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社員の副業を認めている企業はどれくらい増えたのか?

2021.08.16

取り組めば社員のキャリア、ひいては人生における可能性が広がるかもしれない。しかし、熱中するあまり、本業に影響が出るかもしれない……。というわけで、会社サイドとしては容認するか禁止するか、悩みどころの「副業」。株式会社パーソル総合研究所ではこのほど、そんな副業に関する意識調査を、経営層・人事(主任・リーダー以上)で人事管理(制度設計・運用など)について把握している者を対象にして実施した。

自社の正社員が行う副業の容認

自社の正社員が副業を行うことを容認している企業の割合(全面容認と条件付き容認の合計)は55%。2018年の1回目の調査では同51.2%であり、3.8ポイント上昇している。

図表1.自社の正社員の副業を企業が容認・禁止している割合

自社の正社員の副業を企業が容認する理由・禁止する理由

自社の正社員の副業を企業が容認する理由の1位は「従業員の収入補填」で34.3%。2位は「禁止するべきものではない」で26.9%となり、正社員の副業が一定程度一般的なものとして認識されつつある様子がうかがえる。禁止する理由の1位は「自社の業務に専念してもらいたいから」で49.7%となった(図表3)

図表2.自社の正社員の副業を容認する理由

図表3.自社の正社員の副業を禁止する理由

副業者を受け入れる企業の割合

副業者(他社で雇用されている人材)を現在受け入れている企業は23.9%。現在受け入れていないが、受け入れる意向がある企業も23.9%。合計すると47.8%になり、半数近くの企業が副業者の受け入れに前向きな姿勢を示している。

※副業者の雇用形態(業務委託契約、正社員、契約社員、アルバイト・パートなど)は問わない。

図表4.副業者受け入れに関する回答

副業者を受け入れる企業の割合(属性別)

企業規模別にみると、従業員100人未満の中小企業と、1万人以上の大手企業で副業者(他社で働いている人材)を受け入れるようとする傾向が強い。また、設立年数が浅いほど副業者を受け入れるようとする傾向がみられる。

図表5.副業者を受け入れる企業の割合(属性別)

 副業者を受け入れる理由

副業者(他社で雇用されている人材)を受け入れる理由をみると1位は「多様な人材確保が可能だから」で26.4%。しかし、企業規模別にみると、1万人以上の大手企業では多様な人材確保を理由とする割合は下がり、「新規事業の立ち上げ/推進」「新たな知識・経営資源の獲得」「オープンイノベーションの促進」など、新規事業・イノベーション関連の理由が目立つ。

図表6.副業者を受け入れる理由

 副業者の採用経路

副業者(他社で雇用されている人材)を受け入れる理由をみると「知人・社員からの紹介」が最も多く39.9%となった。次に多いのは「元社員」で22.3%。スキルの把握や信頼性の面などから、すでに知っている人材を活用しようという志向性が反映されていると推察される。

図表7.副業者の採用経路

 副業者の職種

すでに受け入れている、または受け入れを検討している副業者の職種で最も多かったのは「営業」で19.6%だった。次いで「ITエンジニア」の15.6%、「情報システム関連」の13.7%が続き、IT関連職種が上位に挙がっている。

図表8.副業者の職種(受け入れている/受け入れを検討している)※複数回答

副業者受け入れの課題・問題

副業者受け入れの課題・問題について聞いたところ、最も多かったのは「労務管理が煩雑」で12%だった。次いでノウハウ等の流出、情報漏洩が続く。

図表9.副業者受け入れの課題・問題 ※複数回答

分析コメント~副業の支援は本業へのプラスの効果につながるが、企業の過半数が何も支援しておらず課題~(研究員 青山茜氏)

経営や人事が自社の正社員による副業を容認するに当たって気にかけているのは、副業禁止の理由(図表3)からもうかがえるとおり、「本業へのプラスの効果につながるか」「過重労働とならないか」「人材が流出しないか」だろう。これらに関する組織マネジメントについて調査データをもとに考察したい。

本業にプラスの効果をもたらす要因としては、例えば職場や上司からの副業へのアドバイス、副業に対する肯定的な評価などが挙げられる(図表10)。そのため、副業を支援するこのような姿勢を示した方がよいが、特に何もしていない企業は52.3%にも及び、課題といえる(図表11)。

本業へのプラスの効果を意識するならば、副業の内容にも気を配った方がよい。コロナ禍以降、本業における収入減などの影響を受けて始めた「コロナ禍副業」は、そうではない副業に比べてパート・アルバイトで雇用されているケースが多く、時給が低い傾向がみられた(図表12)。

また、条件付きで副業を容認している企業のうち、「本人の成長につながらない仕事」を禁止しているのは13.9%にとどまっていた。例えば、コロナ禍に伴う短期的なケースはともかくとして、人材の代替可能性が高く、スキルアップにつながりにくい副業は長期にわたっては推奨しない、キャリア形成の観点からアドバイスするなど、副業の内容を一定程度コントロールする方法もあるだろう。

引き続き調査データに基づくが、過重労働となるリスクは、副業が成果報酬型ではなく労働時間に応じた報酬である方が低くなった。また、副業先の会社に出向かなくてよい(在宅勤務の割合が高い)ほど、過重労働となるリスクは低下する。

人材流出については、副業を始めた後に上司とのコミュニケーションが減ったり、責任ある仕事が任せられなくなったりすると、転職意向は高まることが分かった。さらに、本業に対する不満が高い場合、副業でやりがいや達成感を強く感じると転職につながりやすい。

一方で、不満が高くなければ副業のやりがいや達成感にかかわらず転職につながりにくい。結局のところ離職の問題は、本業への不満が直接的な原因となっており、副業の実施が直接的な原因になっているわけではないということが言えそうだ。

上述した点を意識し、組織マネジメントの在り方を見直すことで、副業による本業へのプラスの効果を得ながら過重労働や人材流出のリスクを低減することができるだろう。

図表10.本業へのプラスの効果の要因分析

図表11.副業者への支援の状況

図表12.コロナ禍による副業の特徴

※「コロナ禍副業」とは、コロナ禍以降に副業を始め、かつ、収入減など本業にネガティブな影響があった者による副業を指す

<調査概要>

出典元:株式会社パーソル総合研究所
http://rc.persol-group.co.jp/

構成/こじへい

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