近年、メンズコスメ市場はZ世代の若者を中心に、主にアジアでマーケットが広がっている。
また、コロナウイルスの影響でリモートワークにてオンライン会議をする機会が増え、以前よりも自分の容姿を意識するようになったことがメンズコスメ浸透の後押しとなっている。
そこでネオマーケティングは全国の15歳~69歳の男女998人を対象に「メンズメイクの浸透と理解」をテーマにインターネットリサーチを実施した。
メイクをする男性の関心度合いは65.0%
外見に対して普段していること
自分自身の外見に対して普段していることを聞いた。上のグラフは、普段メイクをする男性と普段メイクをする女性の回答を比較したものでだ
「紫外線対策(日傘、日焼け止め等)」「保湿・スキンケア」といった皮膚のケアをする割合は、メイクをする女性に比べ、メイクをする男性が20ポイント程度低い割合となった。
しかし一方で、「食事制限」「食事の栄養素管理」「漢方・サプリメント」等、身体を内側からケアする項目の割合は、メイクをする男性の方がメイクをする女性よりも高くなった。
メイクをする男性は、メイクで外見を整えると同時に、インナーケアによって外見を磨こうという意識が強いのかもしれない。
メイクに関する情報収集の実態
普段メイクをする男性に対し、メイクに関する情報収集の実態としてあてはまるものを聞いた。
全体でみると、約半数の方がインターネット上で情報交換、約30%~40%の方がリアルでの情報交換、約20%が企業主催のコミュニティにて情報交換していることが分かる。
一方、メイクをする男性50代と60代の結果をみると、40%強の方が「店員以外の他人と情報交換はせず、一人でメイクしている」と回答。男性メイクについての情報交換、コミュニティに参加する50代や60代の方はまだまだ少なく、個々でメイクをしている方が多いことが分かる。
現在使用または過去使用していた化粧品・メイク道具
普段メイクをする男性に対し、現在使用している(使用していた)化粧品・メイク道具について聞いた。
現在使用している化粧品としては男性用が最も多く、その割合は67.3%となった。一方、女性用化粧品については、過去を含めるとメイクをする男性の半数以上が一度は使用経験があることが分かりました。
男性用化粧品・女性用化粧品への不満
普段メイクをする男性に対し、【男性用】化粧品に対する不満、【女性用】化粧品に対する不満をそれぞれ聞いた。(不満を持つ化粧品が複数ある場合についても、そのすべてについてあてはまるものを聴取)
保湿力については、男性用・女性用化粧品共に、最も不満を抱いているポイントであることが分かった。特に男性用化粧品については43.1%の方が保湿力の低さに不満を抱いているようです。男性用化粧品では保湿力が足りないため、女性用を使っているケースもあるかもしれない。
また、そもそも「欲しいカテゴリーで男性用が存在しない」ことに対する不満は15.3%あり、ラインナップの少なさに不満を持つ方が少なくないことが分かる。
挑戦できていないメイク・興味のあるメイク
普段メイクをする男性に対し、自身がしているメイクのうち、「挑戦できていないもの」や、挑戦できていないけれど「興味があるもの」についてあてはまるものを聞いた。
「挑戦できていないもの」「興味があるもの」共に最も多かったのが、口紅・グロスでした。約40%の方が、口紅やグロスに興味はあるものの挑戦できていないようだ。また、チーク・パウダー系についても、興味はあるものの挑戦できていない方が約30%いることが分かった。
リップやチークはどちらも血色を補い健康的な印象を作ることができるため、男性にも需要があるものの、色味が強く出やすく調整が難しいためなかなか挑戦しづらいメイクなのかもしれない。
メイクを始めて良かったこと
普段メイクをする男性に対し、メイクを始めて良かったこととしてあてはまるものを聞いた。「自信がついた・気分が明るくなった」ことが最も高く45.2%、さらに、32.7%の方が「態度・行動が積極的になった」と回答した。
メイクをする男性の30%以上は、メイクをすることで内面にポジティブな変化があったと感じているようだ。
