信できない可能性があります。
受信できるか不明の場合は契約している携帯事業者に確認しましょう。iPhoneは標準の機能に含まれているため、事業者やOSのバージョンを問わず受信できます。
暴風特別警報が出たらどう行動すべき?
『暴風特別警報』が出たときは、どうすればよいのでしょうか?取るべき行動を把握しておくと、万が一強い風による災害が起こっても安心です。
行動の目安が分かっていれば冷静な判断ができ、安全の確保にもつながります。
避難情報に従って安全な場所へ移動
暴風特別警報が出たら、住んでいる地域の避難情報に従うのが基本です。重大な災害が起こる可能性を確認次第、直ちに安全な場所に移動しましょう。
ただし、『暴風特別警報』が出ているときは、屋外に出ると余計に命の危険が高まるケースもあります。避難が可能かどうか、周囲の状況や避難情報を見て冷静に判断しなければなりません。
気象庁では『キキクル』という危険度分布マップを公開しています。災害のリスクがある地域を把握し、早い段階から行動できる習慣を付けておくと安心です。
住んでいる地域にどのような災害リスクがあるのか、避難場所やルートを確認しておくと警報が出てから慌てずに済みます。
5段階の警戒レベルと対応
避難情報では災害発生の危険度を示す『警戒レベル』が5段階に分かれています。
警戒レベル1と2は気象庁から発表され、3~5は各市町村から発表されます。警戒レベルごとの名称は以下の通りです。
- レベル1:早期注意情報
- レベル2:大雨・洪水・高波注意報
- レベル3:高齢者等避難指示
- レベル4:避難指示
- レベル5:緊急安全確保
このうちレベル3以上になると、実際に避難が求められます。『高齢者等避難指示』は逃げ遅れる可能性がある人の避難開始や、避難の準備を行う段階です。
2021年5月にレベル4で使われていた『避難勧告』が廃止され、『避難指示』に一本化されました。避難指示が出たら原則として、住民全員が安全な場所へ移動します。
レベル5の『緊急安全確保』は、すでに安全な避難が難しく命の危険がある状況です。逃げられる可能性の高いレベル4までに行動を起こしましょう。
安全な避難が難しい場合
気象の変化が激しく、状況によっては避難指示が出されても安全な場所への移動が難しいケースがあります。暴風の中で無理に避難しようとすれば、命を落としかねません。
避難ルートの確保が難しい状況と判断したら、家の中で最も安全な場所に留まるが近くの頑丈な建物に移動します。場所を移すのも危険な状態であれば、家具や布団などで身を守りましょう。
特に避難情報がレベル5に達してしまったときは、避難の行動によって命を落とす危険があります。安全を確認できない場合は無理に動かず、速やかに救助を呼ぶのが賢明です。
構成/編集部