秋のお月見『十五夜』は毎年9~10月の間で日付が変わります。2021年にお月見を楽しめるのは何月何日なのでしょうか?日本で秋にお月見を楽しむようになった背景や、十五夜以外のお月見・過ごし方のアイデアも紹介します。
2021年のお月見はいつ?
秋に楽しむお月見の代表格が『十五夜』です。2021年の十五夜がいつなのかをチェックして、お月見に備えましょう。
毎年違う日に満月が見られる理由も知ると、月をめでる習慣への理解が深まるはずです。
十五夜は9月21日
2021年の十五夜は9月21日の火曜日です。この日は中秋と呼ばれ、旧暦の8月15日のため『十五夜』という名前で親しまれています。
もともと日本では旧暦で月が満ちる毎月15日を、十五夜と呼んでいました。平安時代ごろから徐々に日本人の間で秋のお月見が広まり、現在では秋の真ん中に当たる旧暦8月15日を十五夜とするようになったのです。
21年に十五夜以外で楽しめるお月見には、10月18日(旧暦9月13日)の『十三夜』もあります。余裕がある人は11月14日(旧暦10月10日)の『十日夜』にも月を楽しんでみるとよいでしょう。
お月見の日付は毎年変わる
お月見の日付は毎年同じではありません。年によって日付が変わるのは新暦と旧暦の周期が違うためです。
日本ではもともと、29.5日という月の周期に合わせて1カ月の日数を決めていました。太陽を元にした1年の周期と完全には合わず、数年に一度13カ月の『閏月(うるうづき)』を設けていたのが旧暦の特徴です。
新暦に切り替えた1872年は閏月を入れるはずの年だったため、1月1日に暦が変わったにもかかわらず季節が約1カ月ズレました。
その後は太陽の周期に基づいて1カ月を30~31日とした関係で、旧暦の日付は新暦で毎年変わっています。十五夜を初めとしたお月見の日付は旧暦で考えられるため、毎年違う日になるのです。
「お月見」は秋の定番行事の一つ
日付やお月見の概要だけでなく詳しい内容を知っていると、秋の定番行事『十五夜』をより深く楽しめるでしょう。由来になった行事や別名、十五夜以外のお月見として知られる日について解説します。
十五夜の由来は中国の「中秋節」
現在の日本で十五夜として楽しまれるお月見は、中国で行われる四大伝統祭りの一つ『中秋節』といわれています。中秋節は古くから中国で旧暦8月15日に行われる祭りです。
丸い月を家族団らんの象徴とし、月餅や果物などを月にお供えして一族の健康や繁栄を願っていました。平安時代になると日本に伝わり、秋の月見が貴族の風流な遊びとしてはやるようになります。
江戸時代初期には一般庶民にも広まりました。農耕を行っていた当時の民衆の間で、秋の収穫を祝い翌年の豊作と健康を祈る秋の月見は定番行事として定着します。
もともと日本には月を神聖なものとしてあがめる風習があったためか、旧暦8月15日の十五夜も広く浸透し現在に至りました。
十五夜の別名
十五夜は別名で有名なのが『中秋の名月』です。由来となった『中秋節』の『中秋』は、当時は秋だった旧暦7~9月の真ん中を指しています。
美しい月を意味する『名月』と組み合わせた『中秋の名月』は、十五夜に見える満ちた月のことです。厳密に言えば十五夜は旧暦8月15日の夜・中秋の名月は月ですが、秋のお月見を指す言葉として同じように使われます。
『芋名月』も十五夜の特徴をよく表した別名です。秋はちょうど里芋の収穫期に当たるためこの名前が付きました。昔は里芋をお供えする家が多かったといわれています。
現在お供えとして一般的な月見団子も、里芋の形を模したとする説があります。
お月見は十五夜の他にも
日本では十五夜が始まる前から、旧暦の9月13日の『十三夜』や旧暦10月10日の『十日夜』に秋の収穫を喜びながら月を見る風習がありました。
十三夜は十五夜の次に満月を楽しめる日です。この時期に収穫期を迎える豆や栗にちなんで、『豆名月』や『栗名月』とも呼ばれます。
十日夜は『とおかんや』と特殊な読み方をする日で、本来お月見がメインではありません。主に東日本で旧暦の10月10日には収穫祭を行い、豊作を願ったり田の神を山に返したりしていました。
祭りの夜は初冬の空に浮かぶ美しい月を眺め、収穫をよりよくするために供え物をささげるのが慣習です。
十五夜と十三夜はセットと考えられているほか、十日夜も合わせた『三月見』の日に月が見えると非常に縁起がよいとされています。
十五夜のお月見はどう過ごす?
お月見の楽しみ方は人それぞれ違うでしょう。しかし、古くから親しまれてきた慣習を知っていると、日本人が月に抱いた思いを感じながら過ごせます。
供え物として一般的な食べ物や植物・おすすめの過ごし方を見てみましょう。
月にささげる供え物
お月見の供え物として欠かせないのが『お月見団子』です。丸くて白い団子を月に見立てて一族の繁栄や健康を願うとともに、豊作への感謝や願いを込めて月にささげます。
団子の数は旧暦の日付にちなんで、十五夜なら15個・十三夜なら13個供えるのが現代では一般的です。月見の後に食べる人が少ないなら、末尾の数字を取って5個や3個とする場合もあります。
団子と一緒にススキも飾りましょう。ススキは中が空洞になっている構造から神様の依代といわれ、魔よけや厄よけの効果を期待される植物です。
豊作の象徴として代表的なのは稲穂ですが、月見の時期は稲の収穫期ではないため代わりにススキを供える風習ができました。
多くの供え物をささげたいときは、秋が旬の果物や農作物がおすすめです。芋類や秋野菜・梨などは昔からお月見の供え物としてよく利用されています。
ゆったりと月に思いをはせてみよう
忙しい現代人の生活では、家族全員が集まる機会が少ないかもしれません。しかし1年に1回だけでもパートナーや子ども・親など、身近な人と一緒に月を眺めてみてはいかがでしょうか?
昔の人が月に抱いていた思いを振り返りながら秋の夜を過ごすと、ゆったりした時間を楽しめます。時間があるならお供えをするだけでなく、食後に特別なデザートを用意すると平安貴族の楽しみを味わえるでしょう。
蛍光灯を消し間接照明やキャンドルで月の明るさを感じながら、月に関係する本を読んだり映画を見たりするのもおすすめです。緩やかな時間の中で月に思いをはせられます。
構成/編集部