また、トップに次いで高い割合となったのが「メイクをする楽しみが増えた」と回答した方で、42.7%。メイクをする多くの男性にとってメイクは、シミやクマ等をカバーするだけの単なる「補正作業」ではなく、趣味のような位置づけにあるのかもしれない。
男性メイクについてどう思うか
普段男性がするメイクについて、どう思うか聞いた。上のグラフは、回答者全体の結果を示したものだ。
男性がメイクをすること自体への賛成度合いは30%強という結果となった。また、男性メイクの位置づけとしては「身だしなみ」「補正」程度が最も賛成度合いが高く、どちらも40%前後の賛成率。男性メイクに関して、「身だしなみ」「補正」この2つのキーワードはより多くの人の理解を得やすいことが分かる。
普段メイクをする男性とメイクをしない男性、普段メイクをする女性とメイクをしない女性の回答をそれぞれ比較すると、全項目について、メイクをしない男性の賛成度合いが最も低いことが分かる。
しかし、メイクをしない男性も女性も、「身だしなみ」程度の男性メイクへの賛成度合いが最も高いことは変わらず、また、メイクをする男性以外の「濃いメイクをすること」「ご自身よりも濃いメイクをすること」への賛成率はいずれも10%前後にとどまった。
おしゃれを目的とする、もしくは身だしなみの域を超える男性の濃いメイクに対する理解はまだまだであるといえそうだ。
メイクをしない理由
普段メイクをしない男性に対し、メイクをしない理由を聞いた。約半数が「興味がないから」を理由とする一方で、10.1%の方が「他人の目が気になるから」、25.4%の方が「周りにメイクをしている男性がいないから」を理由に挙げた。
前掲した設問【メイクに関する情報収集の実態】によれば、「店員以外の他人と情報交換はせず、一人でメイクしている」と回答した方は全体で26.0%存在する。
この、メイクをしているけれどコミュニティに属していない、また周囲にメイクをしていることを公表していない「一人メイク層」の存在が顕在化すれば、さらに男性メイクは広がっていく可能性がありそうだ。
魅力を感じる対象
魅力を感じる対象として、あてはまるものを聞いた。(ここでいう「魅力を感じる」とは、好印象を持つことを含む)
全体の傾向としては、より女性的・より男性的な男女に対し魅力を感じる方の割合が高く、どちらも50%前後の票が集まった。一方で、女性の場合は「中性的」よりも「ボーイッシュ」な女性、男性の場合は「フェミニン」よりも「中性的」な男性に魅力を感じる方が多いという結果だった。
普段メイクをする男性とメイクをしない男性、普段メイクをする女性とメイクをしない女性の回答をそれぞれ比較すると、男女ともに、普段メイクをする人の方が他人に魅力を感じやすい傾向があった。
特に、メイクをする男性についてはすべての対象に対し約半数以上の方が魅力を感じると回答している。
メイクをする男性は、相手の性別や見た目の雰囲気に関係なく、誰に対しても魅力を感じることのできる寛容さを持った方が多いのかもしれない。
今関心を持っている社会問題
今関心を持っている社会問題について聞いた。上のグラフは、普段メイクをする男性とメイクをしない男性、普段メイクをする女性とメイクをしない女性の回答をそれぞれ比較したものだ。
男女共にすべての項目について、メイクをする人の方が社会問題への関心度合いが高くなった。
特に男性の場合はその傾向が強く、「ジェンダー関連の問題」について、メイクをする男性は65.0%、しない男性は33.6%と、約30ポイントもの差があった。その他の社会問題についても20ポイント前後の差が広がっている。
上記の社会問題は、SDGsの17の目標(国際連合が定めた持続可能な世界の構築につながる17の目標)にも関連する問題だ。メイクをする男女については、SDGsへの積極的な取組みがより期待できそうだ。
調査の方法:ネオマーケティングが運営するアンケートサイト「アイリサーチ」のシステムを利用したWEBアンケート方式で実施
調査の対象:アイリサーチ登録モニターのうち、全国の15歳~69歳の男女
有効回答数:998名(メイクをする女性250名、メイクをする男性248名、メイクをしない女性250名、メイクをしない男性250名)
構成/ino.