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説明できる?ガソリン税とも呼ばれる「揮発油税法」の基礎知識

2024.07.24

『揮発油税』という言葉を聞いたことがあっても、どのような税金なのか知らない人もいるのではないでしょうか?何にかかる税金なのか、税率や金額と併せて紹介します。納税の仕組みや使い道についても触れるので、知識を深めましょう。

給油時にかかる「揮発油税」とは?

最初に『揮発油税』が、どのような税金なのか紹介します。『揮発油』に該当する油の種類や、誰がどのように支払うものなのかについても見ていきましょう。

ガソリンなどの揮発油にかかる国税

『揮発油税』は『ガソリン税』とも呼ばれており、ガソリンなどの揮発油にかかる国税の一つです。

国税は、国が国民に対して徴収する租税で、直接税と間接税があります。『揮発油税』は、納税義務者を通じて納付される間接税に分類されます。

ガソリンにかかる税金には『揮発油税』と『地方揮発油税』があり、両方を合わせたものが『ガソリン税』です。

どちらも自動車などの燃料として使われるガソリンにかかる税金で、揮発油の製造者・海外から揮発油を輸入した輸入者に納税義務があります。

参考:税の種類に関する資料 : 財務省

揮発油の定義

『揮発油税法』では『温度15℃のときに0.8017を超えない比重の炭化水素油』を、揮発油と定めています。揮発油に炭化水素油以外の物質を混和している場合は該当しません。これらの条件に当てはまるのがガソリンです。

実際には灯油も当てはまりますが、石油税が課税されるため揮発油税の課税対象外とされています。

納税義務者は揮発油の製造者や輸入者ですが、私たちがガソリンスタンドで給油する際に支払うガソリン代には揮発油税が上乗せされています。

間接的ではあるものの消費者が負担しているのと実質的には同じです。

参考:揮発油税法 第1章|e-Gov法令検索

出口の見えない円安と物価上昇でガソリン代はこの先どうなる?

消費税と一緒に消費者が払う仕組み

『揮発油税』や『地方揮発油税』は、消費者が消費税と併せてガソリンスタンドなどに払う仕組みになっています。ガソリン税と消費税を払うのは二重に課税されていると捉える人もいるようです。

しかし、消費税は消費者が納税しているのに対し、石油税やガソリン税は石油会社が納税しているため、二重課税とは考えないという見解があります。

ガソリンに限らず、消費者が商品を購入する際の販売価格は、企業が納税しなければならない税金を考慮して設定されています。ガソリンだけが特別ではないとも考えられるでしょう。

軽油の場合はガソリン税ではなく『軽油引取税』が適用されています。石油会社がガソリンスタンドと取引する段階で、ガソリンスタンドが納める税金です。

参考:軽油引取税Q&A よくあるご質問 – 新潟県ホームページ

揮発油税の税率と金額

(出典) photo-ac.com

揮発油税と呼ばれることが多いガソリン税は、実際にどの程度の金額になるのでしょうか?税率と金額について詳しく見ていきましょう。

沖縄だけに設けられているガソリン税の軽減措置についても解説します。

「揮発油税」「地方揮発油税」の合計額

揮発油税法で定められたガソリン税の税率は、1klあたり『揮発油税』は2万4300円で、『地方揮発油税』は4400円です。しかし、財源不足を理由に『暫定税率』が設定されました。

暫定税率が採用された後の税率は1klあたり、揮発油税が4万8600円・地方揮発油税が5200円です。

一時的であるはずの高い税率が長引いている状況が問題となり、2010年に暫定税率は廃止されました。

ただ代わりに同額が加算される『特例税率』が作られたため、ガソリン税の税率は21年8月現在も暫定税率のころと変わっていません。

ガソリン1lあたり、揮発油税は24.3円・地方揮発油税は44円で合計68.3円が徴収されます。

参考:自動車関係諸税・エネルギー関係諸税に関する資料 : 財務省

沖縄だけは軽減措置あり

沖縄は1972年にアメリカの植民地でなくなり、施政権が日本に返還されています。沖縄の本土復帰を円滑に進めるために、必要な特別措置を定めた『沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律』が作られました。

同法では、沖縄の消費者の生活や経済に及ぼす影響を考慮して、税負担が軽減する措置を定めています。対象となる税の一つがガソリン税です。

2020年の税制改正で22年の5月4日までの延長が認められ、ガソリン税は1lあたり7円軽減されています。

必ずしも沖縄でガソリンが安いとは限りませんが、課税される揮発油税と地方揮発油税は少ないのです。

参考:揮発油税等(ガソリン税)の軽減措置について/沖縄県

納税の仕組みと税金の使い道

(出典) photo-ac.com

消費者がガソリンスタンドなどで払ったガソリン税は、どのような仕組みで国へ納められるのでしょうか?徴収された揮発油税や地方揮発油税が何に使われているかも、併せて確認しておきましょう。

ガソリン税は誰が払う?どう使われる?

税金は石油会社が納める

ガソリン税は、間接税であり税金の納税者は石油会社です。ガソリンスタンドで給油する際に定められた販売価格の中に、すでに税が含まれています。

間接税は消費者が支払った税を、納税義務者が国に納税します。ガソリン税の他にも消費税やたばこ税・関税・航空機燃料税などが、間接税に該当します。

普段から意識する人は少ないかもしれませんが、例えばたばこを購入するときには『たばこ税』が含まれた価格を支払っています。航空券を購入するときには航空機熱料税が含まれた価格で買っているのです。

給油の際に払う消費税はガソリン税と石油税を含めた価格に課税され、揮発油税・地方揮発油税とともに提供会社を通じて国に納付されます。

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現在は一般財源となっている

揮発油税や地方揮発油税の使い道は現在、市税や地方交付税など自由な用途に使える『一般財源』とされています。

戦前に『揮発油税』が作られた当初は、道路の整備財源に充てるための特定財源にしようという案も出ました。しかし、特定財源にしてしまうと用途の柔軟性に欠けるため、初めは『一般財源』とされたのです。

しかし、戦後になると自動車の急速な発展により道路整備が急務となり、道路の設備財源に充てられることになりました。その後は再び一般財源に変わり現在に至っています。

構成/編集部

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