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キリンビール常務執行役員・山形光晴さんが語る「チームの〝和〟を教えてくれた国民的サッカーマンガ」

2021.09.29

『キャプテン翼』

【敏腕マーケッター】×【国民的サッカーマンガ】チームの〝和〟を教えてくれたスポ根のファンタジスタ

キリンビールのヒット商品を生み出すマーケティングの達人の原点は、チーム力と個性を結びつけるサッカーマンガだった。

 私が最初にマンガに触れたのは、親に『ドラえもん』のコミックを買ってもらったことですね。その後、小学校に入った頃に友達が『週刊少年ジャンプ』を読んでいて、そこで『キャプテン翼』に出会ってしまったんです。初めて自分のお小遣いで買った単行本も〝キャプ翼〟です(笑)。記憶が定かではないのですが、同じ頃にアニメもテレビ放映していたと思います、確か小学校の1〜2年生だったかな。それをきっかけにサッカーを始めました。

 私をはじめ、誰もが翼くんになりたくて、皆さんやったと思うんですが、砂場でオーバーヘッドキック、プールの時間には立花兄弟のスカイラブハリケーンの真似をしていました。やっぱり必殺技というか、少しがんばって練習したらできるんじゃないかという部分に魅かれたんです。

〝キャプ翼〟の魅力は、やはりチームメートとの和というか、チームワークのよさですね。翼くんは人の悪口を言わないし、最初は下手くそキャラだった石崎くんにも、「ボールは友達、一緒に頑張ろう」という感じで接して、対戦相手も含めて切磋琢磨して海外で活躍して日本代表になりましたから。

 マーケティングという仕事はひとりでは何もできないし、いろんな人の考えや行動がなければ成り立ちません。個性と個性が集まり、ひとつの目標に向かって行くというのは、サッカーと同じです。それに近代サッカーは対戦相手のデータを分析して戦略や戦術を立てます。そこに才能を持った選手が入って、そこに予測もしない形で得点が生まれて勝利します。これも仕事と同じで、データも大切ですが「何となくコレだったら」と裏づけのない想像力や手の届きそうな未来予想を入れたほうがうまくいくことが多いんです。その点も『キャプテン翼』が今の私に影響を与えているのかも(笑)。

 手の届きそうな未来や想像力という点では、宇宙モノも好きです。最近では『宇宙兄弟』がよかったですね。兄弟愛や友情を軸にした感動場面も多いのですが、設定がほんの少しだけ先の時代、地に足のついたファンタジーです。宇宙の生活は、こういうものなんだと想像をかき立てられます。その部分は私が子供の頃に『キャプテン翼』に描いていた気持ち、「がんばればオーバーヘッドキックができる!」という、手の届きそうな未来と共通していると思います。

山形光晴さん

キリンビール 常務執行役員
マーケティング本部 マーケティング部
部長 兼事業創造部 部長
山形光晴さん
1976年埼玉県出身。慶應義塾大学経済学部卒業。P&Gを経て2015年キリン入社、キリンビバレッジを経て、20年から現職。

山形さんのイチオシはこの作品!

『キャプテン翼』

『キャプテン翼』

(高橋陽一、全37巻、集英社)

1981年に『週刊少年ジャンプ』で連載が開始された。主人公・大空翼と仲間、ライバルたちの成長を描く。国内外を問わず、多くのサッカー選手に影響を与え、掲載誌を変えながら続編が生まれている。

『キャプテン翼』©高橋陽一/集英社

イチオシ作品をこんな人に薦めたい!「チームのためにどう働くか迷っている人」

サッカーはチームプレーで全員がヒーローなんです。ビジネスも一緒なので、今自分の仕事のやり方や立場に迷いを持っている人、どうやったら想像力を養えるかと悩んだ時には読むとヒントがあるかもしれません。

『宇宙兄弟』

『宇宙兄弟』(小山宙哉、既巻39巻、講談社)

子供の頃から宇宙に憧れてきた南波六太・日々人兄弟。ひと足先に宇宙飛行士になった弟・日々人を追い、難関を越えて宇宙飛行士になった六太のふたりが、宇宙での奮闘する様子を描く。雑誌『モーニング』で連載中。

『宇宙兄弟』©小山宙哉/講談社

取材・文/松尾直俊

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